マッドネス・ストーリー01「マッドネスとソーサラー」
各ヒーローの物語と共に本筋が少しずつ進みます。
マッドネスは、まだクリーグだった頃悪人退治をしていた。
敵意を善にある程度傾けることができたのだ。
「こちら、セントラルシティのジャスティスTV、強盗団が街に出現ヒーローの出撃が、待たれます」
ヒーローの到着は遅れていた。
「マキシマム・ウォリアー、貴様の仲間は全員人質だ」
悪の大将 ジェネラル・ブラック。
彼が全てを仕組みヒーローたちを監禁し、マキシマム・ウォリアーに取って不利な状況で決闘が始まった。
だが、この話は今は関係ない。
マッドネスは、遅れるヒーローなど知らぬといったように荷台に飛び乗る。
いや荷台を突き抜ける。
爆炎と共にトラックは転倒。
「おっと、無理やり強盗団もなめられたもんだな! 」
中から何人もの子分がやってくる。
しかしそれを全て拳で頭蓋骨を割り殺してしまうのだった。
最後に残った子分は命乞いをした。
「待ってくれ! 頼む! 俺はただの配達と言われて騙されたんだ」
その男の言うことは嘘偽りなかったのかもしれない。
だがマッドネスは頭蓋骨を同じように割ったのだった。
「俺みたいに強い骨してねぇとな」
犯罪者を捕まえればヒーローだが、殺せばヴィランだ。
「ヒーローだと思われた骸骨人間は凶悪な断罪者だったのです」
TVのヘリコプターがマッドネスには欝々しかった。
だがこのころの彼は少し良心があり我慢できたのだ。
「まぁならず者には旅人って感じだな」
その場にテレポートしてくる何か。
それはソーサラーだ。
読者は知らないだろうから説明しよう。
ソーサラーはヒーロー協会に属さないフリーのヒーローだ。
あまり殺しをよしとせず、軟弱に見える。
しかし彼の持つ魔法の力は未知数で条件さえそろえばマキシマム・ウォリアーも完封できるのだ。
ここまで聞けばマキシマム・ウォリアーも相当手練れなことがわかるだろう。
「よし、交渉だまず、その手をやめようか」
ソーサラーがテレポートした瞬間に顔の目の前に拳が止まる。
元々殴られるのを察知しテレポートのエフェクトよりも後ろにテレポートしたのだ。
実際のテレポート場所と魔法陣のエフェクトに誤差を発生させるのは至難の業だ。
それをやってのけるソーサラーとは一体。
だが、肝心なのはマッドネスがヒーローという者に対して敵意を持っていることだ。
「俺を捕まえる気だな」
マッドネスは拳に力を入れ地面を殴る。
マッドネスのいた高速道は崩れ盛り上がった山の状態になる。
ソーサラーとマッドネスの間に道だった瓦礫の山が立ちはだかる。
「おいおい、どうしようかな」
ソーサラーは利己的な男ではない。
マッドネスの考え方は過激だがヒーローであると判断しあえて追わなかった。
「次は出会い頭にパンチはやめてくれよ」
ソーサラーは聞こえるように言った。
「利口な奴だ、追いかけようとも結果は同じこと」
マッドネスはスラム街へと向かった。