第四話 苦悩
とにもかくにももう一度部員を集めて話し合うべきだ。部室に行ってしまった部員は、柳、小町、五島、藤原の四人だと聞いた。練習試合はまでもうほとんど時間がない。
三年生の三谷に部室まで案内してもらった。彼は松葉杖をついて歩いていたので他の部員に頼んだ方が良いと考えたが、「他の部員の練習の邪魔をしたくないし、別に歩くのがつらいということはないですから。」と三谷が言ったので、案内役は頼むことにした。
部室は一分程度歩いたところにあった。ドアの傍に立つと、中から愉快そうな声が漏れているのが分かった。一応ノックをしてから、ドアを開いた。
「あれ、先生。帰ったんじゃないですか?」
真っ先に反応したのは確か先ほどヤナと呼ばれていた男だ。半笑いの顔をこちらに向けてくる。
「確かに帰るとは言ったが、気が変わった。もう一度体育館に集合しなさい。」
「えーっ。」
「なんだよそれ…。」
「眠いんだけど。」
部員達は口ぐちに文句を言っている。誰もすぐに動こうとはしなかった。
「三谷、お前から何か言うことはないのか?」
三年生の方が監督より発言力がある、という部もあるはずだ。そう考えたが、彼は笑顔のまま、「いや、僕はこいつらの好きにやらせてますから。」と言って立っているだけだった。
「いいから!早く体育館へ来るんだ!」
「はーーーい。」
「ちょっと待って、バッシュどこいった?」
「十分寝かせて。」
やはり動こうとしない。すると、後ろから急に大声が発せられた。
「おい!お前ら練習だ!早く体育館に戻れ!」
二年生の大賀だった。私よりずっと大柄で、低い声を発する彼はかなりの威圧感を放っている。彼は部室の部員を一通り睨んだのち、「いいな!」と叫ぶとくるりと向きを変えて帰って行った。
「はいはい。」
「オヤジには逆らえませんわ…。」
「目ぇ覚めた。」
などと言って、次々に部室から出始めた。私などいなかったような素振りで。
…なんなんだ。私の何が行けないんだ。
あれか、私の身長が160ちょっとしかないのが悪いのか!
黒沢信吾、彼もまた身長にコンプレックスを持ち続けてきた人間の一人である。
今回は短めです。




