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かたどる(仮題)  作者: 片坂 果
試し読み、若しくは予告(第一話)
2/2

(E-001)

よろしくおねがいします。

 ふらつく足元を気にしながら歩みを進めていく。待ち合わせを設定しているように曲がり道を曲がり、見つけた自販機で購入する飲み物を選ぶ振りをした。

 外見が平均的な青年から過美な少女に変わっている。

 文面だけにすると思ったよりも驚かないから不再議だ。こうしてモノローグを虚構へと追いやって楽しもうとしているのは様式美への悪解釈も甚だしい娯楽作品の主人公の様にも思えた。

 そんな風になれたりしたら御洒落の幅とか増えたり鏡を見るだけで眼福に浸れていいなとか考えたりしていた。しかしあくまでも戸籍等一般社会内での生活が保障される場合を想定していて、不確実で不自由な自由度の異常となると個人的には頭を抱えるか餓死を待つ以外にやる事が削られるのが実情だと、事情を加味しない完全な独断は他人を傷つける要因になるとは考えなかったのだろうかと行き所のない不満が接ぎ木するように生じた。

 楽しくないのはつらい。

 如何にも夢を見たけど忘れてしまった時の歯痒さがずっと続いている。それでも理性は過剰さを設えた毒殺死体の様な自分の出で立ちと林檎に似た酸味のあるにおいを知覚して焦ってしまっているけれど、電灯の青白い光とかの日常風景も相乗して、そんな現実感の無さを紛らわせてくれていた。

 渇いた体液を剥がして時間を潰し、歩く。

 それを作業化させて判断を第三者に委ねた。明らかに私の手に余る境遇であるが関われば場合によっては災難を建前に消失願望を満たせると自分本位になってしまいそうでもあったので首を振って無視したりした。それでいて何かしてないと落ち着かない気がして傲慢を直そうともしない自分が許せず拳を握って紛らわせた。

 視線。

 前を向くとひとがいた。偶然通りかかった会社員であろうスーツを着用した知らない男のひとだった。感覚が襲い始めている。脳裏に在ったのは食材というという単語で、照準が男のひとに定められている。

 欲求不満。私が今何になったのかの察しがついてしまった。

 空腹に近い快楽への渇望だと、逃げようとした。でも足はそのまま後方に向かうことなく前に進んでいた。意思に反し始めているのか目の焦点が合わない。首の後ろが熱くてモーターの駆動するような音が聞こえる。

 したくないのに。

「待って。未だ、き」音がした。自分の声かもわからなかった。お酒に酔ったみたいにふらふらして、光沢のある煙がある。黒いろから橙色に抽象化した視界に一点、誰かがいるのが見える。

 ひと。ひとがいる。

 ごはん。

 おなかすいた、?。

 ちがくて、あたまくるしい、ふわふわする、たべたい。

 まえいるひと、たべたい。

 いいのかな、いいのかな。きてくれたのかな。ちがったらたいへん。でもくるしいし、きっとそうじゃないのかな。じゃないと。だいじょぶ、たべていい。たべていい。

 たべちゃえ。

 あれ、なんか、くちのなかあまい。おいしい、なにこれ。いっぱいはいってくる。きもちいい。

 ねむたい。

 あれ。




 生きているのかは知らないけれど、少なくとも意識はあるらしい。

 胡蝶の夢を気取った戯言紛いを口にしたい訳ではないけれど、しかし安心したくはなかった。伸びた髪、それと胸元のこそばゆさと筋繊維が引っ張られているような重量が現実であると僕に教えてくるからだ。

 寝かせられていた布団から起き上がって平常を装って平静になろうと伸びをした時の声ですら清々しいほど澄んだ声になっていて、逃走を図ろうと辺りを見回しても住宅街から日本家屋と予想される一室にいるという程度で、要素があまりにも少なすぎた。

 家具とかひっくり返しでもすれば何かしらの情報は手に入るのだろうが、監視されていたらどんな取り繕いをしても発覚する。加えてそんなことをしている間に誰かが来たりしたら何をされるかわからない。そもそも起床している時点で伝達はされているだろう。手首や足首に拘束具を着けられていないにしても今のご時世、投薬やまりょく識別で管理は幾らでも出来てしまう。かと言って何の対策もせずに左側にある襖を開けるのは流石に憚られる。遠隔で脳にだけ苦痛を与えるタイプのまほうがあるらしいと聞いたこともある。変質しているとはいってもまだ一週間も経っていない、知識も不十分な自分では探知どころか事態の悪化を辿るだろう。

 考えるくせして目算が甘いのは余裕ぶっているからだと失笑も出来ない。どうせ何時かは終わってしまうのだから、痛みや苦しみを伴わなければ如何なってもいいという思想が少し前から染み付いている。それでも身体だけは拒否しているのが辛かった。

 物音がした。

 次第に足音であるとわかっていく。悪寒が全身を襲って肌を伝う汗がシャツに広がり、結局対処法を選択せずに眠る振りをした。非協力的だと思われてしまうだろうけれど正直事実上連れ去られてしまっている身としては恐怖はしても共感は難しく、ましてや極端に会話に難のある性質をしている僕が建設的交渉とは程遠い音声の応酬をするのは明白だったからだ。

 襖が開く。

 震えを止めるので精一杯、聴覚が鋭敏になる。布の擦れる音、吐息。相手の指が左頬に重なる。

 数秒して飛び起き、逃走を図ってしまったのは昔から自己を除いた対象からの肯定的態度を許容しきれなかった事に起因するものだと思いだした。

 両親からの優しさが、友人からの感謝が、娯楽媒体への共感から生ずる安心でさえも僕にとっては数多くある罪悪感と恐怖対象の一要素だった。

 代償から保身する以外の生活を奪う病床にも似た幸福でしかなかった。

 だがこれを詳細に説明するには現在の思考形態では少なからず時間を要す。だから恐らくはまたの機会というという事になってしまうのだろうけれど、とにかくそれを理由に廊下へと転がるようにして慣れない他人の住居を右往左往した。

 バランスが取れずに何度も転んでしまい這いずるような姿勢で動く。後方からする床の軋む音と柔らかな声で体裁を気にする暇は無かった。開けた場所は見つかり捕まるので退室して直ぐにあった庭への脱出を諦めて倉庫のような一室に這入る。

 息を殺す。目を瞑る。自分はこの荷物と同じだと暗示する。

 子どもの頃を思い出すとどこかで冷静に考えているのもただただ不明点を恐れているからだろう。

「誼木さん」

 状況の進展には全くなっていないがその声への安堵は膠着を開放し恐怖に純粋さを与えてくれた。あとは過程に怯えるだけ。誰も見なくていいし顧みる事もない。不純になればそれだけでいい。

 大丈夫。

 だいじょうぶ。

「落ち着いて」

「ぶったり、しないですか」

「な、殴りません」

 凛とした吊り目に畏怖する位に冷たくて鮮やかな桜色の虹彩が収められている。髪も流動的で無駄という無駄が執拗に削ぎ落とされた服の上から見てもわかる端麗な容姿がそれを引き立てていた。でも肌は青白く、それでいて生命力があって脅威でも裏に魅力があった。

 どうしても、自分と見比べてしまう。初対面だから被害者妄想でしかないけれど同じことを話しているだけのこちらと違って口調も洗練されているように聞こえる。自棄になりそう。

「・・・」怯えている理由は僕の性格が凡そを占めてはいるものの、それだけではなかった。

 この世界では3年前、西暦2021年から戦争が起こっているからだ。被害が特にない地域で生活していたから余り知らなくて授業で習った程度の知識だけれど、ひととその派生種、まほうと呼称される超常を現実化させる(ただし特定の分野のみである等制限が存在する)生態を有するまほう少女といういきものの2種族間による戦争、『真法戦争』と世間では呼ばれているらしい。

 今が冷戦状態とはいえ全員が無関心であるわけがない。だからどんなに杞憂だったとしても僕が元人間であるという事を彼女が知ってしまった際の種族的糾弾にあたられるという未来が怖かった。

「僕は、これからどうなるんですか」

「え。・・・それは暫くここで暮らしていただいて霊体を肉体に馴染ませてその後、本国にある統合参謀本部に向かい手続きを踏んでもらい、ます」

「統合参謀本部」如何しよう面倒になりそう。

 逃げるか。

 殺されるけれど捕えられた位だとしたらそれなりに戦力を所有しているという事だから即殺くらいはしてくれる。

 本当には世界に僕はいない、だから執着はない。それよりも他人に迷惑かけてしまいそうな予感しかしない。

 またあの視線を味わうのが、怖い。

 今、誰も彼もを裏切る事さえすればそれでよくなると思った。

「・・・あ。堅苦しい組織じゃないですよ。外交する為に適当につけた組織名ですから。私も所属していますが、何というか女子会に近いゆるい所ですから」

「・・・」嘘だろう。笑顔の所為か余計に的外れに思えてしまう。

 立ち上がって部屋を出て廊下に向かい庭を見た。音が聞こえなくなって庭に出て十数歩。

 影が、見えた。

 異変の方向。中心に透明な円柱に近い構造体が出現していた。さっき迄無かったと判るのは聞こえていなかった飴を押し潰したような音がしているからで、誰かいた。

「?」

「筐体、設定」

「えっ」柔い風が吹き、一度減速したのか流れた絵具の様なその移動が振り返った目の端にあった軒下に見えて、彼女への質問用に吸った空気が無為になった。部屋には土埃一つ入っていなかったからそういう保護がされているのだろうが、その代わり赤黒い液体が目前を飛んている。内部を狙ったのか背中から内臓にかけて根を張るような悦楽があり、眼球が泳ぐ。血液は宙で止まり周囲は染めずに棘の形状になってから僕の体組織を片っ端から壊していて、推測が実感に変わった。

 まほう少女の第21種。属するひとは苦痛を快楽に変換する先天性の作用障害を抱えていると保健の教材にあったのを覚えていた。

「・・・」報道の文面でしか知らない本当の傷害まほう。ただの平和ぼけだろうけれど、殺傷ではないのが少し信じられない。

 爆ぜる音がした。失明と間違えたけれど足元の爆発した地面が迫って月明かりが消えていた。徐々に収まって元に戻っていく。

「ご無事ですか?」右に首を捻り、寝転がっているから90度分傾いた光景を見た。蒸発していく血液が風の流れを教えている。横抱きに対象を持ってきながらそう問うている表情は高揚したように赤みがかっていた。使用した代償なんだろうけれど、悪寒がする表情に怖くなる。彼女の首に項を中心にした光の輪があった。ああいう風になっていたのかな。

 同じ部分を咄嗟に抑え、なぞる。

「・・・はい」

「不注意でした、申し訳ありません。謝罪した手前無礼ですが、本部へご同行願えますでしょうか」

「あ、はい」反射的に答えてしまう程にまくし立てられ、僕を狐につまむようにそのまま二人と一緒に移動させられた。



2 


 後天性魂率欠乏症候群(英名:Acquired altencial syndrome)をご存じだろうか。他干渉を阻害するまほうと個人形状記憶をするまほうが害を成して発症者の存在を存命している限り希薄化させ、完全進行後は複製外殻や同種の肉体等を苗床に定着して身体組織の設定を行い出生するという流れで発病者の存在を概念ごと変更させる症状の精神的自己免疫疾患を指した総称だ。

 あれから数分後。彼女は放心した僕をどこかの聖堂へと連れ(日本との距離が遠いので使用した脳から分泌された毒により削減された理性を取り戻す為に中和作用をもつ物質が滞留しやすい場所を選んだらしい。治らない場合は聖水という経過消滅式の流動まほうを飲用するそうだ)、意思疎通の確認をした上で最初の事情説明として名前とそんな情報を言い渡した。

 他にも人工化による兵器生成の危険性とかがあったが話が長くなってしまいそうなので割愛する。要するに巣食っている病は命に別状はないが魂の再設定が終了している程に癒着が進み切っているから根治はしないそうだ。

「進行を止められなかったのは魂を摘出する手法が遅れてしまったからだったんです。摘出した時には私と情報を委託していた一部の記録委員以外の全員があなた自身を含めた誼木明という人物を忘れてしまっていました」

「どうして」

「誼木さんの希望、でした」

「あ・・・」躊躇いつつ発せられた経緯に前の自分も大して今と変わっていなかったらしいと今後に安心してしまった。

「新しい人生を送って欲しいと思い、御節介であるのを承知で別の外殻を用意したのですが冷戦になって少し経ってから同盟国の偉いひとたちにばれてしまったんです。戦力増強するから空の肉体を造って施術をさせるって勝手に指令を組み込んでいた事がわかって。処罰を承知で探したところ、施術が終わってしまったあなたを見つけたんです」

 その後無言になり、耐え切れなくなった僕が誤魔化しの意味も込め質問をした。妙に明るい声になってしまって調子が安定しない。

「さっきのひとは、誰ですか」

「誼木さんの一部です」

「複製体とか、そういうのですか。さっきの話から何となくですけれど」

「いえ、誼木さんのまりょくを基に作られたいきものです。フィクションでの使い魔に似た感じです。発見当時衰弱していたので完治し覚醒したらその制御媒体を装着してもらうつもりでいたのですけれど、迂闊でした」

 ああ、そういう意味もあったのか。抱えられている方よりも拘束が緩いのは信頼はされているからだろうか。

 過去は偉大だ。知らない借り物だけれど。

「どうして、襲ってきたんでしょうか」

「定着の際に何らかの拍子で作動したまほうがあったのかも知れません」

「・・・」いや、多分僕が罪悪感と疑念を抱いたからだろう。それを伝えないのは彼女の発言に信憑性が出始めてしまったからだ。すべての事実の真偽に関心が無いのはまあそうなのだけれど、移動も会話もどうにでもなるが襲撃に関しては反論が出来ない。抱えているひと型の生き物は僕がつくったもので間違いないからだ。

 人生で一度でもまほうを発動した者は脳とは別の空間の記憶貯蔵庫、オカルトに言うと限定的にアカシック・レコードへ常時接続しているような状態になる。だから使用履歴は見間違えられない。

 けれど隠蔽できるまほうはある。それでまほうを専門にする法執行機関が未だに仕事を得ている訳だが、私はあの時無意識間でそれを行った。

 つまり隠す事情があった事になる。あの場にいた全員に。

「何処に報告に向かうのでしょうか」

「何処って」

「いえ、連れられたのでてっきり誰かしらの所に僕を、えっと。診断してもらおうとしているかと思ってしまって」

「ええ、報告は私が。詳細は書類にて提出する事になっていますけれど一応その手筈となっています。」

「僕、死なないですか」

「えっ、どうして」

「いえ、生き物をつくるだなんて大仰じゃなくても警戒に値するまほうが使える私が罰せられるのは、自然では」

「・・・」

「?」

「我々の法では確かにそうですが、それは制御が不可であった場合ですので問題無いですよ」

「今直ぐにでも実権を行使すべき案件なのでは」

「制御はしていました」

「どのように」

「自身を、傷つけるように命令していました」

「・・・すみません」またやってしまった。

 そういえばあの時消えたいって考えてたけれど、あれか。よくある話だけれど当事者にはなりたくなかったな。

 統合参謀本部二階、第一会議室。

 戸籍の再施行、まりょくの流動式を登録と、諸々。

 その係員の方は背の高いひとだった。髪の右だけを束ねている長髪で白髪、老化でなく体質のようで(断定しきれないけれど)目算では十代後半、虹彩は金色。黒でオーバーサイズのセーター、ジーンズを着用していた。手をひらひらと振り、そよ風を受けた時のような態度で喋っている。

 その後。

「改めてお久しぶりです、酒戸(さかど)さん」

「おひさ。相ちゃん。明ちゃんは初めましてぇ。酒寄と呼んでくれると助かるな」

「初めまして」

「何か不安な事だったり困ったことがあったら言ってね。例外を除いた法の範囲で協力するからね」

「は、はあ」

(抹消済)。

 再転送。誼木邸。

「不思議なひとでしたね」

「まあ、酒戸さんは内面が表情に露出しません方ですから」

「・・・」先程執着の話をしたけれど、よくあるように本心は単純な怠惰でしかない。疲れていたから口が滑ってしまっていた。不用意な発言が癖の領域に達してるから諦めていたけれど意識の整理整頓の為には直すべきか。

 翌日、同所。リハビリテーションと基本的知識の再共有を兼ねた交流を行う事になった。

「・・・」指定させてもらったダークスーツを着用してネクタイを調整する振りをする。

「その服でよかったんですか?」

「はい、疲れないので」

「そうですか」

 肉体面からだそうで、庭にて基礎的運動の他に私生活・その他での肉体への重力制御を用いた訓練を行った。ブラとか着ければいいのにという素朴な疑問を感じたが戦闘の際に千切れたり擦過傷の原因になってしまいラグが生じてしまうらしい。

 再生限界は事実上無いが精神汚染が避けれない以上他国に拘束されるといった事を考えると二重の意味で致命傷であるのはまあ、その通りだと思った。

 今はまほうの習熟はしてはいけない(病み上がりのような状態で、精神に負荷がかかり人格解離が起こって最悪の場合脱臼みたいに慢性化するらしい)のでベルト式の専用機材を装着した。多分自分でやるとしたら相当難しいのだろうなというくらいに丁度良く駆動制御され、自転車に初めて乗った時みたいで一寸楽しかった。

「すごいですね。ふつうは初回だと出力間違えて転んじゃったりしちゃうんですよ」

「そうなんですかわあ」話した途端その場で宙返りに近い転倒をしてしまった。

「あらら」

「お恥ずかしい・・・」でも緊張が解けるきっかけにはなったのか、双方笑顔になれたので楽しみながら進められた。

「すみません。懐かしくなってしまって」

「・・・」

「昔の誼木さんもうっかりさんだったんですよ?」

「そうでしたか」

「立てますか?」

「ありがとうございます」差し伸べられた手を取り立ち上がって続行した。

 約二時間後。

「このあたりで一度終わりにしますか」

「はい。ありがとうございました」

「汗もかいたでしょうし、お風呂に這入ってから食事にしましょう。着替えは用意しておきますので。タヲルは洗面台横の棚にあるのを使って下さい」

「わかりました」

 数十分後、リヴィング。

「それでは食事にしましょうか。私たちの食事の形態は他種と異なります。捕食器からダイレクトに精力を摂取する旧来の方式もありますが、セクシャルな問題がありますし性感染症の危険性もあるので最近は起源種である人間のアストラル体を干渉しないレヴェルに削ぎ、代用として取り込んで食事とする事を推奨されているんです。不定形且つ不可視なものなので格納させたものを使用します。このように」

 そう言いつつ相藤さんは机に置かれた小皿に乗ったカプセルの一つを手に取り舌に乗せ、飲み込んだ。

「水は伴わずに飲み込んじゃってください。人間さん向けの錠剤とかと同じで用法を守れば害はありませんので」

「わかりました。えっと、いただきます」

「どうぞ」実演してくれた通りに飲み込む。数秒して下腹部が暖かくなって、頭部の皮膚に甘い電気のような感触がした。ふわふわする、平衡。

「お」

「大丈夫ですか?」

「ぁ、はい」膝から崩れ落ちていた。上手く立てない。

「久し、初めてですから脳味噌が吃驚しちゃったみたいですね。回数を重ねれば慣れていきますから」

「そうですか」この場所に来る前の感覚と同じで、あの対応が申し訳なくなってきた。

(以下、抹消済)。




(抹消済)。

読んでくれてありがとうございます。

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