振り回される兄←
「えーっと…凛と龐統は…冥琳と一緒に軍議だったな。」
「はい。」
「そうです…」
「冥琳の執務室か?」
「そうです。」
「なら2人で行けるな。」
「はい。大丈夫でしゅ。あう…」
「じゃあ、2人は至急、冥琳の所に…」
「ジーっ…」
「あの…」
「気にしなくていい。早く行け。」
「はい…」
そうして凛と龐統が俺の部屋から出て行く。俺の部屋に残ったのは…俺と、妹の琴音だ。
「お兄ちゃん…カッコいーんだー?」
「何がだよ…普通に仕事してるだけじゃないか…」
そう言いながらPCの前に座り、今度はPCでの文字起こしの作業に取り掛かる
「テキパキしててカッコいいって素直に思っただけだよ?」
「そうかよ。」
適当に相槌と打ちカタカタとPC作業をする。
「お兄ちゃん、タイピングはやーい。」
「これくらい普通だ。お前だって出来るだろうが…」
「私はタイピングよりもスマホの方が早いかなー…」
「そう言えば…アッチだとお前返信早かったな…」
「即レスが基本だからね。既読スルーはしないよー。」
「んで…なんでお前がココに居るんだ?」
「ん?神様に召喚されたから。」
「それは知ってる。なんでお前が俺の部屋に居るのか聞いたんだよ…」
「えー…だって1人じゃ勉強捗らないし…」
「だからって俺の部屋かよ…」
「お兄ちゃんの部屋、居心地良いんだもん…」
「俺の部屋の設備と同じモノをお前の部屋にも付けたんだが?」
「でもー…私はここが良いの。」
「はあ…まあ、勉強するのは良いけど…なんでお前は俺の寝台で寝転がってスマホ見てるんだ?」
「んー?この間貰った翻訳書をスマホで撮影してその画像見てるから。」
「はあ…なら、せめて…寝台から降りて椅子に座れ。それが勉強する姿勢かよ…」
「楽だし。疲れないし。飽きたら寝れるし。良いことずくめじゃん♪」
パタパタと寝台の上で足を動かしている妹に注意するが…やめよう…口では勝てない…うん…なんて情けない兄なんだろう…
「もう分かったから…せめてその動いている足を止めろ。」
「えー?なんでー?」
「チラチラとスカートの隙間から下着が見えてるんだよ!アホ!」
「きゃー。お兄ちゃんのえっちー。」
「お前が隙だらけなだけだろ…」
「見なきゃ良いじゃん。」
「そういう核心を突いてくるところお袋そっくりだよな。」
「ふふん。おにーちゃんは妹のパンツが見たいのかー…。ほれほれー。」
「やめんか。はしたない…」
「お兄ちゃん冷たいー…」
「あのね…。俺は忙しいの!凛や龐統の面倒に、俺の店運営や部隊編成、孤児院、それに文字起こし。これだけでも手一杯なのに…お前の面倒も見なきゃならん…。おにーちゃんは身体がいくつあっても足りないの!OK?」
「い、いえす…」
「だから集中したいの!全く…。」
「お兄ちゃんピリピリしてない?カルシウム不足?牛乳飲むといいよー?」
「カルシウムよりもニコチンの方が早い。」
「ダメだってー。本当に身体に悪いよ?それに牛乳の方が栄養になるし。」
「お前…俺の体質忘れたのか?」
「ん?体質?んー…筋肉質。」
「違う。そっちの体質じゃない。てか絶対ボケだろ?」
「あはは。知ってるよー。お兄ちゃん牛乳飲むとお腹下すもんねー。」
「なら勧めてくるな。あと、言っておくが…牛乳飲んでも胸はデカくならんぞー。個人差があるからな。」
「え…ウソ…?ウソだよね!?ねぇ!お兄ちゃん!?」
「ならお前のスマホで調べろよ…」
「ウソ…ウソ…」
そうして琴音が一生懸命スマホをいじってる隙に仕事に集中する
「ぷ…ひんぬー…」
「ああん?今何か言った?愚兄。」
「いや…なんでもない…」(ちっ、地獄耳め)
「今、地獄耳だって思ったでしょ?」
「なぜ分かった!?」
「何年お兄ちゃんの妹してると思ってるのー?バレバレだよ?」
「それもそうか…。納得。」
「あと、私は決してひんぬーでは無い!平均だ!」
「日本では平均かも知れんが…孫呉ではその胸はひんぬーの部類になるぞ?」
「いいもん…私、日本人だもん…それに私、成長期だから!」
「いや…そこでキメ顔して日本人アピールされても…。でもお前…身長止まってるじゃん…」
「背は伸びなくても、胸は!胸だけは!カミサマお願いです!」
「そんなことを神様にお願いするな…てか、勉強はどうした?」
「飽きた!」
「堂々と言うことじゃないだろ…」
「ねー…お兄ちゃんー」
「なんだー?」
「ヒマ…漫画とか無いのー?」
「本なら本棚にあるだろー…」
「お兄ちゃんー…漫画買ってー…」
「ンな余裕はありません。」
「ケチー。相当稼いでるって聞いたよ?」
「店や孤児院の運営費だからダメ。」
「可愛い妹にお小遣いすらくれないなんて…無慈悲なお兄ちゃんだ…」
「なんでそうなる…。仕方ないな…ほら、一個だけ好きなモン買え。」
スマホを渡す。
「やったー!こういうところ好きー。」
「全く…現金なヤツだな…」
「んー…どれにしようかなー…」
「ふう…コレで少しは大人しくなるか…。さて、俺は作業に集中っと…」
そうして、作業をすること数時間…
「ふー…終了ー…」
コキコキと首を鳴らし、腕を回す。
「あ、お兄ちゃん。やっと終わった?」
「おう…ってなんじゃ!?この漫画の山は!」
「えへへー…」
「俺…一個って言ったよな?」
「うん。一個だよ?」
「どこが?」
「漫画全巻セット一個。」
「ぜ、全巻セット?」
「うん。凄いねコレ。新品で漫画の全巻セットあるなんて。」
「えーっと…コレ…何巻あるんだ?」
「100は行ってないと思う。あ、94巻。」
「そんな長期連載の漫画があったのか…」
「案外あるよ?」
「まあ…そりゃそうか…下町のお巡りさんのコメディ漫画も長期連載だったし…海賊王も…」
「ね?一個でしょ?」
「一巻ずつ買ったワケじゃないんだな?」
「履歴確認したら良いじゃん。」
「確かに…。えーっと…?『大好きな実のお兄ちゃんから迫られて妹の私はドッキドキ♡』ってなんじゃこのタイトルは…」
「タイトルの通りだよ?」
「んー…血の繋がった実兄から迫られて妹がドキドキする漫画?」
「いぐざくとり~。」
「なんてモンを読んでるんだお前は…」
はあ…とため息を吐くと…
「お兄ちゃん。コレ!このシーン再現して!」
「んー…?なんじゃコレ…?」
「お兄ちゃんが私に壁ドンしてくれればOK!」
グっとサムズアップする妹…
「なんでそんなことを…」
「おねがーい…ねー?いいでしょー?」
「はあ…1回だけだぞ?」
「やったー。」
そうして…漫画のように琴音に壁ドンする俺…
「こんな感じか?」
「きゃー…サイコー…」
その時、扉が開き…凛と龐統が入ってくる
「ただいま戻りま…何をされて…はっ…まさか…兄妹の禁断の…ぶは!」
「あわわわわわ…」
「ち、ちがーう!ご、誤解だー!!」
そうして、しばらく城内はこの話題で噂になりました。
今回は琴音に振り回される兄の玄助でした。