第1話 わー。(嬉しそうに笑いながら)
大好きな小さなお人形のとっと。小さな明かりが消えてしまう夜に。
わー。(嬉しそうに笑いながら)
とっても大切にしている大好きなお人形に魔法みたいにして、(あるいは神さまのいたずらみたいにして)ある日突然、命がやどることって、本当にあると思いますか?
とっても大切にされていた小鳥の着ぐるみを着ているみたいな小さな子供のお人形のとっとにはある日、魔法みたいにして『命』がやどりました。
とっとは自分が動けるようになってすごくびっくりしました。(思わず、あわわと小さな手足をばだばたとさせながら、言ってしまいました)
とっとは「わー」と小さな声で言ってみました。(驚いたときに、あわわと声が出たからです)
するとちゃんとわーと声が出ました。(やっぱりびっくりしました)
とっとはとても薄暗いところにいました。
とっとのことをずっと大切にしてくれた女の子はどこにもいませんでした。
とっとは捨てられてしまったのです。
もういらないって言われて捨てられてしまったお人形のとっとはごみとして捨てられてしまったのではなくて、長い間、女の子のお家の押し入れの中に置かれていました。(その間、なんだかずっと眠っていような、ぼんやりと夢を見ていたような、そんな不思議な感じがしました)
それからある日、とっとは押し入れの中にやってきた誰かに見つかって、(押し入れの扉が開いたときはとっても眩しかったです)それから大きな袋の中にいられて、また違うところにやってきました。
そこは古いおもちゃがいっぱいあるところでした。
どうやらとっとのように捨てられてしまったのおもちゃを集めて、また誰かに売るための中古のおもちゃ屋さんの倉庫みたいでした。
とっとはぱたぱたと手を動かして、それからきょろきょろと建物の中を見てみました。
そこにはとっとと同じように捨てられて、また集められたいろんな形のおもちゃのお人形やぬいぐるみがいっぱいありました。
でも、とっとのように動いたり喋ったりすることができるおもちゃはとっとのほかにはいないみたいでした。(話しかけたり、さわってみても、誰も返事をしてくれたり、動いたりしてくれませんでした。動かないふりをしているのではないみたいでした)
とっとはとことこと薄暗い倉庫の中を歩いてみました。
それからまたきょろきょろと薄暗い倉庫の中を見て、それからおもちゃのみんなをみました。
「わー」
ととっとはみんなに小さく手を振りながら言いました。
それからとっとは薄暗い倉庫の中からこっそりと抜け出すことにしました。
きっと『この世界のどこかにいる自分と同じように命を持ったお人形』と出会うために、旅に出ることにしたのです。
薄暗い倉庫は埃っぽいおんぼろの倉庫で、横に動かして開けるドアには鍵もかかっていませんでした。
時間は夜の時間で、薄暗い倉庫に外に出てみると、月や星がきらきらと輝いている、とっても明るい夜でした。(とっとは思わず少しの間、美しい夜空をぼんやりと幸せそうな顔で見ていました)
とっとはとことこと小さな足を動かして、明るい夜の中をひとりぼっちで歩きはじめました。
とっとの冒険がはじまったのです。




