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3.出発前


「カール!」

「ん?どうした」

「メンバーを集めてくれ、日没前に出るぞ!集合は2刻後、第四門だ」

「はいよ」


 さっきまで敵と戦っていたにもかかわらず息が乱れた様子も見せることなく、軽快な足取りで人を集めに行くカールを見送ると、代わりに掃討に参加していた騎士団長が自分の横へと戻って来た。


「いつ出るつもりなんだ?」

「日没までにはでます」

「私から森の手に声をかけておこう。2刻後を目安でいいか?」

「はい。お願いします」

「構わんさ、その雪と泥だらけの服をそのまま着ていくわけにもいかんだろう」


 マジックアローを放った時に地面を転がったせいだ。騎士団長の厚意に甘えて、自分の荷物がある兵士宿舎に戻ることにした。

 狭い2段ベッドの下段が自分の場所で、更にそのベッドの下の左半分が自分の荷物置きだった。大した物は持って来ていないが、支援の火魔導士により常に沸かされている湯を持って来て体を拭いた後に、洗ったまま放置していた服へ着替えるだけでも大分体がすっきりする。

 そして残った湯で装備を綺麗に拭き上げた後は、少しの着替えに武器の手入れ用具、必要な装備をバックパックに詰め込む。残ったスペースは水や食料が入る。背中に背負っていた矢筒を外し、そこに代わりのバックパックを背負った。まだ軽い物しか入っていないので矢筒より軽く感じる。腰の矢筒にはさっき補給した大量の矢と最後のマジックアロー1本を纏め、護身用の短剣を腰から下げた。これで、兵舎で出来る準備は完了だった。

 食事を配っている場所の近くにある食糧庫に行くと、既に手配され人数分小分けにされた糧食や干し肉の山があり、担当の兵士と普段調理を担当している男が荷物に詰め込むのを手伝ってくれた。


「さて、どうしようか」


 ついつい気合を入れて早めに準備を終わらせてしまったものの、まだ集合場所に行くには1刻ほど早い。出発する時はエルフの少女パウラを迎えに来いと言われているので、先に迎えに行ってしまおう。


ーーーコンッコンッ

「どうぞ」

「リデルです。こんにちわ」

「どうぞと言っているわ。入って」


 この前線の砦に特別待遇で滞在しているパウラは、貴族しか許されていない個室に入っている。マクナイト男爵が使う予定だった部屋だ。恐る恐る扉を開けると、柔らかそうなベッドの上でブーツを履きながらこちらを見つめる美少女がいた。


「お迎えに上がりました」

「そんな丁寧な言葉遣いしなくていいよ」

「いえ「やめてと言っているの。樹海の道教えないよ?」」

「わかった。すまない少し早かったか」

「そうね、乙女は出かけるのに時間がかかるのよ」

「それは失礼」


 ブーツを履き終わりベッドから立ち上がったパウラが、こちらを見つめたまま動かなくなった。


「な、なんかついてるか?」

「魔力は少なそうだけど……随分扱いに熟達しているのね。そして弓も上手い」

「15覚醒だがな……それにしても、エルフ族に弓の扱いを褒められるとは光栄だよ、見せたことあったかな?」

「エルフと言えど、別にみんながみんな上手いわけではないわ。それに見なくても弓の腕は分かる。筋肉の付き方と歩き方。重心の取り方に、その体を挟んでいる弓の状態を見ればね」


 そういうものなのかと思わず自分の体を見てしまうが、上から下までいつも通りなので何の違和感も抱かなかった。


「経験よ」

「経験か」

「ところで15覚醒って何?」


 まさかの所を聞き返され、一瞬馬鹿にされたのかと思い答えに詰まった。だが、表情を見るに本当に知らないらしい。


「えーっとだな……人間が魔力を覚醒するタイミングが二つあって、それが7歳か15歳なんだ。それを7覚醒15覚醒と呼んでいる」

「ふぅーん。意味あるの?それ」

「まぁ、15覚醒は魔力が弱いから……区別の為かな?」

「変なの、準備終わったよ。行ける」

「じゃあ、行こうか」


 彼女の背にあるバックパックは随分と小さく見えたが、食料を受け取りに向かって詰めると彼女の荷物も自分と同じくらいの大きさにになった。華奢な体に大きな荷物を背負っていると重そうに見えるが、彼女曰く「常に風魔法で少し浮かせているので楽」だそうだ。

 同じ風魔法を使えることで自分もするように勧められたが、その芸当をするほどの威力はないし維持も出来ない。更にはさっき魔力を使い果たして空っぽだった。


 第四門の周辺には既に結構な人数が集まっていた。

 自分の存在を確認した者達が、探るような視線を向けているのが分かる。雰囲気は針の筵の様だ。それもそうで、これから命がけの任務をしなければいけない覚悟を決めているのに、いきなり若造の指揮官が容姿端麗なエルフを引き連れて歩いているのだ。本当にコイツが隊長なのか?ついて行っても大丈夫なのか?と彼らの視線に込められている気持ちも理解できる。


「リデルさん!」


 雑談の声が途切れ値踏みする視線になったことで、静かになった状況を知ってか知らずか、門下にいた男が能天気に背伸びしてこちらに手を振っていた。ウィルだった。

はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。

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