第二十八話 誓い
あのゲームが終わってから斗真は賢吾から一つの部屋に招待された。
その部屋がとても広く、薄暗い場所だった。
「待ってたよ、斗真」
「…兄さん」
賢吾は大きな机に座っている。
「どうだ?あのメインイベントは」
「……」
「もちろん、あのゲームは説明通り平等に行ってる。俺はイカサマが嫌いだからな」
「なぜ、KRONOSを作った?」
「別に俺が作った訳じゃない」
「前からあったのか?」
「ああ、その通りだ。だから俺はこのKRONOSを乗っ取り今、こうやっていろいろとやってる訳だ」
「何でこんなこと」
「別に理由は無いさ。ただ面白いから」
斗真は拳を握りしめた。
「斗真も思ってるはずだろ?この世界はクズだ。信頼や仲間なんてただの偽りに過ぎない。社会なんて嘘で溢れ尽くしている。もう救われないって」
「………」
「この世界は人を犠牲にしなければ登ることが出来ない。そして、勝たないと弱者。力あるものが登る。クズが沈んでいくのは当然のこと。勝者だけが頂点に登り続けることが出来る。それがこの社会でのルールだろ。そんな世の中なのだ。潰し合いなんて、日常茶飯事だ」
「………」
「だから、お前もこっち側に来い。お前なら強者になれるはずだ。いつでも、俺は歓迎する」
賢吾は斗真に手を差し出した。
「………」
斗真は賢吾の手に手を伸ばした。
パンッーーー
だが、斗真は賢吾の手を叩いた。
「…なぜだ」
「本当に変わったな、兄さんは…」
「ああ、俺は勝者に変わったんだ」
「違うな。兄さんはただ逃げてるだけだ」
「逃げる。この俺が!?」
「ああ、逃げてる。本当の世界が見えてない」
「本当の世界?何をいってるんだ」
「俺は決めたんだ…兄さんを倒してこの腐った組織をぶっ潰すってな」
「ふふっ、ははは、あははははははははははははははははははははははははははは」
賢吾の笑い声は部屋中に響き渡った。
「斗真…やはり面白い。潰せるものなら潰してみろっ!いくらでも相手してやる」
二人は睨み合った。
斗真はとある高層ビルの前に立っていた。
そして、高層ビルの出入り口から黒いスーツの男が3人出てきた。
真ん中にいるの人はいつも俺にゲームの招待状を持ってくる男だ。
「待っていたよ。深見斗真」
「待ってろ。すぐにぶっ潰してやる……」
「ふふふ…楽しみにしてるよ」
そうして、斗真はビルの中に入っていった。
俺は進む…それが俺の決めた道だから……
これが最後です。
そして、始まりでもあります。
といいながら、次回予告を次話に投稿します。
最後の後書きも次話の方に書かせていただきます。
では、またすぐにっ!