眩しい御使い様
拠点フェイズです
さて、今日も今日とて、店に準備に向かうか…と廊下を歩いて居ると。向こう側の廊下を亞莎が歩いているのを見つけた
「お、亞莎だ、おーい。」
手を振ると
「じー…」
「あれ?反応が無い?おーい。」
「ギロっ」
「うぉ!」
に、睨まれた!?えぇ、俺、何かした?うぅむ…心当たりは無いぞ?あれから何度か勉強会も開いてるし…仲良くしているつもりだったが…。それとも機嫌悪かったのかな?
そんなことがあって、数日後、また亞莎を見つける。
「お、亞莎だ、おーい。」
この前と同じように手を振る。そうすると
「ギロっ」
「ひっ…」
や、やっぱり、俺なにかした?こりゃなんとかせねば…。普段、可愛い亞莎に睨まれるのは結構、心にクるモノがある。どうすれば良い?亞莎に直接聞いてもダメだろうし…。あ、そうだ明命は亞莎と仲良しだったな。明命に聞いて亞莎の好物でも差し入れしてみよう。
「と、言うワケなんだよ。」
「なるほど…玄助さまは亞莎に何かした訳でもないのに睨まれると…」
「うん…そうなんだよねぇ…。」
「ところで、どういう時に睨まれるんですか?」
「あー、えーっと、そこそこ距離が離れてる時に声をかけたり、手を振ったりした時に…」
「なるほど…それ以外で睨まれることはありますか?」
「いや、無いなぁ…。そういった時以外はいつもの亞莎だよ?」
「でしたら、亞莎が原因かと!」
「ん?亞莎が原因?どういうこと?」
「亞莎は目が悪いのです!よく遠くのモノが見えないと言っていました。多分それで、玄助さまの方を見ようとして目つきが悪くなって居るのかと。」
「なるほど…そういうことか…」
良かった…俺が何かしでかしたワケじゃ無さそうだ。そりゃ深夜の真っ暗な中、微かな明かりを頼りに勉強してれば目も悪くなるか。そうと決まればよし。亞莎に話を聞いてみよう。
「ありがとう。明命、今度お礼するから楽しみにしててね」
「はい!では、私はこれで!」
元気な笑顔を浮かべ去って行く明命。さて、亞莎を探そう。そうして城内をウロウロしていたら。
「あれ?玄助さま?」
「おお、亞莎!探してたよ!」
「わ、私ですか?何か御用でしょうか?」
「うん!ちょっと時間ある?」
「え、あ、はい。大丈夫ですけど…」
「よし、なら決まり!出掛けるよー!」
「え?城下へお出かけですか?」
「うん。亞莎にあげたいモノがあってね。ダメかな?」
「い、いえ、お付き合い致します!」
そうして亞莎と城下に出かけ、歩きながら亞莎に問いかける。
「亞莎って相当、目が悪いんだねー。」
「目…ですか?はい…最近また悪くなってきたような気がしまして…」
「なるほどなぁ…」
「ですが玄助さま、私の目が悪いのが何かありましたか?」
「あー、亞莎は分からないよね…実は何度か亞莎に声をかけたりした時に睨まれてね…。俺何かしたんじゃないかと思ってたよ。」
「えぇ!?そ、それは失礼しました!」
「しょうがないよー…ワザとじゃないし、俺の事が嫌いなワケでも無いんでしょ?」
「は、はい!もちろんです!」
「なら、大丈夫。だから亞莎には新しい眼鏡を買ってあげようと思ってね。」
「えぇ!?そんな悪いですよ。」
「モノが見えない方が不便でしょ?それに目つきも悪くなるし…。」
「あうぅ…」
「さて、着いた。おじゃましまーす」
「あ、待ってください玄助さまー。」
そうして眼鏡屋さんに着いた俺たちは亞莎に合いそうな眼鏡を見ていた。お、コレなんて良さそうだ。
「亞莎、コレなんてどうかな?」
「コレですか?掛けても良いですか?」
「うんうん。」
「では…」
チャキ…っと眼鏡を試す亞莎。
「凄いです!良く見えます!」
「おお!それは良かった!ソレを買おう!」
「はい!玄助さま…って、あうぅ〜!や、やっぱり結構です〜!」
俺の顔を見た途端真っ赤になって新しい眼鏡を置き、眼鏡屋さんから出ていってしまった。
「ちょ!亞莎ー!?」
そして、走って出ていってしまった亞莎を見つけだし、捕まえる俺
「亞莎、どうしたのさ…いきなり店を出るから驚いたよ…」
「あうぅ…申し訳ありません…」
「しかし、なんでまた?あの眼鏡の方が良く見えたんだろ?」
「うぅ…はい…ですが、玄助さまのお顔を見た途端…」
「俺の顔?」
「とても眩しかったのです…玄助さまの端整なお顔がハッキリ見えて…とても耐えられそうになかったのです…」
顔を真っ赤にしながら消え入りそうな声で…
「ははは!なんだ亞莎は俺の顔がハッキリ見えたから照れたのか!」
「あうぅ…私には耐えられません…。」
「いや、大丈夫だよ。亞莎は可愛いなぁ…」
「あぅ…」
そう言ってまた真っ赤になってしまう。うん、やっぱり亞莎は可愛い。眼鏡は買えなかったが、このままお昼ご飯でもご馳走しよう。そう思って亞莎の手を引き、お店選びをするのであった。
亞莎は可愛い!てか、みんな可愛い!




