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7.寝起き


「負傷者はいるか!?部隊長は人員報告せよ!」


 一人、また一人と部隊長がこちらに来て報告を上げて来る。

 報告を纏めるとアーチャーに負傷者はいないが矢の消耗は多く、方円陣を作っていた者達はいくらか負傷者は出ているが死者や大怪我をした人間はいない。30頭ものアーマードウルフに襲撃を受けたにもかかわらず、大怪我した人間さえいないとは上出来、そして幸運と言って良いだろう。


「カンブリー、アーチャーを纏めて使えそうな矢を拾い集めさせてくれ」

「了解」

「エドガー、負傷者の程度は?砦に送り返す必要があるか?」

「いえ、少し嚙まれたり引っ掻かれたくらいです」

「そうか……帯同している魔導医はいない、自分達で対応してくれ。この先アイボリー山脈越えに入れば引き返すことも出来なくなる。負傷者を送り返した方が良いと思ったなら、明日までに言ってくれ」

「承知しました」

「カール、流石の武勇だ」

「おうよ」

「サルキ、これでは血の臭いで見張りが難しくなるな。騎士団も立たせるか」

「お願いします、数を倍加させましょう。目で見張りをしなければ」

「後は……後始末だな。アーマードウルフの肉は美味しいぞ」


 親父が狩ってきたのを一度食べたことがあるが、美味しかった記憶がある。


「片付けも含めて、丁度新鮮な肉が手に入りましたね。明日からの食事は元気が出そうです」


 それぞれに仕事を割り振った後は、手隙の者達でそこらに横たわるアーマードウルフの処理をしていく。支流に厚く張った氷を割り下の流れを露出させると、そこで血抜きを始める。カールが倒したアーマードウルフや、他の者でも何回も刺して肉が良くない状態の物は避けたとしても、18頭の血抜きが行われている光景は中々見慣れないものだ。

 野営地に戻ると食べられないアーマドウルフの死体は、雪の中に埋められている。埋めることである程度、他の魔獣が寄って来る時間を遅らせることが出来るだろう。少なくとも自分達が出発する明日の朝まで、寄って来ないように祈るしかない。


「隊長、肉はどう処理しますか?」

「塩はないが、この寒さならそう簡単に腐ることはないだろう?」

「そうですね、凍るとおもいます」

「なら、そのまま生肉で持ち運ぼう」

「了解です」


 クレスとラフは肉を処理し終わり自分の天幕に戻っていったが、その背中からは久しぶりに新鮮な肉を食べられる嬉しさがにじみ出ている。前の時もこの二人がワイルドボアの肉を処理していたことを思い出す。部隊長の立場でもするということは、彼らが森の手の料理担当なのかもしれない。



「おはようございます、隊長」

「うぅ~ん、うぇ?え??えぇぇ?」


 疲れ切って眠った次の朝、なぜかいつもより暖かいと思ったら、真横にはパウラがいた。


「なんですか?」

「おいパウラ!なんで”同じ寝袋”に入ってるんだ」

「いや、こっちの天幕の方が広いし」

「折角、皆が君の為に作ってくれた天幕があるんだぞ」

「いやいや、なにより一人は寂しいし、何より二人で寝た方が暖かいだろう?そして何より君も、こんな美女と一緒に寝られて嬉しいでしょ?」

「それは……」


 ”そうだが”と言いかけ慌てて堪えた、嬉しくないかと言えば噓になる。

 だが、失敗できない大事な任務の最中だ。同じ天幕から出て来るのを見られるだけで、他の兵士から信用を失ってしまうだろう。ここは明確な言葉で、諭さなければならない。


「パウラ……君にとってこの任務がどういう意味を持つか、俺には分からない。だけど今の俺にとっては一番優先度が高くて、大事な事なんだ。こういう誤解が生まれることは金輪際やめて欲しい。同じ目標に向かっている他の隊員に示しがつかない」

「……」


 パウラは暫く黙った後、静かに天幕を出て行った。その表情は少ししか見えていないが、少し悔しそうに見えた。

 その硬い表情を見て、もう少し遠回しに言うべきだったかと少しの後悔が出てきた。これで機嫌を損ねて「道案内しません」なんて言い出さないことを祈るしかない。


 この心配は杞憂だった。

 

 少し天幕で考え事をしながら着替えた後外に出ると、既に食事の準備は始まっていて昨日血抜きをしたアーマードウルフの肉を解体している最中だった。部隊長たちは全員揃っていて、パウラも何事もなかったようにそこにいる。皆至って普通に朝の挨拶をしてくるので、今朝の出来事が知られていないと信じたい。


「アーマードウルフの肉です」

「ありがとう」


 運ばれてきたアーマードウルフの肉に、塩を振りかけ齧り付いた。口の中に広がるうまみと、塩の素晴らしいバランスに思わず口角を上げてしまう。他にもスープがあり、こちらは野菜の漬物と干し肉でいつもしょっぱく感じていたが、アーマードウルフの肉が入ったお陰で中和され美味しく食べれた。


「美味しかったな。体も温まったし、あと一刻ぐらいで出るぞ」

「「「了解」」」」


 天幕が片付け終わると、すぐさまパウラを伴った森の手たちが先導に出発した。そして少し遅れて、隊列を整えた本隊が出発する。

 

はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。

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