売り上げ好調
「毎度ありー。ふう…月詠、誠ー。店閉めるぞー」
「はい!」
「はい…」
今日も忙しかった…恐るべし月詠と誠の人気…と俺の天の御使いの力…
「さて今日の売り上げの計算するぞー」
「コレが一番大変ですからねえ…」
「はい…」
「しかし、ここで手を抜くワケにもいかん。俺は売り上げの一部を納税してるんだからな。」
「それは分かってますが…少しくらい誤魔化しても…」
「ダメに決まってるだろ…じゃあお前らの給料も誤魔化してもいいんだな?」
「いや…あのそれは…」
「だろ?だからキチンと計算しなくちゃいけないんだよ。」
「う…はい…」
「月詠さんは売り上げの計算苦手なんですか…?」
「そういうわけでは無いのですが…そのただ数えるだけというのが苦手で…」
「とは言ってもふざけたり、お喋りしてたら計算間違うかも知れないだろう?」
「その通りです…」
「なら、さっさと済ますぞ。」
「はーい。」
「はい…」
そうして黙々と売り上げの計算をすること約2時間…
「こっち終わりましたー…」
「こっちも終わりました…」
「おう、お疲れ。んで合計が…60万…めっちゃ儲けてるな…」
「そうですか…?妥当な売り上げだと思いますが…」
「いや…こんな売り上げが誠が加入してから増えたんだ…誠様々だな。」
「そんな…私はそこまで…」
「いや、数字として反映されてるし。これも誠のおかげなんだが…ちょっと稼ぎ過ぎかな…」
「確かに、稼ぎすぎも良くないんですよね?」
「ああ、ウチで使うということは、他の店では使ってないってことだろうし…いくら建業が栄えていても、住民の稼ぐ金なんてそこそこだ。俺らと同じ商売をしてる人たちは売り上げが減ってるだろうなあ…」
「あ…そうですよね…私達が稼げれば良いってわけじゃないですよね…」
「そういうこと。かと言って安売りするのもなあ…」
「でしたら、一般の方には購入制限をかけたりすれば…」
「ンなことしたら今度は反発を買うぞ?豪族たち有力者には良くて俺達にはダメなのかとな。」
「そうですね…主様の仰る通りです…」
「はあ…商売は難しいな…」
そう呟きタバコを咥える
「んー…なにか良い案はないですかね…」
「まあ、これを一時的なものだと考えても20万~30万は固いな…」
「それでも稼ぎすぎ…なんですけどねえ…」
「でしたら…他のお店にも天の商品を卸してはいかがでしょう…?」
「ウチの商品を他の店に卸す?」
「はい…お酒やタバコであれば酒家に…食器類は食事処に…など…」
「なるほど…それを安価で提供すれば…他の店の売り上げにもつながるか…」
「はい…」
「しかし、売り込みはどうする?誰が担当する?」
「そうですね…商品にも詳しくて、人当たりの良い人…」
「え…?私…ですか…?」
「うんうん。誠なら任せても大丈夫だろう。」
「店主である主様が行くのが妥当なのでは…」
「俺が契約してる間に在庫が切れたらどうする?補充は俺にしか出来ないし、それに豪族や有力者との交渉も俺が担当しているから店を離れるワケにもいかんし…」
「ですが…」
「よし、決めた。誠が契約を3件取って来たら本採用としよう。この契約を取ってくることを本採用試験とする。」
「そんな…」
「大丈夫。誠ならやれるさ。」
「はい。誠さんなら大丈夫でしょう。」
「うう…そう言われてしまっては断れないではないですか…」
「ははは、頑張れよ?お前の本採用が掛かってるからな。」
「頑張ります…」
「契約を取ったら契約書を書いて貰うこと。そこまで行ってちゃんとした契約として数えるからな?あと3件以上取れるなら取って来てくれ。」
「どんどん私の仕事が…」
「まあ、大丈夫だろ。さて、今日はここまでにしておこう。誠は明日から契約を取るために動いてくれ。」
「はい…」
「はい!お疲れ様でした。」
「んじゃ、お疲れー」
そうして誠の本採用試験も決まり、他店との確執を生まないようにするための作戦の実行を行うのであった。




