如何にして女子高校に編入したか④
百合描写ありますが...苦手でも耐えてください...
(=゜ω゜)評価ありがとうございます...書く源になりますね!
編入試験は流石お嬢様学園。嫌らしい引っ掛け問題が多数出題された。「やってる事は無茶苦茶で傍若無人なアリアだ。誰にも文句を言わさないようとことん異端たれ」と古武術の師匠の弁だ。勉強も運動はとことんやってきている。勉強の方は女子の制服を着ているのだ...ただ似合うからという理由は弱い。学校は学ぶところだ。実際テストで高得点を取っていれば些細な事のようで教師の文句は少なくなっていた。学年で5位以上をキープしていたのは伊達ではない。アリアの編入試験は問題無かった。問題があるとすれば人生義務教育で十分な考えの妹の絵理だった。
「何故、こうも世界は私に試練を課すのか! ガイアよ! あぁ‼︎ 妬ましい‼︎ 私とアリアの中を割くなど絶対に認められない!」
妙なやる気を出した妹にスパルタでアリアも勉強を教えて試験は無事パスしたようである。
GWも僅かとなった5月4日。友達と約束している絵理は明日四木々谷に来る予定だ。本当は一緒に来る予定であったがアリアもいろいろと準備が必要だ。寮に送った荷物整理は明日1日でも足りないだろう。
バスに揺られながら老婦人と遙夏という少女と時折話しつつ旅路を楽しむ。
「さぁ、次はお姉ちゃんの番だよ〜 。とって〜 」
遥夏は可愛らしい笑顔を浮かべて10本の指に絡まった赤い紐を見つめて考える。赤い紐に自身の指を絡め器用にとっていく。形を変えてアリアの指に絡まった紐を遥夏が楽しそうに再び自身の指に絡めていく。
「 あ、もうそろそろ学園前につくわね。遥夏」
「うぅ、もう少し遊びたかった...」
「ごめんね、でも遥夏ちゃんがよければまた遊ぼう? 」
「本当!やったぁ! 約束だよお姉ちゃん」
「うん、指切り」
アリアは小指を遥夏の前に出すとにっこり嬉しそうに絡めた。
「うん、約束」
ゆっくりと上下に揺れて指が離れる。
この町に住んでいるようなので彼女とは休みの日にでも会う事は可能だろう。嬉しそうに老婦人に約束した事を告げもう次に会える日は何をしようかと予定を立てている。
アリアは遥夏の頭に手を乗せて撫でる。やはり可愛い子だ。こんな妹が欲しいと思う。カメラが趣味の我が妹絵理はあわよくばアリアのセミヌードを撮影しようとする...どうしてああも変わってしまったのか。撮影技術は高く何度もモデルになっているが本当に上手い。まるで別人に思えてしまうほどである。絵理のブラコンもこの編入で治るといいが...
バスの降車ボタンを押してしばらく走ると停留所に停車する。バスに乗った短い時間であったが遥夏は寂しそうだ。
「休みになったら遊びにいくからね」
「うん、絶対の絶対だからね」
短い時間であったが信頼されたのだろう住所と遥夏のメールアドレスを交換した。毎日メールするねと笑顔で言っていたが彼女の入力速度は半端ない。メールのやり取りになれた猛者の風格すらある...覚悟がいるかもしれない主に寝不足の。
ヴァイオリンケースを片手に持ち座席から立ち上がる。ふと視線を感じて後部座席に目をやると大ちゃんと呼ばれていた少年がアリアを見て慌てて視線を逸らした。その頬は赤い。
必要な運賃を支払いバスを降りる。
「お姉ちゃん! またね‼︎ 」
「...うん」
ちょっと上げた手をゆっくり降りバスを降りると暖かな陽射しと爽やかな風が吹き抜けていく。
ちょうど車が一台通れる舗装された道が山へと伸びていた。その入り口には私立四木々谷女学園と表札が施された簡素な石造りね門があり鉄製の柵は開放されているのは田舎故か。バスはまだ発進していないようだ。バスの後ろの見える位置まで移動し少年達を見ると何やら言いたそうな大ちゃんがこっちを見ていた。
クスリと妖しく笑みを浮かべれたと思う。何故そんな気になったのか。Sではない筈なんだけどと思いつつスカートをちょんと摘む。スルスルとたくし上げていくとスラリとした細い足に黒のストッキングが覗く。
ガン。と鈍い音がしてバスの窓に張り付く少年達には刺激が強いようだ。ストッキングに伸びたガーターが見え後少しで下着というところで指を離すとアリアの脚を再び覆い隠した。
バスの中で盛大にこけた少年達は聞き取り難かったがで見せろよと叫んでいるようだ。
「あはっ」
声を出して笑ったのは久しぶりな気がする。ゆっくりとバスが発進をし始めたので少年達に向けてヒラヒラ手を振って見送った。
少年達の抗議のようにバスの警笛がなり見えなくなった。
「ふぅ、やっぱり緊張してる...か」
先程少年達をからかった行動も気を紛らわせようとしたようだ。改めて一人になり緊張感が自身にのし掛かっているなと自己分析。
「まぁ、此処まで来てね...行くしかないでしょ」
道の奥に佇む建物を見てアリアはペチッと頬を軽く叩き歩きだした。
昼の太陽は五月ともなれば暑い位で桜並木の青々とした葉がそれを和らげるが流石に暑い。どんなに暑かろうとゴスロリ衣装はマイジャスティス何があろうと脱がないのだ。舗装された道を中腹まで進むと横に伸びる道があった。獣道というほどでもなく歩くのに支障がない程度に手入れがされているようだ。そこから誘うように涼しい風が吹く。汗ばんだ肌に心地よい風が通り抜けていく。
「まぁ、まだ時間はあるか」
アリアはふぅと呼吸を整えて横の道に入っていった。
風で揺れる木の枝が葉が擦れ合う音がする。まるで一つのメロディーのようだ。自然の奏でる音楽に身体を揺らしてアリアは歩を進めて数分森が開けた。
大きな湖だ。ざぁと風が吹いて水面がゆれ静かに水音を上げる。アリアが眺める対岸にはひっそりとした西洋の宮殿を思わせる建物が見えた。あっちの建物は四木々谷女学園の姉妹校の星華女子高等学校だろう。ちょうど四木々谷女学園と星華女子高等学校の間にコテージが見える。遠目だがお店のようだ。後で行ってみるとしよう。そう今はこの自然が奏でる音楽に身を委ねるとしよう。ヴァイオリンケースを近くの岩場に置き中からヴァイオリンを取り出す。ゆっくりと構えて目を閉じ弦を弾いた。
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「冬姫様、お慕いしています」
顔を赤く恥じらいで染め小さな唇から紡がれた告白に冬姫と呼ばれた少女が魅入る。
可愛らしいと思うのはきっと自分以外も今の彼女を見れば思う筈だ。羞恥で身体を震わせながらも彼女は私を見据えた。
あぁ、食べてしまいたいーと火が点いた欲求は益々激しくなる。
四木々谷女学園では女子同士の恋愛は当たり前のようにある。誰と誰が付きあっているかなど狭い鳥籠ではあっという間に広がる。
だが誰も外に出れば何も言わない。此処での生活が終わってしまえば殆どが会った事も無い男性とお見合いし婚約するのが大半である。
自分達に自由はない。
学園を巣立った後も飾り物としての役目のみだ。
唯一の自由がこの学園での生活だ。全寮制で肉親の介入など余程の問題を起こさなければ有りはしない。与えられた鳥籠は彼女達にとって唯一の楽園だ。
故に自身の子供が産まれれば四木々谷女学園か星華女子高等学校をやんわりと上げて認めさせるのだ。この唯一の楽園を我が子にと...。勿論この学園も不純異性交遊は禁止されているが数々の伝説を築いたOBが学園の理事長なので緩くなっても仕方ない。
理事長が主に学園生活を送っていた寮の屋根裏部屋はお風呂もトイレも完備である。何人もの女子と致したと今でも語り継がれているが本人に確認したが笑って誤魔化していた。
そんな彼女の愛用した部屋に編入生が入る事になったと聞いたのは昨日の事である。寮生活と知っているだろうに数多くの荷物が搬入されていた。
告白し頬を赤く染めた少女の肌にそっと触れる。
「そう? 慕って頂いて嬉しいわ...でもどの位私の事を思ってくれているのかしら?」
「とても...」
「とても?ごめんなさい。わからないわ...私にはっきり答えて」
僅かに強い口調で彼女の顎に手をやりこちらを向かせる。
指先から彼女の熱と身体の震えが伝わってくる。今にも泣きそうなほど濡れた瞳は自分自身も熱くさせた。
「...愛しています」
か細い声だった。間近であった為聞き逃すことはなかった。耐えきれず決壊した涙が頬を伝う。
嗜虐心がくすぐられる。
いつもの悪い癖だ。
「何を仰ったの? 聞こえなかったわ」
「お姉様...」
縋りつくような甘えた声だ。ちゃんと言えたら唇を無理矢理にでも奪おう。
しかし彼女の口から言葉は紡がれなかった。
声を発しようとした彼女の先手を取るように割と近くから音色が聞こえてきた。ヴァイオリンの音色だ。近くに誰かがいるらしい。
とんだ邪魔をされたようである。しかし彼女は私のだ。此処まで焦らしたのだ我慢の限界である。
「ねぇ...」
私の声に身体をびくりと震わせ彼女が俯き脇をすり抜けてしまった。
「え、ちょっと...最悪なんだけど...」
素で愚痴った。彼女の走り去る背を見送り溜息を吐く。
「全く誰よ...折角の小鳥を追い払った野暮な演奏者は」
雑草を避けながら音色のする方を進んでいく。
私の可愛い獲物を逃したのだ。文句の一つでは足りない。森を抜けて湖畔にくるとそいつはいた。
銀色の髪を風に靡かせまだ幼さの残した容貌。黒いフリルのあしらった洋服はよく似合いまるで西洋人形のようだった。
一言で言えば幻想的な美しい少女だ。一瞬だけほんの一瞬だけ魅入ってしまった。
それが私冬姫ー藤堂雪華と後の春姫九条アリアとの初めての邂逅であった。
ここでゲームのオープニングムービーが!
流れません...。
読んで下さり感謝を。