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都市童話

滅亡都市ペリーレ

作者: 滅天使

 あるところに、ペリーレという街がありました。


 ペリーレは、建物という建物が破壊され、人の血の痕や戦争の爪痕が至る所にあり、人っ子一人住んでいない、地図に名前も書かれなくなってしまった、滅んだ街です。


 既に滅んでいる街なので、この先、物語や逸話が生まれることも語られることもありません。


 なので、滅びる前の話をしましょう。





 その昔、ペリーレは魔法使いの住む街でした。


 住む人のすべてが魔法が使えて、魔法だけで生きているような街でした。


 魔法で家を造り、魔法で料理をし、魔法で仕事をし、魔法で遊んで暮らしていました。


 魔法を使わなかったのは、子供をつくることと、育てることだけでした。


 それだけはどうしても魔法を使ってこなすことはできませんでしたが、できないことはそれだけだったので、魔法使いたちは不自由な思いをしていませんでした。




 時が経つに連れ、魔法の技術が向上し、魔法使いたちは、空を飛んで遠くへ行くことも、遠い場所にいる人と連絡をすることも、天候を操ることも、種から実がなるまでの時間を短くすることもできるようになりました。


 いよいよ魔法は世界で一番なるだろうという時、魔法使いたちは未だ魔法で成し得ないことがあったことを思い出しました。


 しかし、発展を遂げた今の魔法であれば、きっとなし得るだろうと信じていました。


 そしてとうとう、それに挑戦したのです。




 魔法使いたちは、植物や作物を育てるのと同じように、あるいは水から雪を作り出すように、人間もそのように作れると思っていました。


 出来上がったものは、人でも動物でもない、見たことのない生き物でした。


 人のように手足はありますが、二本足で歩くことができません。


 人のように顔はありますが、眼や鼻や口の位置がバラバラです。


 人のように声は出ますが、人の言葉は喋れません。


 魔法使いたちは、やはり成功しなかったという思いでそれを見つめましたが、同時に、失敗を直せば成功すると信じ、その後も挑戦を続けました。


 けれど、失敗をひとつ直すごとに、別の失敗が出てくるの繰り返しで、一向に人間らしい人間の生き物は生まれませんでした。


 そこで、ひとまず人間を作ることは諦め、生まれた命を植物のように生長を進めることに挑戦しました。


 魔法でからだを大きくし、知識を魔法で送りました。


 すると、その生き物は確かに大きくなり、食べ物を自力で食べることができるようになりました。


 野菜や肉を食べた後、生き物は建物に噛みつき、しまいには魔法使いたちを飲み込んでしまいました。


 魔法使いたちは、美味しい食べ物は教えたものの、建物や人は食べないのが当たり前だったため、それを食べてはいけないと教えなかったのです。


 魔法使いたちがそれに気づいた時には、生き物は食べたものでまた大きくなり、食べる一口も大きくなりました。


 魔法でなんとか動きを止めたり、殺してしまおうかとしましたが、魔法から作られたその生き物は、魔法にとても強かったため、ほとんど効きませんでした。




 こうして、魔法使いたちは自分たちの魔法の産物との戦いに負けて、滅んでしまったのです。


 その後もしばらくは、その生き物は建物の壁や岩などを食べていましたが、やがて姿を見せなくなりました。


 食べ物を探してどこかへ行ってしまったのか、それとも魔法使いたちとともに滅んでしまったのか、それは、滅んでしまったので分かりません。

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