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ヴィラン・オリジン

アンチ・ヒーローが主人公です。


 ヒーローが存在する世界。

その中でももっとも過酷な世界。

ウォーエイジ。

ヒーロー同士が戦い争う世界。

その世界の戦いを止めるために別世界からヒーローを招集するために科学者やヒーローは集まった。

「最初は誰にするか?」

重要な問題だった。

数々のヒーローがいるが呼ぶのには時間がかかる。

一番即戦力になるものを選ぶ必要がある。

「属性を持つヒーローは弱点がある、ならば彼しかいないだろう」

選ばれたヒーローは、一番ヒーローらしくない奴だった。

「マッドネス」

反対の声があがる。

「彼はこの世界線では敵だ! 」

そう、マッドネスは暴れ憎しみを増殖させている悪だった。

しかし彼はそれだけではないのだ。

「しかし味方に付けば彼一人でもなんとかなるレベルの資質を持つ」

議会は進んでいく。

「マキシマム・ウォリアーじゃだめか? 彼は正義を持っているしかなりタフだ」

反対側の意見はこうだった。

確かにそれでもいい。

しかしマキシマム・ウォリアーは正義の気持ちを共鳴して力を手に入れる。

しかしウォーエイジには正義なんて少ししかない。

ただ、他のヒーローとなると特定の状況でないと非力になることも多い。

「わかった、マキシマム・ウォリアーだ」

連邦軍本部指揮官ドラグノフは部下に指示をする。

「マッドネスだ、責任は私が負う、この世界でもウォーエイジは勝てなかった」

転送装置は始まる。

転送装置の欠点としてそのヒーローのルーツとなる時の戦闘データを元に転送先の世界にダミーデータを作り上げて置き換えなければならないことだ。

そのデータが戦闘時でなければヒーローの転送時の完成度が下がる。

マッドネスにはその条件が合いすぎている。

彼の恐ろしい過去を掘り返すのは酷ではあるが。


 クリーグ!

その声が響き渡る。

敵兵に捕まってしまったのか?

仲間が倒れてるっていうのに、ちきしょう……。

クリーグの住む都市、連盟軍は徐々に方向性を失い独裁国家となっていった。

その中で自由は失われ人々は殺される。

そんなのが許せなかった。

反乱軍の戦いは過酷だったが悔いはなかった。

ここで終わればよかった。

死ねばよかったんだ。

じわじわと死の恐怖が迫る拷問。

「さぁ、お目覚めだ、おら」

電撃が体に流れる、焼けてむけた皮膚を見て正気を失いそうになる。

「死ぬのは辛いぞ」

拷問指揮官ブラッド。

ひどい野郎だ。

「まぁいい人体実験といこうじゃないか、俺と同じ改造兵士ってわけだ」

ブラッドは元同僚で防衛隊員だった。

性格は悪かったが今では完全なる悪だ。

改造による影響かもしれない。

自分もああなるのか?

「いやだぁぁ死なせろ」

しかしそれはかなわない。

連れていかれるまま装置に投入される。

「DNAを改ざんだ、何を入れてみるか? 」

ブラッドは機械を弄りだす。

「そうだな、まずは狂戦士化、これで精神は戦いを求める、次は憎しみへの渇望いいぞ」

ブラッドは笑い出す。

「ぐわああああああ」

装置が動き出す。

DNAが変わり昔の自分がわからなくなってくる。

俺の記憶が、汚されていく。


 気が付くと家にいた。

若いころの家だ。

まだ母親と父親が生きていたころ。

強盗にやられたんだ。

あの日。

だめだこの天気、この部屋、この新聞、あの日だ。

今日がその。

「さぁて出かけてくる、っとお前は誰だ」

あの強盗がまた現れる。

くそ、殺してやりたい。

気が付くと俺はその強盗を殺し無残な死体にしていた。

両親は俺の事を軽蔑するような目で見てくる。

「やめてくれ違う、これは! 」

あたりに叫び声が響く。


 「おっと研究所がうるさくなるじゃないか」

ブラッドだ。

「どうだ居心地は、さて、連盟に忠誠を従う気になったか」

くそ、いっそもう何もかも捨ててしまえば。

捨てて、こいつらに従えば楽になるんじゃ。

ブラッドは楽そうだ。

いや違う。

それでも俺はブラッドやこの連盟が憎いんだ。


 強制的に連盟軍に対する敵意を失わさせる改造が施されていた、しかしそれを超える憎しみへの渇望、憎しみがあった。

それは彼の体を確実に変異させた。

敵意を失わさせることに対する恐怖が全ての敵意に書き換えられる。


 マッドネスはブラッドにゾンビのように襲い掛かった。

ブラッドを手を噛みブラッドは、出血した。

血が噴き出した。

ブラッドも異常性に気づく。


 その時マッドネスは誕生した。

いいなりの人形にならない代わりに全ての敵となってしまった男。

「失敗作め! 焼却! 」

焼却装置により皮膚は剥がれ落ち、骸骨となってしまう。

それでも驚異的な生命力で生き続ける。

そして彼の生命期間を骸骨の骨が覆う。

彼の骨は骨であり筋肉、神経となったのだ。


 「さぁ始めようぜ、お前が最初の獲物でよかった、全部忘れちまいそうだがこれはまちがってねぇ」

ブラッドは笑い出す。

「いいだろう、そうこなくちゃな、クリーグ!」

ブラッドは炎に包まれる。


 マッドネスに炎のパンチの攻撃が叩き込まれる。

骨が炭になるがそれでもすぐに再生する。

「おかしいぞ、こいつ俺より強い? 」

ブラッドが無線を起動する。

「おい援軍を頼む」

その隙だった。

クリーグは温厚な人間だった為に油断してたのだ。

もう目の前にいるのはマッドネスなのに。p

後ろから頭を殴られ地面に叩き付けられ、その地面にはひびが入る。

そしてそっと無線を拾い伝える。

「俺だ、そう俺だよ、えーと名前がわかんなくなってきたぜ、そうだなマッドネス、今はそんな感じだ」

無線を握りしめ破壊する。

煙が少し舞う。


 「第二ラウンドだ」

膝をついたブラッドは殴られ続ける。

「死んだ仲間とか生きてるお前とかもうどうでもいいぜ」

ブラッドはただ殴り続けられフラストレーションが溜まる。

どうして自分がこんな目に。

ブラッドには逃げる為の装置があった。

しかし、彼のプライドがそうさせなかった。


 「ファイアーウォール」

彼の体は炎にある程度耐えることができ、彼は自身で炎を包んだ。

「ふむ、さてはお前自分で改造でもしたか? 」

マッドネスはブラッドの頭を掴み地面に押し続ける。

このままではブラッドの頭がつぶれてしまう。

「うるさい、お前はここで死ぬんだ」

ブラッドは正気を失ったのか炎が青くなる。

「しまった! 」

火力に耐えきれずに体が燃え始める。

「うわあああああああああああああ」

あたりに悲鳴が響き渡る。


 「さて、最高のショーも終わりだ、あとは邪魔な連中をなぎ倒してくだけだ」

彼にとって自分以外のすべては敵となったのだ。

そして彼はこの平和な次元でソーサラーに殺されるはずだった。

大きな悪の親玉として君臨し最後に浄化の炎で焼かれる。

そんな運命が変わったのだ。


 「君の未来を見せてやってもいい、全ては変わった」

異世界からのメッセージに困惑しつつも自分の未来に目を向けるのだった。

彼の心はいったいどう傾くのか。

正義かそれとも悪なのか。




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