第四十話
「小説家になろう」に挿絵を投稿する機能があると聞いたので、ちょっと使ってみました。表示されてるかな?
ちゃんと使えるようなら、ちょくちょく入れるかもしれません。
「痛ッ!」
鯉幟が強引に能勢にブロックに行く。能勢はその手を左手で制しながら、右手でフック気味のシュートを放った。ファールの笛が鳴ると同時にボールがゴールに吸い込まれる。ボーナススローも決めて、能勢は49点目。
「すげえな、能勢…。」
ベンチでは藤原が感心している。
(あと11点…。)
正心のオフェンスでは、山口がスリーを打つも外れる。しかし、鯉幟が能勢を完璧にスクリーンアウトで抑えてペイントエリアから押し出し、オフェンスリバウンドを取ってシュートを決めた。
「おい!何やられてるんだ!」
「すみません!」
(力じゃ負けてる…。スキルで勝負しなきゃ。)
続く西商のオフェンスで、能勢がドライブを仕掛ける。抜ききれないと見るや、ステップバックしてジャンプシュート。これはリングに弾かれて、正心ボールとなった。
「くそお…。」
正心は残り五分の時点でタイムアウトを取った。五人で戦っている向こうの選手たちの疲労は相当なものだろう。
「能勢、お前分かってるか?」
私は少し厳しい言い方で能勢に言う。
「鯉幟に勝つということは、1on1で鯉幟を打ち破ることじゃないだろ。勘違いするなよ。」
「は、はい。」
「点の取り方なんていくらでもある。」
ハイポストに立つ能勢にパスが入る。鯉幟を背にして、ゴールを横目で見る。瞬間、45度にいた小倉がゴールへカットする。そこに能勢はパス。マークマンの山口は遅れて走り出す。
「ちょ!」鯉幟がヘルプに行く。
しかし、小倉はパスを弾くようにして能勢に返す。フリーになった能勢は落ち着いてレイアップを決めた。
「山口!ボールばっかり見てるからそうなる!ちゃんとマークマンの動きも同時に見とけ!」
庄先生がもっともらしいことを言っている。バスケはほとんど知らないと言っていたが、勉強もしている様子だ。
西商の攻勢は続く。今度は大賀と能勢でダブルハイポスト。ボールが大賀に入ると、能勢が大賀から回り込むようにボールを貰いに行く。能勢に手渡しでボールを渡すと、大賀はスクリーンで鯉幟の動きを止めた。ヘルプに来た飯見は171cm。能勢はワンドリブルでゴール下まで行き、シュートを決めた。
次は田部とのピック&ポップ。能勢がボールマンにスクリーンを掛けた後、外に開いてボールを貰おうとするプレーだ。能勢は一瞬ゴールへ向かうと見せて外に出る。この動きに鯉幟は反応が遅れ、能勢はフリーでスリーを放った。このボールは綺麗な回転をしながら、小気味良い音と共にゴールに入った。
「やべえ、止められねえ…。」
鯉幟はふーっと息を吐き、庄先生の方を見る。
「仕方ない。気持ち切り替えろ!二回目は止めるんだ。」
庄先生の手にはまたメモ帳がある。これらのセットプレーも覚えようとしているのだろうか。
(そうだ、セットプレーはフィニッシュできるポイントを作り出そうとする動きだ。落ち着いて動きを見れば、相手の狙いも分かるはず…!)
西商は、今度はピック&ロールのプレーを狙う。これは先ほどのように能勢が外に開くのとは違い、中に切れ込む動きだ。今度も能勢は一旦外に開くふりを見せて、中に切れ込む。田部はすぐにパスを出した。
「そんな単純なフェイクに引っかかるか!」
鯉幟が手を伸ばして、ボールをカットする。そしてそのまま一人で速攻に行き、全速力のままレイアップを決めた。バスケを本格的に始めたのが高校からとはとても思えない走力だ。
「っしゃ行こう!まだ行けるぜ!」
残り一分で84-42。普通ならとっくに気持ちが折れてる時間帯だろうに、このハッスルは感心する…。
「田部、さっきのは自分でスリーが狙えただろ。別に全部能勢で行かなきゃいけないわけじゃない。判断を間違えるな。」
そして、田部を叱る。先ほどのピック&ロールではスクリーンで田部がフリーになったが、鯉幟はヘルプに行かなかった。それなのに、能勢にパスを出そうとしてはこのプレーを練習する意味がない。
「あと四点…。」
残り一分だ。能勢は少し焦る気持ちが出てくる。
「四点?四点ってなんだ?」
それを近くにいた大賀に聞かれてしまった。
「あっ!いや!なんでもないです。」
「ほお…。まあ大方あの先生にでも何か言われとるんだろ。60点取ってこいとか。」
能勢は目を泳がせる。このことは他の部員には言うなと言われていたことを思い出す。
「そういうことなら、任せろ。全力でサポートしたる。」
大賀はそう言って能勢の背中を叩いた。
今度は大賀のスクリーンを使って、能勢をコーナーでフリーにする動きだ。鯉幟が大賀に手間取っている内に、能勢はフリーでミドルシュートを放つ。
しかし、これは外れる。
大賀が鯉幟とリバウンドを競り合う。大賀は鯉幟より高さは無いが、腰を落としたパワフルな動きで鯉幟をバックボードの下に押し込む。
「つ、つええ…。」鯉幟は大賀の岩のような重たさを感じた。
そして、大賀は落ちてきたボールを手を伸ばしてキャッチ。そのままシュートに行くかと思いきや、大賀は能勢にパスを出した。
「決めろ!」
能勢は再びフリーでシュート。これは綺麗に決まった。
あと二点。
正心のオフェンスでは、中原が最後の反撃とばかりにスリーを決めた。そして、西商の最後のオフェンスが回ってくる。
左45度の位置で、能勢のアイソレーションだ。能勢はまだ動かない。
「絶対止める。」鯉幟は挑戦的な目つきで能勢を見る。
「いや…。」
「絶対取るから。」
残り十秒。能勢は、何とトップにいた小倉にパスを出した。
「え?」
鯉幟が呆気にとられていると、能勢は小倉の方へ走りだす。小倉はゴールに背を向けて能勢にボールを差し出す。
しかし、能勢はこれを貰うフリをするだけで、取らない。小倉を回り込むように今度はゴールへ向かっていく。
「そういう狙いか!」
鯉幟はゴールへ向かう能勢を止めようと走り出した。すると、まるで壁にぶつかったように、体が止められた。
大賀のスクリーンだ。
(結局最後まで能勢か…。)
小倉は、ゴールへ浮かせたパス。
ドンピシャのタイミングで跳んだ能勢がそのボールを掴み、ゴールに叩きこんだ。
「今日はありがとうございました。良い経験になりました。」
庄先生はぺこりと頭を下げた。
「こちらこそありがとうございます。うちの子達も何かを掴めたようですよ。」
「じゃあ今度は、また夏大会で会いましょう。」
「はい。正心とは同地区なので、地区大会で当たる可能性は高いですね。」
「そうですね。じゃ、鯉幟、最後に一言何か言え。」
「えっ?」
急に話を振られた鯉幟は一瞬驚いた表情をしたが、ちょっと姿勢を改めてから言った。
「今日はホントありがとうございました。とても成長できたと思います。大会前に西商とやれてよかったです。」
「うん。」
私は笑顔で頷く。
「この恩は、夏大会で西商に勝つという形で返したいと思います。」
「いや、それはいらんぞ…。」
そう言って全員で笑い合う。
夏大会まであと二週間。さて、どこまで調整できるか。
※画像はイメージです。NBA2kで適当に撮った画像です。能勢はヒゲ生えてません。




