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第六十八話

西商

柳167

小町174

小倉178

大賀185

能勢188


和城

坪井165

城169

師走170

嘉藤190

神谷190


「…やはり、二人はでかいな。」

 他が小柄とは言え、190が二枚。このペイント内の高さは県内屈指だろう。できるだけその身長差を活かされないような試合を展開しなければならない。しかし、明日も試合があるし、体力は温存したい。

「ディフェンスは最初はマンツーマンで行こう。オフェンスでは、相手はゾーンをしてくるかもしれないから、焦らずに対処しろよ。」

 普段通りの指示を出す。この進め方のままリードできれば問題ないのだが…。

「さあ、行ってこい!」

「おっす!」


 メンバーがコート中央に集まる。ジャンプボールで跳ぶのは能勢と神谷だ。

「よろしく。」

「あ…はい。」

 神谷は能勢と握手をする。そして、両者構える。

(身長差はほとんどない。能勢なら勝てるか?)

 私はそう思った。能勢が今までジャンプボールで負けたのは大神にやられた一回のみだ。

 …しかし、ボールを弾いたのは神谷!

(…高い!)

 やはり、リバウンド勝負では相手に分があるようだ。

 

 和城は、ガードの坪井が選手達を動かす。

 パス回しをしながら、シュートフェイク、ドライブフェイク。

 外でボールが回るだけの、まるで攻める気がないようなオフェンス。そこから、急に神谷がペイント内で面を張る!

 そこに、完璧なタイミングでパスが通る。神谷はボールを受け取り、ターンアラウンドシュート。

 …これはリングに嫌われるも、神谷は能勢の頭の上から手を伸ばし、リバウンドを奪取!

そのまま、強引にシュートを決める。

「能勢、スクリーンアウトはどうした!」

 …と、怒ってみたものの、流石にゴール下からシュートを打たれると、そこから押し出す程のパワーは能勢には無く、そして高さで負けているとなれば、今のを止めるのは容易ではない。

 要するに、あそこで面を張られた時点でほぼ負けているのだ。

 しかし…高さか。あの高さを止めることができれば…。

 私はベンチの高田を見る。


 …彼は試合を見ておらず、観客席の方を見ていた。


「田部!あそこ、桜ちゃん来てるぜ!」

「ああ、そうなんだ。」

「馬鹿、もっと張りきれよ!良いとこ見せたいだろ!」

「試合に集中しようよ。」

「だから、俺は桜ちゃんがいることで、集中度が…イテッ!」

 鬼監督、黒沢。怒りのゲンコツ。

「高田、また前みたいに保健室に行くか?」

「いや、いい…です。」

 高田はしょんぼりと項垂れる。ちょっと、こんな奴を使うわけには行かないかな…。


 西商のシュートは外れ、また和城のオフェンス。先ほどと同じようなパス回しから、今度はハイポストの嘉藤にパスが通る。

 そして、大賀の頭の上を通し、ゴール下の神谷へボールが渡る!

「そこ、簡単に入られるな!」

 小倉もやられてはいけないポイントだと認識しているようで、すぐにカバーに入ろうとする。

 マークマンの能勢、そして小倉のブロックをかわすように、神谷はフェイダウェイを放った。


 …そのボールは、真っ直ぐ能勢の元へ弾かれる!

「!?」

 神谷が身体を後ろに倒してシュートを放った際、そのすぐ近くにいたのは、大賀。視界の裏から、見事なブロックを見せた。

「よし、速攻だ!」

 ボールは能勢から柳、柳から小町へ。小町はスリーのライン近くまでボールを運んだ後、シュートを構える。

 ディフェンスの視線が集まった瞬間、フリースローサークルへパス。そのパスを取ったのは、大賀!大賀はそのまま、レイアップを沈める。

「大賀、よく走ってたな…。」




「外れる!リバンッ!」

 和城のSG、城が叫ぶ。ゴール下に人が集まる。

 190の二人、そして188の能勢を差し置いて、リバウンドを取ったのは大賀!

「大賀先輩、絶好調だ!」

 ベンチも歓声を上げる。


 その後も西商のペースで試合が続く。小倉がスリーを決めるが、神谷はゴール下でシュートミス。次のオフェンスでは大賀がオフェンスリバウンドを取ってバスカンを決める。

 次の和城のオフェンスも城のスリーが外れて終わり、西商は柳のアシストで能勢が得点する。

「おいおい、すごくいい感じじゃないか。」

 試合前の心配など、無用のものだったかのように、西商は良い流れのまま試合を進める。

 特に大賀は、ペイント外からのドライブを果敢に仕掛けて、マークマンの嘉藤を圧倒していた。

大賀にとってドライブから仕掛けるパターンは初めて挑戦するものだったが、嘉藤のディフェンスははっきり言ってフリーパス。大賀は得点を量産していた。

対する和城は、どうも自分達の力を出し切れていないような様子だ。

「だから、ボールを中に集めろよ!」

 和城の監督は、ひたすらボールをインサイドの嘉藤、神谷に集めようと指示している。そのパスワークはかなり連携の取れているものだったが、当のインサイドプレーヤー達がシュートを決めきれない。

(大賀の好守もあるが…。それにしても、神谷って選手、何かやり辛そうにしてるな…。)

 

 38-19。2Q終了間際で、ダブルスコアがつけて西商がリードしていた。


 和城の選手達の足は重い。一つ一つの動きが緩慢になってきた。

(西商って、こんなに強かったのか…。)

 気持ちを呑みこまれそうになっていた、その時。

「らしくねえな、神谷。」

「…え?」

「いつからお前はこてこてのセンターになり下がったんだ?」

 試合中にも関わらず、神谷に話しかけているのは、小倉。

「お前、自分で言ったあの約束、忘れたのかよ!」


次回、ちょっと回想入れます。


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