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教会でぐうたら

ある辺鄙な村に、教会がある。

教会の外観はツタがからみコケも多く付着している。

そんな教会から、1人の女性が出てくる。若いシスターだ。

シスターはあくびをして出て行く。

「神父様。おはようございます」

シスターは言う。

「ああ。おはよう」

そう言い、そこに入れ替わりで入っていく男が1人。

神父である。

教会の仕事は、交代勤務。

正直。老体にはきついだろう。

だが、それでもやるしかない。

教会には昼夜問わず、生死も問わず。

魔物との過酷な戦いを終えた、あるいは逃げ帰った。

それらの戦士達が運びこまれてくるのだから。



日が昇り始めてまだ間もない頃。

さっそく外が騒がしくなる。

また誰かがやられたのだろうか。

神父はあくびをしながら椅子から立ち上がり、外の様子を見に行こうとし。

教会の扉が叩かれた。

「お入りなさい」

中に数人の村人が、棺を持って入ってくる。

どうやら村人が発見し連れて帰ったらしい。

棺を置くと、村人達はそそくさと出て行った。

神父は棺を開け、中の人間の様子を確認した。

「まだ16,7の青年ではないか・・・」

神父は死体をいたわる。まだこれからという人生があっけなく終焉を迎えてしまったことに、嘆き悲しむ。

神父がゆっくりと棺を元に戻す。

「この者に、神のご加護があらんことを」

神父は祭壇に祈りを捧げ始める。

教会の中は神聖な静寂で満ちる。

次第に棺が光り出した。

神の元へ送られるのだ。

そう。

俺が。

「うわあああああああああああああああやめてくれえええええええええええ!!!!!!」

俺は棺を破壊した。

こっぱみじんに。

神父は突然棺がこっぱみじんに破壊され、驚きを隠せない。開いた『お』の口がふさがらない。

「お、おぉ・・・なんと・・・。人が自らの意志で生き返りおった・・・」

神父が言う。

「ちょっと待ってくれよ神父さん」

俺は言う。

俺は先ほど木っ端みじんにした棺を一瞬で元に戻した。棺に入り直す。

「おぉ・・・棺が元に戻りおった・・・なんということだ・・・」

「俺はただ、棺の中でぐうたら眠っていただけなんだ」

俺は言う。

「そうであったのか・・・。なんということだ・・・」

「ああ。だから、邪魔をしないでくれ」

俺は言って、棺にまた寝そべった。

「すまないが、棺にふたをしてくれないか」

俺は言う。

神父は驚いた表情のまま、棺の横に復活しているふたを、俺の棺にかぶせた。

そうして、ようやっと、その場に静寂が戻る。

神父の心臓が、まだバクバク鳴っている。

数分経っても、未だ収まらない。

・・・びびったぁぁぁ。

・・・まじでぇ。

・・・死んでると思ってたら、生きてるんだもぉぉん。。

神父は思った。

俺の棺は午前中の間ずっと教会の中に放置されていた。



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