攻撃?口撃?最終決戦!
「アンタらなんかに負けるもんかー!」
「お兄ちゃんは渡さないからねー!」
「なんでアンタの許可が必要なのよ!」
「なんでって私のお兄ちゃんだからに決まってるでしょ!」
「アンタは関係無いでしょ!」
「私にだって関係あるもん!」
「どこがよ!」
「お兄ちゃんの奥さんになるってことは私のお姉さんになるんだから、私が認めないとダメなの!」
そうやって言い合いをしながら、映画のアクションシーンみたいな攻撃をし合う両者…
「あの…俺の意見は…?」
「お兄ちゃんは」「アンタは」
「「黙ってて!」」
「あ、はい…」
おかしいな…俺って主人公ポジじゃないの?ココに来て俺放置?まぁいいや…面白いから2人の好きにさせてみよう…そうして観戦することを決めた俺はポケットからタバコを取り出し一服…
「だから、あーしは御使いが必要なの!」
「そんなのお兄ちゃん関係ないじゃん!」
「じゃあ、何だったら良いって言うんだよ!」
「それは…お兄ちゃんを幸せにするとか…お兄ちゃんのことを愛してるとか…色々あるじゃん!とにかくお兄ちゃんを利用することが許せないの!お兄ちゃんは道具じゃ無いもん!」
「天の御遣いとして孫呉に利用されてるのはいいの!?」
「呉の人は皆、お兄ちゃんのこと愛してるもん!最初はお兄ちゃんのことを利用しようとしたかも知れないけど…今は皆、お兄ちゃんこと愛してるもん!」
「じゃあ、あーしもそうなるかも知れないじゃん!」
「最初っから利用する目的でのお付き合いなんて妹の私が許さないもん!」
そうして何合打ち合ったのであろうか2人は息を上げそろそろ終わりが見える頃合い…
「これでっ…!」
「終わりだっ…!」
お互い必殺の一撃を放つが、ギンッと弾かれてしまう…
「くっそ…」
「アンタ…しつこい…!」
「絶対にお兄ちゃんは渡さない!」
「あのさ…提案が…」
「「なによ!」」
2人から凄い眼光で睨まれる…
「えーっと…世界征服とか…大陸統一は出来んかも知れんが…司馬懿がウチに来れば良いんじゃないか?」
「あーしの第一優先は世界征服なの!無意味じゃん!」
「いや…そりゃ…世界征服は立派な夢だとは思うが…武力だけが世界征服出来る手段ってワケでもないだろ?」
「どういうことよ。」
「だからもっと平和的に…そうだな…俺は商売をしてるから俺の店で世界を獲るってのはどうだ?」
「経済で世界征服?なんか地味ー…」
「いや、世界を裏で操ってるとかなんか良くないか?」
「それだとなんか…厨二臭い…」
「ダメかー…んじゃ…お邪魔しました…」
「ってなんで引き下がるのよ!」
「いや…だって拒否されたし…」
「アンタ…他人事だと思ってるみたいだけど…アンタの進退を賭けて戦ってるんだけど?」
「ああ、知ってるけど…」
「アンタ…もっと自分を大事にしなさいよ…」
「だって…俺が始める前に2人が始めちゃうから…俺入れなくて…」
「はあ…なんか気が抜けてきた…」
「いや、俺だってこうしてるワケじゃなくてだな…」
「分かってるわよ…はぁ…なんか興冷めねー…」
「お、少しは冷静になったか。」
「うん…そういえば…アンタ達の名前聞いてなかったわね…」
「あー…そういえば…」
「なんで敵の司馬懿に教えないといけないの!」
「おっと…冷静になってないヤツがまだ居たか…琴音ー。落ち着けー?」
「フー!」
「猫みたいに怒ってるな…ほら落ち着け。」
ポンポンと琴音の頭を撫でる…
「ふしゅー…。」
「落ち着いたか?」
「うん…それで…どうなったの?」
「あー…そうだった…司馬懿。どうするんだ?」
「どうもこうも…こんな感じになったら終わりよ終わり。」
「おお、じゃあ…」
「戦闘は終了。あーしは撤退する。」
「撤退って…ここがお前の総本山だろうが…」
「霊力があれば何処にでも拠点は作れるし…この大陸を攻めるのはやめる…。んで?アンタらの名前は?」
「俺は…三船 玄助だ。」
「私は琴音。」
「玄助に琴音ね…。アンタ達には気を削がれたけど…あーしは負けたワケじゃないかんね?それだけ言っておく。」
「お互い引き分けだな…」
「そういうことにしといてあげる。じゃーね。」
司馬懿はその一言と同時に霧の様に消えてしまった…
「んー…なんかあっけない終わりだったな…」
「でも…これで終わりだよね?」
「多分な…」
タバコを咥え空を見上げる…
「玄助!」
「おー…梨晏。無事だったか。」
「突然敵が消えたんだけど…なにがあったの?」
「敵の大将とは引き分け。んで敵は撤退した。」
「撤退って…どこに?」
「さあ?検討もつかん。」
「梨晏さん。終わりだよ。引き分け…。結局勝てなかったけど…お兄ちゃんを取られなくて良かった。」
「なにがあったの…?」
「帰ってから話すさ。」
「そっか…分かったよ。」
「おう。琴音、帰るぞ…ってお前!?」
「えへへ…私…天の御遣いじゃないからさ…」
琴音の方を見た瞬間、俺は混乱した…琴音の身体が透けているのだ…
「私の出番はここまでみたい…」
「帰るのか…」
「うん…。そうみたい…」
「そうか…」
「梨晏さん…皆さんに伝えてください…お兄ちゃんは…絶対に皆を幸せに出来る男だって…妹の私が保証します…」
「うん…うん!必ず伝える!」
「はい。お願いします…。お兄ちゃん?」
「なんだ…?」
「私…お兄ちゃんの妹で幸せだよ?お兄ちゃんが私のお兄ちゃんで良かった…。」
「おう…俺にとっても…お前は俺の自慢の妹だ。」
「じゃあ…お兄ちゃん…バイバイ…。」
「ああ…。」
なんだよ…そんな泣きそうな顔するなよ…最後は笑顔を見たいってお兄ちゃんのワガママは叶わずか?
「お兄ちゃん!大好き!」
そう言って涙を流しながらも笑顔を見せて消えた妹…
「ああ…お兄ちゃんも琴音が大好きだ…」
そう言って新しいタバコに火を付ける…
「玄助…」
「いかんな…タバコの煙が目に入って染みる…」
そう一言呟いて目元を押さえた…