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12.下山


 洞窟から出て外からよくよく場所を見てみると、一度下らないと分からない場所に洞窟の出入り口が有り、歩きやすい所から見ただけはただのテラスのように張り出した岩棚の下で、到底到達できるとさえ思わない場所だった。このような分かりずらい場所を最初に見つけた人は誰なのだろうか、どうやって見つけたのか、つい気になる。


「もうここはアイボリー山脈を超えた帝国領側。下に見える山の尾根を少し縦走した後に、西に横断する道がみえたら、北方樹海の西側に本格的に入れる」


 パウラが指でなぞるように、雪化粧した景色の一つ一つを解説していった。

 縦走する予定の山は、アイボリー山脈の半分ほどの高さで、さらに西側にある山々とアイボリー山脈に挟まれて天気が大きく崩れることはないらしい。そして指さした先に見える横断予定の場所は、西側の山に空いた隙間のような場所なのが、遠目に確認できた。


「横断する場所は、帝国領からどれくらい入った所なんだ?」

「2日、いや人間の足だったら3日くらいかな」

「では、ここから1~2日はこの尾根を縦走していくわけか」

「そう。あそこに見える山わかる?」


 パウラが指さす先が隣からだと分からずに、目線を同じにすると確かに分かりやすい山があった。


「右側にすごい崖が見えてるな、ここからでも白い岩肌が見える」

「えっ?あ、うん。そうそれが今日ビバークする場所」


 パウラが焦った声で振り返ると、予想以上に近い距離にこちらもビックリしてしまった。


「わ、分かった。出発しようか……先行部隊はいらないな?」

「そうだね、尾根沿い歩くことになるから、見晴らし良いしいらないと思う」

「よし、みんな!出発だ!」


 岩棚の上で束の間の休憩をしていた部隊員たちが、重い腰を上げて装備を整え始めた。いつも通りの隊列を組みなおすと、下山が始まった。天気は晴れて日差しは体を温め足取りは軽く、スノーシューが雪を捉える足音が軽快に響いていた。



「なんだ?あれ」


 先頭を歩いていたクレスが声を上げたのは、アイボリー山脈の主山脈から縦走予定の尾根に降り立ち、一つ目の山頂に到着したところ。まだ陽は高いが冬の日没は予想以上に早く、あと二つの尾根を越えるために先を急ごうとしていた矢先だった。


「白い影が……動いた気がします」


 急に山頂を少し下りたところで立ち止まったクレスに追いついて言われたのは、尾根の先に見える雪化粧をした岩のようなものが動いたという報告だった。

 目を凝らしてみてみると、確かに周囲に同化しているように見える白い岩が、僅かに蠢いた気がする。


「パウラ、あれが何かわかるか?」

「いや……たぶん……いや、分からない」

「確定じゃなくてもいい、教えてくれるか?」

「あの大きさは、樹海熊だと思う」


 この”樹海熊”という言葉に鋭く反応したのは、一番近いクレスだった。それと同時に後ろで立ち話をしていた森の手も、”樹海熊”の言葉で静かになる。


「樹海熊?あの熊か?」

「そうです隊長、だけど白い樹海熊なんておとぎ話の中でしか聞いたことありません」

「いやいや、多分獣人達は樹海の深くまで入ってこないからかもしれなけど、エルフは普通に見る事あるよ?」

「待ってくれ、別に熊ならそんな珍しいものでもないだろう?白い毛並みも別にいてもおかしくない。さっさと進んで、片してしまおう。肉にできるぞ」


 熊くらいならば、王都からは少し遠い森で普通に暮らしていて、幼い頃父親と二人で狩ったものだ。だが、腰の矢筒に手を伸ばそうとすると、クレスに手を止められた。


「隊長、お待ちください!樹海熊はこの距離で分かるほど、大きい上に強いです。更に言えば……白い樹海熊は幸運を運んでくると言われています」

「はぁ?何言ってんの?白いと幸運を運んでくるなんて適当な事を」


 パウラの表情は、普段から見慣れていた白い熊の何が幸運なのかと言わんとする表情だ。

 クレスは明らかに困っているが、獣人のおとぎ話に出てくるほど貴重な生き物なのであれば、確かに幸運の証となっていてもおかしくない。そして、それを倒そうとするのは気が引けるという気持ちも、十分理解できる。


「パウラ、避けて進めるか?」

「いや、多分ムリ……樹海のこんな浅い所にいるのなんて見たことない。たぶん、冬の前と最中に十分な食べ物が足りていないんだと思う。狂暴だと思うし、避けようと思っても攻撃してくるよ」

「ですが……」

「サルキ!来てくれ」


 ここは森の手で最も信頼されているという話だったサルキに、森の手としての判断を聞いてみるしかない。最後方いたサルキが来る。


「どうしました?」

「白い樹海熊を知ってるか?」

「はい。幸運の白い樹海熊ですね」

「あそこにいるんだ」


 目線と指で方向を示すと、サルキは目を細めて観察している。

 先程まで少し身をよじらせるだけだった樹海熊が、立ち上がり二足歩行になったかと思うと、こちらの姿を見つけたように静かに見つめている。


「確かに樹海熊ですね……しかも白い」

「倒していいか?森の手の意見を聞きたい」


はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。

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