レベル1冒険者とぐうたら
終わらない戦いがそこにはある。
街ギルド内ではもめ事が勃発していた。
先ほど転移したときとはなにやら様相が違う。
「お前が盗ったんだろう!!!!! 糞野郎!!!」
「てめーじゃねえのか!!? あああああん!!!!??」
「いいぞー!!! もっとやれー!!!! ぎゃっはっははは」
レベル31の騎士とレベル28の探索者が言い争いをしている。その周りを野次馬が固めている。
「何があったんでしょう・・・」
ソルが不安げに言う。
「ああ、あのおっさんどもの仕業だろうな」
「あのおっさんって・・・まさかさっき出入り口で会った人たちのことですか? どういうことですか?」
「あのおっさん共が、あの二人から報酬をかすめ取ったんだよ」
俺は言う。
ソルが驚く。
「そんなっ・・・ひどい・・・」
ソルは握り拳を作り、わなわな震わせる。怯えと同時に怒りがこみあげる。
「まあ、俺たちには関係ない話だ。行こうぜ」
俺は歩き出す。野次馬の中にいる本命に会うために。
「よくないですよ。僕たちは犯人を知っているんです」
ソルは立ち止まったまま、動かない。
「なら、どうするんだ?」
「どうするって・・・僕には何も出来ませんよ。レベルも2だし・・・」
「そうだな。お前はレベル2だ。今から逃げたおっさん共を追いかけても返り討ちにあうだけかもしれないしな。じゃあもう行こうぜ」
「それは、そうですけど・・・。でも、」
ソルは口ごもる。
言いたいことはわかる。
ようは、
こういうことだろ?
俺はつい先ほど消失させたおっさんを、口論を続ける二人の間に召喚させた。
テーブルの上にどすんと落ちる。置かれていた食事が床にぶちまけられる。食器もばらばら。
「うわああああああああああ!!!!!!! ・・・・・って、あれ?」
「・・・」
レベル31の騎士。
「・・・」
レベル28の探索者。
鼻水を垂らして目をぱちくりさせるおっさん。ちなみにレベル16の盗賊。
たんまり入った報酬の袋から、ゴールドがぼろぼろ落ちる。
「こいつぁ驚きだ! 盗賊がおめおめと被害者の眼前に現れやがったぜぇ!」
野次馬の一人が叫ぶ。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
盗賊は神速で捕まり袋だたきにされたあげく、仲間の居所をいとも簡単に吐き芋づる式で盗賊仲間は捕まった。
野次馬が消え、ギルド内はいつものうじゃうじゃに戻っていった。
「もう僕、何がなんだか・・・」
ソルはぐったりとへたり込む。
初日の勢いはどこへやら。
太陽の意を表すソルの体力は4分の1にまで減ってしまった。
さあ、本命だ。
俺はレベル35の女戦士とレベル37の男戦士の座るテーブルまで転移した。
男女の戦士は俺が突然現れて驚く。
「あれ? どこですか!?」
ソルが少し離れたところで慌てている。
「おや、こんな場所で移動魔法とは、贅沢な使い方してくれるねぇ」
男戦士が笑う。
「お前らだよな。盗賊を倒したいっていう輩は」
「そうだけど? それにしても、若くてきれいな肌してるわねぇ。あたしの好みよ。どう? 今夜。あたしと甘ーい夜を過ごさない?」
女戦士が立ち上がり、俺の首に甘い鼻息を吹きかける。もう少しで触れあいそうな距離。
もしかしたら俺は誘われている。
甘い夜を。
誘われいる。
俺は健全な17歳。
だけど心は∞歳。
美人ならよかったのに。
「美人ならよかったのに」
瞬間。
女戦士の目が怒りに充血し、俺の首根っこを食いちぎろうと襲いかかる。
だが。
食い込まない。1ミクロンも。俺は最強だ。
「おっと。本性を現したな!?」
女が後じさる。
「ふざけるなてめえ!!!!! ぶっころしてやる!!!!!」
ソルが俺に気づき、近づいてくる。
また野次馬が沸きそうな気配だ。
俺は女戦士と男戦士に向かってスキルを発動する。
「時よ、遡れ」
途端。
女戦士と男戦士は脳天を打たれたように白目を剥く。
この二人の午前中までの記憶が失われる。
俺は消失した。
話が終わりません。次で終わらせたいです。




