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第二十七話

更新が遅れてて申し訳ないです。

忙しくて書く時間が取れず…今回も短めの内容です。

 春大会で地区予選二回戦負けを喫した翌日、私は土師校長に呼ばれた。用件は当然、バスケ部のことについてだった。

「聞きましたよ黒沢先生。春大会、もう負けてしまわれたんですって?」

 土師校長は白ひげを掻きながら、不満そうに足を組んでいた。

「ええ、すみません。私の力が及ばないばかりに。」

「県大会に出場してくれたら、私も見に行こうと思っていたんですが…。そんなに強い相手と当たったんですか?」

「そうですね。確かに手強い相手でしたが、決して勝てない相手ではなかったと思います。」

「ふーむ…。それは、黒沢先生の采配が悪かったという意味ですか?」

「え?いやまあ…そうかもしれません。」

 部員が悪かった、などと言えるはずもない。責任があるとしたら、私だ。

 土師校長は溜息を付きながら(そして白ひげを常にいじりながら)、こう話した。


「黒沢先生、勘違いしているのかもしれませんから言いますが、高校スポーツというものに、才能なんて言葉はいらないんですよ。結局は監督の指導力で選手の能力が決まるものです。私がこの高校の野球部の監督に初めて就任したとき、部員は皆、体は弱く、経験も浅い者達ばかりでした。才能豊かな選手なんていなかったでしょう。しかし、私はそのチームを必死に指導して、甲子園まで連れて行った経験があります。」

 土師校長は、足を組みなおして、続ける。

「また、こんな話もあります。ある強豪校の監督が、別の弱小高と呼ばれる高校に転勤した時、転勤元の高校の成績はそれから低迷し、転勤先の高校は瞬く間に強豪校となった…。これらの話からして、何より大事なのは指導者なのです。試合に負けたのを部員のせいにしてはいけませんよ。」

「…なるほど。もちろん部員のせいにはしませんが…。」

 監督の指導力が全て、というのも間違っているような…。

「私は今でも覚えていますよ。教え子たちと甲子園に行ったあの日のことを…。共に育ってきた存在だからこそ、あの感動があったのでしょう。仮に選手の能力を過信して大した指導をしてなければ、試合には勝てなかったでしょうし、あの感動も無かったことでしょう。」

「はあ。」

「まあ黒沢監督はここに来てまだ日も浅い。流石にすぐに結果を出せというのも酷な話でしょう。…しかし、次の夏大会には期待しておりますぞ。」

 土師校長の目がキラリと光る。赴任当日に話した時には無かった、威圧感を感じた。

「…分かりました。必ず、結果を残したいと思っております。」


 指導力至上主義者は、どうも古豪の高校には多い気がする。昔はこれで勝てたとか言っている人間がそれだ。努力は必ず才能を上回ると信じているようだ。

 しかし、バスケットボールという競技においては、それだけでは勝てないと思うことも多々ある。どれだけ指導しても170cmの選手が200cmの選手からリバウンドを取るのは容易ではない。また、同じ中学で同じ監督に指導されていたとしても、部員の間に明らかな能力の差が出てくるものだ。

 ただ、バスケは才能ありきなので指導者は必要ない、と言っているわけでは当然ない。教え方次第で選手の成長するしないは大きく変わる。先ほど校長が話していた、監督が移転先の高校を強豪にした話も嘘ではないだろう。しかし、指導者の力量次第で勝ち負けが決まるということはない、と私は考える。特に高校スポーツのレベルでは、才能の差というものが嫌でも出てくる。私もそれを思い知らされた人間だ。




 …さて、ここで一度、山岡県の高校バスケットボール界の勢力図を確認したいと思う。これは、土曜、日曜の試合の前後に他校の監督と話をして確認したものだ。

 まず、山岡県には“ベスト4の壁”と呼ばれる物がある。常にベスト4以上は同じ高校の名前しかないことからそう呼ばれ始めたのだ。まずはその四校を紹介したい。

 現時点で山岡県最強と評されているのはあの大鷲先生のいる私立大芸高校だ。前回のウィンターカップでは二回戦負けだが、今年の新一年生に有望な選手が多い。特に、U-15の山神は即戦力として非常に期待されている。

 その対抗馬となるのが、私立アチーブ高校。通称“アッチ”だ。196cmの選手と、197cmの中国人のツインセンターを擁する高校であり、県下トップの高さを誇る。大芸は最長身の選手が191cmなので、インサイドでは“アッチ”に分があるだろう。

 さらに、県立至誠報徳という高校だが、この高校には体育科がある。そのため練習量は県内でも一、さらにスポーツに関する様々な専門家がおり、優れた練習環境が整っている。しかしビッグマンには恵まれないためか(最長身は183cmだそうだ)、ここ数年はベスト4止まりの高校だ。

 最後が、山岡大付属高校。この高校はずっと昔から県内トップクラスの進学校であると同時に、バスケ部も県内トップクラスを維持してきた。入学してくる選手は、バスケも頑張りたいが、勉強も頑張りたいという意志を持った人間や、山岡県の伝統を背負っている高校でプレーしたいという人間が多い。それだけ、高い意識を持った選手が多い高校だ。他の三校とは雰囲気がまるで違うと評価されている。


 他、ベスト8以下はかなり混沌としている状態で、毎年顔ぶれが変わる。ここに喰い込むだけなら、西商ならできるはずだと私は考えている。

 ただ、ベスト4はどうだろうか。そう考えて来週の日曜日、練習を早めに切り上げて春大会の三位決定戦と決勝を見に行くことにした。


今更ですが、この小説に出てくる高校は実在の高校とは全く関係ないです。もし同名だったり似てる名前の高校があったとしても、気にしないで下さい。

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