孫文台、行方不明!
炎蓮さん…
「「わぁー!」」
剣戟の音と矢が空を切る音が聞こえる戦場
「うらぁ!てめぇら!突撃ぃ!」
「ちょっと母様、突出し過ぎじゃない?」
「いや、炎蓮様の突撃で敵陣に綻びが出来た、粋怜殿に伝令!炎蓮様の空けた穴を広げるように。」
「御意!」
「おうおう、大殿は張り切っておるのぅ。儂らは大殿を援護するぞ、射掛けぃ!」
「「応!」」
ヒュンヒュンと数百、数千の矢が飛び交う。
「うらぁ!」
「グワ!」「うげ!」「ぎゃ!」
孫堅が剣を振るう度にいくつもの首が舞う。まさに地獄、孫堅軍が圧倒的に押していた。しかし、それを冷静に見ている人間が1人…
「ほう?噂通り…猛る虎の如きよ。しかし、所詮は獣…人に抗う知恵はあるまい?」
冷静に冷たい声で呟き、その弓は一筋に孫堅を狙っていた…
「これで…孫文台は終いだ…」
ビュっと引き絞った弓を放つと真っ直ぐ孫堅に向かう…そして
「ガッ!くははは、誰の矢だァ?良い腕じゃねェか…」
矢の直撃を食らった孫堅を見て
「母様!」「炎蓮様!」「「大殿!」
そして怯んだ孫堅に全方向から槍を突かれる
「グッ…チッ…しくったか…」
そして、河へ落ちる孫堅。
「そんな母様!」
「雪蓮!しっかりしろ!炎蓮様はあとで捜索するとして、今は敵陣を切り崩せ!」
「分かったわよ!全軍突撃!かかれぇー!」
「「うおおおおお!」」
そして、孫策率いる軍に壊滅させられた黄祖の軍。戦闘の終了後、即座に孫堅の捜索隊が組まれ、孫堅の落ちた河やその周辺の捜索が行われるが、とうとう孫堅は見付からず、行方不明とされた。江東の虎孫堅を失った軍は戦勝に逸らず、無言で建業へと戻るのであった。
そして数日後…建業の城で…改めて、軍議が開かれ孫堅の行方不明が伝えられる。
「ンな…馬鹿な…。それじゃあ炎蓮さんは河に落ちて行方不明だってのか!?」
「えぇ、そうよ玄助。」
「あの炎蓮さんに限ってそんなことは…有り得ない…」
「母様も人間よ。人はいつか死ぬわ…」
「おいおい、その口ぶり、炎蓮さんが死んだみたいじゃないか!」
「額に矢を受け、身体中を槍で貫かれたのよ?死んだと判断してもおかしくないわ。それに捜索で見つかったのは母様が手放さなかった、孫呉の王の証、南海覇王だけ…。」
「はは…炎蓮さんが死んだ…だと…信じられねぇ!俺の部隊使ってもう1回捜索を!」
「無駄だ三船…草の根を分けて探したが見つからなかったのだ…。」
「そんな…。これからどうしていくんだよ!炎蓮さんのおかげで抑えてた豪族たちにコレがバレたら反乱が起こるぞ!」
「えぇ…と言うよりもう豪族たちは反乱しているわ。今は一応同盟関係だった袁術が抑えてる。」
「おいおい、代償がデカいぞ…袁術にそんな借り作って良いのかよ…」
「コッチは母様を失って兵達の士気も最悪、それに戦帰り…精神的にも肉体的にも限界だったのよ…」
「くそ!それじゃアレか?俺たちは袁術の庇護下に入るってか?」
「そうなるでしょうね…」
「独立する宛はあるのかよ…」
「いつか、力を溜めて自力で独立するわよ…」
「いつかってそんな曖昧な…」
「計算が出来んのだ…袁術は読めん…」
「くそ、こんなことなら俺も付いて行けば…」
「玄助が居てもどうしようも出来ないわよ…」
「でも捜索隊の編成は出来た!しかも即座にだ!」
「母様からの命令だったでしょう?玄助も了承したはずよ?」
「そりゃそうだが…くっ…」
「みんな精神的に追い込まれてるわ…今回の軍議はコレで終了とする。解散。」
そして、玉座の間を出た俺は…放心状態で炎蓮さんの部屋の前に来ていた…
「炎蓮さん…。戦死とか…笑えないよ。」
ゆっくりと炎蓮さんの部屋に入り、タバコを1つ、それと酒を1瓶用意する。そして、タバコに火をつけ、灰皿に置き、酒をグラスに注ぐ。
「炎蓮さん…俺は…。炎蓮さんからの勅命に心血を注ぎます。だから…見ていてください。」
そうして、グラスに入った酒を飲み干し、もう1回酒を注ぎ炎蓮さんに捧げる。コレが俺の誓いと、惜別だ。なんとしても、炎蓮さんの言っていた孫呉に天の血を入れると言うお役目は果たす。
そうして静かに部屋を出るのであった。
炎蓮さんは一応戦死扱いです




