表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お題シリーズ6

迷子 石ころ

作者: リィズ・ブランディシュカ



 石ころが迷子になった。


 親を探してあっちこっち、うろうろしてみる。


 けれど、親は見つからない。


 石ころは心細くて泣きたくなった。


 えんえんと、実際に泣いてみた。


 でも、まわりの石ころは助けてくれない。


 なぜなら、石ころは誰かを助けたりしないからだ。


 石ころというものは、じっと、心を閉ざして、一人で生きる生き物だから。


 ふつうの石ころは、他の石ころに声をかける事なんてしない。


 誰にも手を差し伸べられないから、迷子の石ころは悲しくてたまらなくなった。


 悲しくて悲しくて、だから何度も泣いて、親を探しまわった。


 しかし、見つからないまま時間が過ぎる。


 迷子の石ころは、気が付くと大人になっていた。


 子供の石ころではなくなってしまった。


 それでも、小さい頃に親と離れ離れになった記憶は、迷子の石ころの心を痛めてやまなかった。


 やがて、その迷子だった石ころにも子供ができた。


 子供は、小さくてかわいい石ころだった。


 とてもとても大切で、愛らしい石ころだった。


 けれど、かつて迷子だった石ころは、泣く泣く子供の前から姿を消した。


 そうすることが子供のためだと、本能が訴えかけていたからだ。


 やがて、その子供も迷子になり、泣いたり、親を探したりするようになった。


 でも、親は手を差し伸べてはいけないのだ。


 子供はそうやって成長する。


 石ころの子供はそうやって育ち、心を固くして、閉ざす方法を身に着ける。


 なぜならそれが石ころで、


 そうする事で、石ころという生き物は成長していかなければならないのだから。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ