第六話
今回は短めです。申し訳ありません…
討魔協会。その中にある魔法陣の一つ。
「集合場所は…間違ってないよね…?」
そこにエフはある人物を待っていた。当然の事ながら翼の事なのだが、今回行く任務は翼の他に同伴する人物がいる。エフは翼とその人物を待っているのだ。
「待たせたわね」
しばらくすると、翼がやって来た。翼の後ろには黒髪の少女がいた。
「彼女は狗道 白奈。白奈、こっちはエフ。今回任務に同伴してもらう見習い討魔士よ」
「初めまして。今回はよろしくね」
「こ、こちらこそよろしく…お願いします…」
初めての相手に動揺しているのか、エフはまごつきながら頭を下げた。
「そんなに動揺しなくてもいいよ。白奈って呼んで。翼、この子に内容は?」
「まだ教えてない。今から伝えようと思っていたところ」
「どんな任務なの?」
エフは翼に聞いた。
「内容は狗道 羽黒…白奈の兄を協会に連れ戻すこと。それが今回の任務よ」
「お兄さんって…協会の人なの?」
「正確には、"だった"と言うべきかな。兄さんは昔アジ=ダハーカ…悪意の神との戦いに参加してて…その時アジ=ダハーカの精神攻撃を受けてね…私達の両親を殺してしまったの…」
白奈は思い口調で言った。
「罪悪感から兄さんは協会を抜け出してそれっきりだったんだけど、最近になって連絡が来てね。協会も戦力を整えたいところだし、これを気に兄さんを連れ戻したいの」
「場所は東欧よ。彼は今そこにいる」
「その羽黒って人は今何をしているの?」
エフの質問に白奈は首を横に振った。
「詳しいことは分かってないの。ただ、色んなところでバウンディハンターのような事とか傭兵紛いの事をしたりだとかかな」
「その人の顔とかは?」
「これよ。少し小さい頃のだけど、そんなに変わってないはずだよ」
と、白奈はエフに一枚の写真を渡した。写真には白奈と紺色の髪の青年が写っていた。
「これが羽黒って人…」
エフは写真を白奈に返した。
「エフ、準備は出来てるよね?」
「まぁ…」
「それじゃあ行こっか。時間が惜しいからね」
「そうね」
三人は魔法陣の上に乗って、東欧へと転送して消えた。
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西欧の辺境地。
「いない、か…」
「ここ周辺を捜索しましたが、いませんでした」
「そうか…ん?…なるほど…東に逃げやがったか」
「どういたしましょうか?我々の偵察部隊に…」
「いや、アタシ一人で行く」
「は…しかしそれでは戦力として…」
「あの野郎はアタシらの霊力と魔力を探知して逃げたんだ。大勢で行けばまたバレるだろうが」
「わ、わかりました…」
「姉サマからもらった霊力を無駄にさせんじゃねぇよ。連絡が来るまで、お前らは待機だ。いいな」
「は、了解しました」
狗道 白奈…イメージCV:三澤紗千香