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第六十一話

 日曜の練習を終えて、月曜日。授業が終わってから、バスケ部を保健室に集めた。

 何故保健室かというと、県大会のパンフレットには身長を書かなければならないので、正確な身長を書くためにも、もう一度測ることにしたのだ。

「伸びてるといいなー。」

「俺、中三で身長止まったんだけど、まだチャンスあるか?」

 口ぐちに何か言いながら、全員測っていく。結果はこうだ。

 三谷173cm

 柳167cm

 大賀185cm

 中野177cm

 小倉178cm

 小町174cm

 五島171cm

 藤原180cm

 田部160cm

 高田190cm

 能勢188cm


「能勢、お前めっちゃ伸びてるじゃん!まだ伸びるのかよ!」

「いやあ…、なんか、恥ずかしいな。パンフレットには186のままでいいですよ。」

 能勢は照れたように頭をかく。よく見れば、もう高田との身長も大差ない。

「待ってよ、俺、ちぢんでるんだけど。」

 中野は納得がいかないという表情で数値を睨む。まあ、身長は朝と夜でも大分違うとも聞くし、たまたまだろう…。

 しかし中野はともかくとしても、数人はこの二カ月の間でも1,2cm程度は伸びているようだ。もう高校生と言っても、育ち盛りには違いないのだろう。

(俺は高校三年間で3cmしか伸びなかったけどな…。)

 黒沢は羨ましそうに部員達を見た。


「俺、167って何かキリ悪いから、170ってことにしとこうかな。」

「駄目だろ、そんなの。…それにしても、平均身長は176.6ぐらいか。これって、県内でもかなりでかいほうじゃないか?」

「部員数が少ないのもあるけど、確かにでかいな…。うちの県は飛びぬけてでかいやつって言ったらアチーブの二人と小曽工業のモアイ野郎ぐらいだし、どことやっても見劣りはしなさそうだな。ま、高田が戦略として使えるかは微妙だけど。」

 小倉が毒づく。高田はムッとした表情を見せ何か言おうとするも、前回の失態もあってか返す言葉が見当たらないようで、肩を落とした。

「なんかすみません、平均身長下げてて…。」

 田部が頭を下げる。しかしその頭を柳が叩いた。

「いーってことよ!気にすんな!」

「お前も平均身長下げてる一人だろ。」小倉が突っ込む。


「さあ、次は体育館に移動しろ。まだやることがあるんだ。」

 部員達を急かす。次にやることと言えば、パンフレットに載せる写真を撮ることだ。

「横一列で撮るのと、前列後列で分けるのと、どっちがいい?」

「どうせ十一人だし、一列でいいじゃろ。」大賀が答える。

「えー…。」

 横一列で撮ると身長の差がはっきり分かるので、低身長組はあまり嬉しくなさそうだ。しかしこのことにあまり時間をかけるわけにはいかない。さっさと並ばせて、撮ることにした。

(横断幕とか後ろにあったら映えそうだな…。) 

 部員達は示し合わせているのか、全員腕組みをして、口を結んでいる。不思議と笑ってしまいそうになるのをこらえながら、パシャリ。

「これでよし。後は、私が来るまで三谷の指示で練習しておけ!」

 そう言って私は教官室へ戻る。パンフレット用のデータを送信しなければならない。

 持参してきたノートパソコンの電源を入れて、部員達の背番号、名前、身長、出身中学、写真をメールに添付。

「背番号は学年順、背の順にしとくか。あとは…、チームの紹介文か。」

 さて、何を書こうか…。

 


 一、二年生が主力の若いチームです。久しぶりの県大会出場。目指すはベスト8…

「いや、違うな。」

 目指すは優勝です。応援よろしくおねがいします。

「こんなもんでいいか。テンプレ通りみたいなもんだが…。」

 この文章をメールに載せて、送信する。一仕事終えたなと思って少し溜息をついていると、教官室に誰かが入ってきた。

 …佐藤先生だ。

 ここまで走ってきたのか、若干汗ばんでいる。

「あら、黒沢先生。練習は見なくていいんですか?」

「ああ、今はパンフレットのデータを送信していたんですよ。」

 そう言いながらパソコンをシャットダウンした。

「そうですか。大変ですよね。この時期に…。期末テストのほうもあるし。保健体育は中間テストはないんですが、期末テストはあるので、より忙しくなっちゃいます。」

「パンフレットの作業は、女子の方もあるんじゃないですか?」

「うちはシードですから。地区予選はすっとばしてるので、先に済ませておいたんです。」

「なるほど…。」

 女子は春大会で準優勝している。その為、この県大会はシードで出場できるのだ。何と羨ましいことか…。

「シードと言っても、目標は優勝なんですから、条件は変わりませんよ。ただ勝ちあがっていくだけです。男女とも、打倒和城、ですね。」

 男子バスケ部が一回戦で当たる和城高校。その和城高の女子は、黒人留学生を擁して春大会で優勝したチームだ。もちろんそこに、西商女子も破れている。

「そうですね、打倒和城。まずは男子からになりますね。」

「ふふ、そうですね。」

 佐藤先生は笑いながらおもむろにジャージを一枚脱いでTシャツ姿になると、体育館へ向かって行った。忙しいのはどちらも同じだ。

(さて、和城、島上、アチーブか…。島上がどんなチームなのかは分からないが、とりあえず和城とアチーブの対策はしておかなければな。どちらもでかいチームだ。今までのように点も取れないだろう。)

 椅子を揺らしながら考える。しばらくして私は携帯電話を手に取った。

(彼らを呼んでみるか。)


淡々と進めております。

あと、地区予選編のまとめをアップしました。

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