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NO パズル NO ライフ

作者: 一飼 安美

 人生はパズルだ、と言い張る昔の友人。手の中でカチャカチャと回る大昔のオモチャは、一向に解ける気配を見せない。いつまでやっているつもりなのかとあきれながら見ていた。解かないことには進まない、と学生時代の話もそこそこにくるくると回し続ける。お前、上手くいってないだろ。何やっても。そんな失礼なことを、私を見て突然言い始めた。


 ……私は上手くやってる。仕事もしているし家庭も持っている。収入もあるし人付き合いもそこそこ、十分上手くやってる。上手くいってなければ、もっと大変な生活をしている。今だって大変だけど、みんな大変なんだから、そんなの変わらないでしょ。そう言ってやったのに、そういうところだ、って友人は笑った。


 みんな大変、自分はマシ。マシじゃなければもっと大変。比べたこともないのにそれで毎日を通し、最初が間違っていたら大変なのは当たり前、というのが当たり前。あのままいったらそうなるだろうな、と思っていたら案の定そんな感じになっている。何にも変わってねえな、って当たり前に言う。なんて失礼なんだろう。私は変わった、何年も経って、見た目も生活も変わった。たくさん変わったでしょう。怒り始めた私を見て、友人は退屈そうだった。


「パズルは変わらねえよ。パズルだからな」


 解かずに放置したパズルは、誰かが解かない限り解けるものではない。やりかけのパズルなど誰も手に取ろうはずもなく、もう進める気がないのなら解けることはない。今のお前だよ、と言ってオモチャのパズルを眺めた。よし、と言ってこっちに転がしたルービックキューブを見て友人は、解く価値のあるものだった、と笑った。学生時代から、五年もかけて解いたのだそうだ。解けてしまえば簡単なことだ、と満足げな友人。一角だけ残った色の違う場所は、もう仕方がないのだそうだ。

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