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上手く行かない1日…

「んが…んん…んー?」


朝起きたら俺は床で寝ていた、どうやら寝てる時に寝台から落ちたらしい…


「どうりで身体が痛いワケだよ…んー…」


ポキポキと身体を鳴らし身体を起こす。


「なんか今日は寝起きから運が悪いな…今何時だ…?」


時計を見ると10時と表示されている


「ありゃ…朝飯に間に合わなかったか…」


この時間はみんな仕事をしているので朝食の時間は終わっている。


「食堂行ってもなにも無いだろうなー…しょうがないKAMIZONで何か買うか…えーっと…」


KAMIZONで惣菜パンを購入する。


「モグモグ…んー…」


パンとコーヒーを腹に入れタバコを手に取ると…


「ありゃ、タバコも無い…買い置きあったかな…」


ガサゴソと棚を漁るが買い置きも切らしていた。


「はあ…買い置きも無し…KAMIZONー…」


KAMIZONで数カートン購入しタバコを一つ開け一本咥える。


「あれ…火がつかない…オイル切れか?」


何度かジッポで火をつけようとするが火はつかない…


「朝飯食いそびれるし、タバコは切れるし、その上オイル切れ…ツイてないな…」


ジッポにオイルを入れながら呟く


「さて、オイルも入れたし…一服…」


やっとタバコを吸えた…ゆっくり肺に煙を入れる。


「すー…はぁ…タバコ吸うだけでなんでこんなに手間がかかるんだ…」


そう呟いていると、雪蓮と梨晏がやってくる


「玄助ー。」


「はいよー。」


「玄助、お願いがあるんだけど…」


「ん?なに?」


「試合の審判してくれないかな?」


「別にいいけど…」


「じゃあ決まりねー。行きましょ?」


「おう。」


試合の審判くらいなら大丈夫だろう…雪蓮も梨晏も一流の武人だし…でも今日の俺はツイてないからなあ…何かありそうな予感がするな…うん気をつけよう…


「ここでするのか?」


「ええ。」


「それじゃあ…行くよ雪蓮!」


「いつでも来なさい。梨晏。」


そうして試合が始まる。壮絶な打ち合いだ…凄まじいな…そして雪蓮が梨晏の横薙ぎを剣で受けた瞬間、模擬刀が折れソレがコッチに飛んで来る。


「あっぶねえ!」


「わわ!大丈夫?玄助。」


「ああ、大丈夫だけど…模擬刀も一応鉄だよな…?」


「まさか折れるなんてねー…」


「怖いなー…」


「危なかったねー。」


「ホントに今日はツイてないな…」


「そうなの?」


「うむ…朝飯は食いそびれるし、タバコ切らすし…」


「ありゃ…ツイてないね…」


「うむ…」


「こういう時は何やっても上手くいかないのよねー…」


「やっぱり?」


「私はそう思うわよ?」


「大丈夫だよ玄助。きっと良いことあるから。」


「どんな不幸があるか分からないからなあ…」


「玄助ってツイてない時ってどうしてたの?」


「んー…諦めてたな。」


「まあ…私達が居れば大丈夫よきっと。」


「そうかなあ…」


「じゃあ、城下にでも行く?」


「いいけど…」


「それじゃあ行きましょ。」


そうして城下に出て街を歩く。


「そろそろお昼ねー」


「確かにそうだな。」


「どこか入る?」


「じゃあ適当に入りましょ。」


「じゃあ、あそこのお店は?」


「いいね。行こうか。」


そうして店に入る。活気のあるお店だ。お客さんも沢山居るが…座れるかな…


「3名様あちらのお席どうぞー。」


「座れたわねー。」


「ほら、玄助、大丈夫だったでしょ?」


「まあな…」


「何にする?」


「俺は久しぶりに魚食いたいなー」


「あー鯉とか?」


「うんうん。」


「じゃあ、鯉とアワビと…あとご飯と…」


そうして注文するが鯉は無くなったとのこと


「じゃあ、鯉が無いなら他の魚で…」


「はーい。」


「鯉が無いのは残念だったねー。」


「でも魚は食えるから…」


「でもどこかツイてないのね。」


「うぐ…」


「もう、雪蓮ダメだよー…?玄助だって気にしてるんだから…」


「あはは…ごめーん。」


そうして料理が運ばれてくる。


「おお、美味そう…」


「ホント、美味しそうだねー。」


「早速食べましょ。」


そうして食事をしていると…


「きゃっ!」


俺の後ろで給仕をしていた女性がつまづき運んでいた酒が俺にかかる…


「あーあ…」


「うわ…玄助大丈夫…?」


「申し訳ございません…」


「あー…大丈夫ですから…お気になさらず…」


そう言ったが…酒臭い…


「ホントに今日の玄助ツイてないね…」


「うむ…」


「お酒かけられるなんてねー。」


「こりゃ、街に出たのがダメだったか?」


「私達が一緒でも玄助だけがツイてないなんてねー…」


「まあ…今日はこういう日なんだよ…もう諦めた。」


そうして服にかかった酒を拭き、食事を進める。


「ふう…お腹いっぱいー…」


「ああ、美味かったな。」


「でも、玄助、服は大丈夫なの?」


「少しかかっただけだから大丈夫。」


「熱い料理とかじゃなくて良かったわねー。」


「それは確かに。」


「でも、これからどうする?玄助ツイてないし…」


「でもせっかく城下に出たしなあ…」


そう言いながら街を歩いていると…バシャ…っとお年寄りがやっていた打ち水が頭からかかる。


「あーあ…」


「あれま…お兄さん大丈夫かね?」


「あー…はい…大丈夫です…」


「今度は頭から被ったわね…」


「しっかり濡れてるねー…大丈夫?」


「うん…今日暑いし…すぐ乾くと思う…」


「なんか…玄助…元気無い?」


「こんだけ不幸が続けば嫌にもなるだろ…」


「もしかして玄助呪われてたり…」


「ンなワケあるかよ。しかも誰が呪うんだよ…」


「それもそっか。」


「なんか玄助が不憫に見えてきたわ…」


「やめてくれ…そんな可哀想な目で見るな…」


「今日はもう帰った方が良いかもね。」


「うむ。」


そうして城の自室に戻ると…


「あ、空調付けっぱなしだった…こりゃ電気代かさむな…」


ここでもツイてない…


「もう今日は部屋から出ない。うん…」


そうして棚からウイスキーを取り出し、グラスに氷を入れウイスキーを注ぐ。


「こういう時は飲むに限る…コク…」


そうしてグラスを傾けながらタバコを咥える…そしていつもの様に灰皿をこちらに引き寄せると灰皿が傾き中身がこぼれる…


「はあ…ツイてない…」


呟きながらこぼした吸い殻や灰を掃除する。ついでに灰皿の中身もゴミ箱へ…


「玄助さま。いらっしゃいますか?」


「ん?亞莎?居るよー。」


「良かったです。あの、冥琳様から…戦術書の文字起こしを頼まれてませんか?」


「あー…そういえばあったような…」


「その戦術書が勉強に必要なので貸してもらえませんか?」


「いいよー。えっと確かここに…あった。」


ドサドサ


積み上げてる竹簡や書簡の中から戦術書を取り出すと…その竹簡や書簡の山が雪崩を起こす…


「あ…」


「はあ…やっぱりツイてない…」


「玄助さま。私もお片付けお手伝いします。」


「いや、大丈夫だよ。」


「いえ、やらせて下さい。」


「そう?ごめんね亞莎。」


「いえ…私が言ったせいでこうなったのですから…」


「いや、亞莎は悪くないよ。今日の俺がツイてないだけだから…」


「そうなんですか?」


「うん…実は朝から…」


今日あった出来事を亞莎に話すと…


「なるほど、そういう時は気分を変えて普段着ない服を着たりすると良いですよ?」


「なるほど…見た目から雰囲気を変えるのか…」


「はい。私の経験からですが…」


「いや、参考になったよありがとう亞莎。」


「いえ…では私はこれで…」


「ああ、うん。」


なるほど…見た目から変えて自分の良くない気を変えるのか…星の位置が悪いとかそういう占いとかあるしなあ…風水的にも見た目を変えるのは良いかも知れない。服も汚れたし、着替えてみるか…


「こんな感じかな…」


いつもはワイシャツだが今回はTシャツにして、ズボンはデニムでは無くチノパン。靴もブーツでは無くスニーカーにしてみた。


「なんか…学生時代に戻ったような感覚がするな…」


生地か、それとも着慣れて無いからか…少し違和感があるが…似合ってはいると思う…ふむ、違う服を着るだけでも随分気持ちが変わるな…亞莎には感謝だ。


「玄助…居る?」


「ん?梨晏?どうした?」


「あ、玄助着替えたんだ?」


「おう。どうだ?」


「うん。似合ってるよー」


「それで、何か用か?」


「いや…今日の玄助ツイてなかったでしょ?それで元気付けようと思って…」


「なるほど、心配して来てくれたのか。」


「うん。」


「ありがとうな梨晏。」


「やっぱり元気な玄助が見たいからね。」


梨晏にも感謝しないとな…


「えっとそれで…あの…」


「ん?なんだ?」


「玄助…」


頬を紅潮させて梨晏が近付いて来る…お、これは…


「梨晏…」


唇が重なろうとした瞬間…


「玄助ー入るわよー。」


雪蓮が入ってきた…


「やっぱりツイてねえー!」


その叫びは心の底からの叫びであった。

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