火事と博打は建業の華
粋怜の勝負運って凄いですよねぇ…
「んー…今日もいい天気だなぁ…」
自室から出て伸びをする。今日は久しぶりの休みだ。最近お店関係で大忙しだったからなぁ…久しぶりの休みは嬉しいモノだ。さて、何をしようか…と、ぶらぶらしてると粋怜に声をかけられた
「あら?玄助くん?今日はお休み?」
「うん。休みだよー。粋怜は?」
「実は私も休みなの。ちょうど良かった。玄助くんちょっと付き合ってよ。」
「ん?良いけど、どこか行くの?」
「ふふ、楽しい所よ。」
「楽しいとこ?」
どこだろう…全く想像つかん…。いつも粋怜にはリードされっぱなしな感じがするが…。まぁ良いだろう。粋怜のことだ、きっと大丈夫だろう…。そうして粋怜に付き合うことにした
城下を少し歩き粋怜が向かうのは人通りの多い道から逸れて、人通りの少ない通りに入って行く。
「粋怜?どこ行くのさ。こんなとこじゃ店も無いよ?」
「ふふ、お店よりも良いところよ。オトナの遊び場」
「オトナの遊び場ー?なんじゃそりゃ…」
ううむオトナの遊び場…娼館?ンなワケないし…ホントにどこ行くんだ?そして、いかにも怪しい建物の前に着く。まさか目的地ってここ?
「粋怜、ここって…」
「賭場よ。」
「賭場って…博打かよ…」
「そうよー。たまの息抜き?ね?」
博打か…日本に住んでた時は興味は無かったし…賭け事はせいぜい正月に親戚たちとやる麻雀くらい…ほぼ素人だ…カモにされそう…。と思っていると粋怜は賭場の前に立っている男に声をかけ、中に入る。
へー…賭場ってこんな感じなのか…。ふむ…時代劇とかで出てきそうな雰囲気だ…。しかもソコソコ賑わっている。みんな強面だし…絶対カタギじゃないよ…。
「さて、玄助くん。遊びましょうか。」
「俺は賭け事はほとんど素人だぞ?絶対カモにされるって」
「大丈夫よ。お姉さんの言う通りにすれば。」
「粋怜は場馴れしてるんだな…まぁ実際やってみないと分からないし…やってみるか…」
まぁ少しくらい良いだろう…
そうして数十分…粋怜の言う通りに賭ければ勝つわ勝つわ…こりゃ勝負の女神かも知れない…。ありがとう粋怜。
「さて、そろそろ私も賭けようかしら。」
「お、粋怜も賭けるのか。」
「えぇ…玄助くんも少し慣れたでしょ?お姉さんはあっちに行ってるわね。」
「了解。」
そしてまた数十分…くそ…さっきまでの勝ち分、無くなっちまった…。おのれ…
「えぇい、コッチだ!」
「あんちゃんそろそろ辞めといた方がイイぜー?」
「男には引けない時もあんだよ!」
俺はスッカリ、チンチロに夢中になっていた。
そして、大負けした。はぁ…賭け事は良くないな…さて粋怜の方は…
「さあ…賭けてごらんなさい?」
「なんじゃこの熱気は…」
その場の中心には粋怜が居た、スゲェ…完全に自分のペースに持っていってやがる…
「あっしはコッチだ」
「俺もコッチだ!」
「さぁ、もういい?締め切るわよー」
「ゴクリ…」
結果は親である粋怜の勝ち…こりゃスゲェ…。どうやら粋怜は大勝ちしたようだ
「ふぅ…今日はここら辺にしときましょう。どうだった?玄助くん。」
「いや、俺は負けたけどさ…粋怜は大勝ちだろ?スゲェな…」
「あはは、やっぱり玄助くんは負けたかー。祭も随分前に連れて来た時大負けしてたの思い出したわ。」
「祭さんまで連れて来てたの?」
「ええ、祭はこういうの好きそうでしょ?」
「まぁ…祭さんの性格なら…」
「それで連れて来たのよ。玄助くんには経験を積ませるためね。」
「要らん経験だった…。俺はもう賭け事なんてしないぞー…」
「そう言ってハマっていくのよねぇ…」
「怖いこと言わないで!」
「あはは、さて玄助くん。勝ったし飲みに行くわよー」
「いや、俺はスッカラカン…」
「お姉さんが奢ってあげるわよー。呑み代くらいならね。」
「ううむ…女性に奢ってもらうのは男としてどうなんだ…?」
「なんなら借しにしとく?」
「あー…それなら良いか…。ん?良いのか?」
「じゃあ借し1つね。さぁ、行きましょ。」
そうして、粋怜は俺の腕に自分の腕を絡ませてくる…。粋怜のが、当たってる…うう、ドキドキするー…。やっぱり粋怜のペースだな…くそぅ…悔しいが勝てる気がしない。
そうして俺たちは酒家に向け歩き出したのだった…
やはり粋怜は玄助の1枚上手でないと…




