第十九話 賢吾
「あ、あのっ」
希は参加者全員に声をかけた。
「皆さん、全員で協力しませんかっ」
周りはざわついた。
騙し合いのゲームの中でそんな事を言う人なんてなかなかいない。だからみんな戸惑っているのだ。
彼女はついに自分から動き始めたのだ。
「いい意見だとおもうよ」
優里は希に微笑みかけた。
「みんなも協力しない?騙し合うのやめない?」
そして優里も参加者に問いかけた。
「俺も乗る。ゲームから抜けたいやつは抜けさせてやる。もちろんただでだ。ここまで来たって事はマイナスはないはずだ。悪い案ではないと思う」
斗真も希の提案に乗ったようだ。
「僕もいいと思いますよ」
賢吾も乗ってきた。
それから参加者全員は希の提案に乗った。
今までにないような光景だった。
このゲームの中で全員が協力をするなんて……
「じゃあ、まずは全員で青に入れましょう!」
希が出した案。それは全員で同じ色を統一する事だ。最初の投票は青に全員が入れる。それから二回目の投票から全員が違う色である黄か赤に投票すればいい。そうすれば青は必ず勝てるのだ。
そして全員が投票室へ向かった。
一番最初に投票室に入ったのは希だった。
投票室の投票箱の横にある所からツキシロ ノゾミと書かれた玉が出てきた。
私はその玉をすぐに青に入れた。
投票室に入った順番は、希、優里、斗真、賢吾、イシダ、トダ、サタケ、コニシ、タマルの順だった。
『では皆様の投票が終わりましたので、結果を発表したいと思います。ただいまの投票の結果は………
赤
青
黄
ご覧のような結果になりました。そして次の投票は赤の箱に投票する事が出来なくなりました。では5分の休憩となります。』
「な、なんで」
希はただ画面を見ている事しか出来なかった。
「くくく……」
斗真の後ろで誰かがくすくすと笑う声が聞こえた。
斗真は後ろを振り返った。
そこには賢吾の姿があった。
「くくく……はははははは」
「兄さん……」
「俺が裏切り者だよ。俺が何をしたかなんて予想はついているだろ?俺は投票室に入って投票箱の横に一つの紙を置いておいた。賞金と手にしたいやつは赤に投票しろ。そう書いた紙を置いたのさ。その結果がこれだよ。残念だったねツキシロさん。みんなは金が欲しいんだとよ。
「賢吾っ!あんたなに考えてるのっ!!!」
「ふふ、なに考えてるかだって?勝つ事に決まってるじゃないかっ!これは騙し合いのゲームだよ。騙して何が悪いっ!」
パンーーー
優里は賢吾を叩いた。
「叩いたって何も変わらないよ。あと気をつけた方がいいよ。このゲームで暴力行為は禁止だからね」
「賢吾……」
姉さんは賢吾を睨みつけた。
「甘いんだよ、協力なんて。みんなで勝とうなんて無理なんだよっ。だからこうやって騙されるんだよ。さあ、この状況をどう切り抜ける?姉さん……斗真……ふ、ふふっ、はははははは……」
「兄さん……」
「んっ、どうした。怖じ気づいたか?」
「そんなわけないだろ。この勝負……俺たちが勝つ!」
「ふっ、出来るかな?斗真に」
「ああ、出来るさ」
「ふふっ、楽しみにしてるよ、斗真………」
賢吾はこの場から去っていった。
こうして俺たちは不利な立場に置かされてしまったのである。
疲れましたwww
二つは疲れるね!
でも続けていくから安心してください!
後書きが短いですが勘弁してください。
ではまた!
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