嫌な予感…
謎の軍隊の正体が分かるかも?
謎の軍の討伐へ本隊が出発して数日、俺達居残り組は兵へ厳戒令を出していた。コッチが限界が来るか、それとも別働隊なんてそもそも居ないか…居ない方が良いんだが…楽観は出来ない…
「ふぅー…俺に出来ることは一応やったが…これでホントに別働隊なんて居たらそれこそヤバい…」
紫煙を吐きながら呟く…しかし、幸か不幸か俺が今いるのは魏だ…魏は孫呉よりも質の良い兵が居ると聞く。
「あ、玄助さん…探しました。」
「柳琳、なにか用事?」
「はい、今残っている兵に玄助さんの元で戦いたいという兵の応募をしまして、集まりました。」
「おお、そうかそれは嬉しいな…それで数は?」
「約500です」
「それだけ居れば上等だな…よくみんな俺の元で戦いたいと思ってくれたモンだな…」
「天の御遣いの名は伊達では無いということですね。本当は私の率いる虎豹騎からも出せれば良いのですが…」
「いやいや、そうなったら柳琳の強みが半減とはいかないけど戦力は落ちる…今残ってる中では柳琳の虎豹騎が主力だしな…」
「はい…そうですね…」
「郭嘉さまより伝令!すぐさま軍議の間へとお越しください!」
「すぐ行く!行こう柳琳。」
「はい!」
そうしてみんなが集まっているだろう軍議の間へと向かう、部屋に入ると
「洛陽周辺で不審な物陰を見たと言う情報が頻発して入ってきています…コレは…嫌な感が当たったと見て間違い無いでしょう…」
「場所は?」
「洛陽から南に20里程」
1里が500メートルだから…約10キロ先…目と鼻の先だな…
「すぐさま出陣の準備を。」
「おう」「了解っす」「はい。」
「私と栄華様は残ります。流石に守兵全てを出すわけにもいかないので。」
「分かった。凛、栄華あとは頼んだ。」
「貴方に言われずとも分かってますわ。」
「それもそうか…」
「早く出陣を。」
「ああ、」
即座に戦支度をして城門へ行く、もう皆は集まっていた。さすが魏軍だ戦慣れしている…俺は俺の牙門旗の上がっている部隊の元へ行く
「俺の牙門旗なんて…いつの間に…」
「俺達で作ったんですよ。」「御使様の部隊なのに牙門旗がなけりゃ意味がねえしなあ!」「御使様!何処にでも付いて行きますぜ!」
「みんな…すまん…こんな部外者に…」
「なに言ってるんですか。御使様は一時的にも魏の一員なんですぜ?少なくとも俺達はそう思ってます!」
「そう言ってくれて嬉しいよ。さてそろそろ出陣だ。行くぞ!」
「「応!」」
そうして早駆けで数刻…情報のあった場所付近に着いた…しかし…さっきまで晴れてたのになんだこの霧は…
「霧が濃い!同士討ちには気をつけろ!」
「「応!」」
そうして陣を構築していると、遠くからガシャガシャを鎧の音が近付いてくる…
「敵だー!」「敵襲ー!」
「総員戦闘準備!」
ガシャ!とその一言で全員が殺気立つ。
そうして敵の姿が濃霧の中でも視認できる距離になった時
「突撃!弓は使うな!味方に当たるぞ!」
「「応!」」
鬨の声を上げながら兵士が敵に突っ込む。しかし…
「なんだこりゃ!斬っても斬っても起き上がって来やがる…」「なんでこっちの攻撃が効かないんだ!」「こいつらバケモノだ!」
「伝令!敵兵にこちらの攻撃が効きません!」
「ンなバカなことがあるか!まさか!?」
よく目を凝らして敵兵を見ると鎧の間から見える肌や顔は腐っているように見えた。こりゃいかん…アレが俺の想像するモノなら…
「全軍に通達!敵兵は胴体への攻撃は通じない!頭と重点的に狙え!とりあえずなんでも良い頭を潰せ!」
「御意!」
その命令を出してから数刻…命令が伝達したのか敵がどんどん減っていく…そして最終的には霧が晴れ、敵兵は見えなくなっていた…敵兵の亡骸と共にさっぱり消えてしまったのだ。
「これは…。いや、先に損害報告!」
「損害は軽微。他の皆様の部隊も同じくです。」
「そうか…。しかし、死体も残さず…頭を潰してようやく倒れる敵か…こりゃまさに妖術だな…」
まさかネクロマンサーでも居るのか…?しかし、この徹底のしよう、少なくともアイツらを操るヤツが居ても不思議では無い…そう考えながら本陣の天幕に入る。
「玄助さん、ご無事でしたか。」
「柳琳も無事そうで。」
「私も無事っすよー」
「良かったよみんな無事で。」
「しかし…あの軍はなんなのでしょう…」
「弱点は頭っすよね?でも胴体には攻撃が通じないなんて聞いたこと無いっす。」
「俺は一つだけ検討がついてる。」
「なんですか?」
「近くでみたワケじゃないから確証とまでは行かないけど…俺の知ってるモンスター…バケモノなら…この辻褄が合うんだ。」
「正体はなんなんっすか?」
「おそらく敵の正体はゾンビ…死体を兵として使ってる。特徴は腐った肉体に独特のうめき声、そして弱点は頭だ。」
「死体を兵士に?そんなの聞いたことないっす…」
「私もです…」
「そりゃそうだろうな…天の国の恐怖モノの物語に出てくるバケモノだからな…確か死霊術だったか…それで操るとかな。」
「それじゃ人が死ぬ度に兵士の充填が出来るってことっすか?」
「いや…そこまでではなかったと思うが…とりあえず、死体も残さず消えるなんて有り得ん、敵は妖術使いと見ていいだろう…多分華琳たちも相当苦戦しているだろうな…」
「でもこちらの損害は軽微ですし…」
「死霊術を使うならゾンビだけじゃないと思うんだよな…そうだな…あとはスケルトンか?」
「すけ…なんです?」
「ああ、ガイコツのことだ」
「ガイコツまで操れるっすか!」
「憶測だけどね…でもスケルトンなら胴体への攻撃は有効だし…ゾンビの方が厄介だな…」
「確かに頭を狙うしか有効な手段がないのは…」
「まあいい、とりあえず危機は去った。帰ろうか。この情報も華琳に伝えないとな…」
そうして俺達は帰路につくのであった。
謎の軍隊はゾンビ?でしたねー恋姫の世界にゾンビが居たら大量生産出来ますね。