番外編 お留守番でぐうたら
この話は主人公とは何の関係もありません。ご注意下さい。
ぼくはひろし。5さい。
きょうはおとうさんもおかあさんもいない。
ふたりはでかけちゃった。
ぼくひとりをおいて。
なにもいわずに。
だからきょうはぼくひとりでおるすばんなんだ。
たべものなられいぞうこにたくさんある。
だからしんぱいはいらないよ、おとうさんおかあさん。
ぼくはそふぁーにすわる。
そふぁーのうえでごろごろする。
おもちゃのくるまをぶーんぶーんってやりながら、ごろごろする。
あーあ、ひまだな。
なにしようかな。
ぼくはおもちゃのくるまをかたづけて、そふぁーのまえにあるてーぶるのうえでごろごろする。
のどかわいたな。
ぼくはごろごろするのをやめて、のみものをのむ。ぎゅーにゅーをのむ。
くちをてでふいて、てれびをつける。
こどもばんぐみをみる。
おねえさんといっしょにぴょんぴぃんはねる。
ぴゃんぴょんぴぃんぴょんぴよーん。
たらちゃんみたいなこうかおんでとびはねる。
たらちゃんってしってる?
たらちゃんはへんなおとだしてはしるんだよ。
さざえさんっていうね、こくみんあにめのきゃらくたーなんだよ。
ぼくはたらちゃんよりとしうえなんだ。
すごいだろ。
えっへんってやったら、てがすべってりもこんがおちちゃった。
ばんぐみがかってににゅーすになる。
『えーただいま夫婦が自殺したという情報が入りました。これがその夫婦の写真です。子供はこれです』
あれれ、へんだぞ。
おとうさんとおかあさんがてれびにうつってる。ぼくもうつってる。
うそ。
じさつって、しんじゃうことでしょ。
おとうさんとおかあさん、しんじゃったの。
ぼくもしんじゃったの。
ぼくはおどろいておしっこをもらす。
そんなのやだー!
ぼくはおおなきする。
じたばたする。
やだ、やだ、やだ、やだ、やだ!!!!
「たかし、たかし! 起きなさい! 大丈夫?」
ぼくはめをさます。
そとがまっくら。
あれ? おかあさん。
「おかあさん! しんじゃやだ!」
「なにを言ってるのたかしは。ほんとに馬鹿なんだから!」
あかあさんはぼくをだきしめる。
「どうした?」
おとうさんもおきる。
「おとうさん! いきてる! よかった!」
「おいおい。俺はゾンビか? そりゃ生きてるに決まっているだろう」
「この子、うなされてたの。だから起こしたの」
「そうだったのか。可愛そうに」
おとうさんがぼくをかわいそうなめでみる。
「えーん、えーん」
ぼくはなきだす。よかった。いきてて。おとうさん、おかあさん。
ぼくをみすてないで。
ずっといきててね。
ぼく、ひろしじゃなかった。




