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10.再任命


 全員というのは比喩ではない、テーブルを囲んでいる貴族も周りの護衛も、訝しげな表情で自分を見つめて来る。何も聞いていなかった自分も、自覚するほど当惑の表情が出ていた。


「というより、今回の作戦の軸を、このリデル。リデル弓兵教官に置きます」

「またか?」

「はい。帝国に対する脅しも、後背面からの奇襲もリデル弓兵教官が鍵になります」

「おいおい……」


 森の手の団長であるコルソは呆れた表情だ。それもそうだろう、またもや森の手の部下たちを預けること、北方樹海での動きも森の手が主体になれない事が決まっているようなものだ。二回も自分達の領分を侵されれば、呆れもする。

 それには自分も同感だった。いくら森に慣れていると言えど、北方樹海の冬を知らない以上、今回のように北方樹海の中を長期間移動するとなれば、間違いなく森の手のみで動いた方が慣れている上に早い。

 なにより「また」と言えど、前回とは比較にならない程の責任だろう。この作戦が成功しなければ、このカレリア砦は陥落することになる。その事実をもって辞退をしようと口を開きかけた時、自分からの言葉を制するように騎士団長が作戦の内容を話し始めた。


「まず前提として、このリデル弓兵教官は大きな武器を持っています」

「”特大威力”の矢の事か?」

「そうです、マジックアローと呼ばれているそうです」

「らしいな」


 不機嫌そうに押し黙ってしまったコルソの代わりに、オスカリ男爵が質問することで議場が進んでいく。


「リデル弓兵教官曰く、このマジックアローの用途は大きく二つ。広範囲の敵を吹き飛ばすか、遠くの敵を正確に狙撃する」

「ほぉ」

「まず帝国に脅しを掛ける方法ですが、わざと第一城門を突破させ敵を滞留させます。次にその散々溜まった敵を一挙に吹き飛ばし、敵に新兵器の存在を感知させます。そうすることで帝国のカレリア砦に対する動きは、間違いなく慎重になるでしょう。後は大きく樹海を回り込み、帝国指揮官を遠距離で狙撃するのです」

「待て待て!ご都合主義すぎるぞ!一つ一つ問題を解決しなければ」

「ですから、細かいところは今から詰めましょう」

「いやだから無茶だと…」


 辺境伯が片手を挙げて、オスカリ男爵の口を制した。その手を今度はドアに立つ騎士に向けた。


「……分かった。おい!マルコ子爵を叩き起こして来い!」


 暫くして合流した寝起きのマルコ子爵を交えて、作戦の細かいところを詰め始めた。会議は夜の初めに始まり、白熱の議論は朝方まで続き、陽が昇り始めてようやく決着だった。

 今回は自分が軸となってやらなければいけない作戦なので、その分発言する機会は100倍以上に増えたと言ってもいい。ない頭を振り絞った分、戦闘とは別の疲労感が一挙に襲った。


「これで纏まったな……では最終確認だ、作戦の流れを最初から説明してくれ」

「まずは、3日後第一城壁上の歩兵を除くすべての歩兵を、第一城門裏に幅50フィートで両翼包囲のシールドウォールを形成して展開します。その中に十分敵兵が充填できた所で、リデルがマジックアローを射撃一掃します。恐らく100~200の敵は吹き飛ばされるでしょう。その後第一城門はある程度帝国兵を逃した後、予め城門上に設置した大量の石を投下し封鎖。砦内に入った敵を掃討した後に、内門を閉門します」

「リデル君責任は重大だぞ」

「承知の上です」


 マルコ子爵に言われなくても、重々分かっている事だった。ただ、自分のマジックアローの威力を、たった今聞いただけの子爵に信頼してくれというのも無理難題だ。


「続きを話します。リデル及び騎士団と森の手の選抜兵士、合計50名が北方樹海に入り、アイボリー山脈を超え、20日目までに敵後背面に侵入。コルテス家の鎧を装備し、帝国兵を偽装します。問題は敵指揮官の居場所が判明していない事ですが、今まで一度も見ていないという事は最後尾付近とみていいでしょう」

「あぁ、更に我々の脅しで前線に出て来ることは無くなる」

「敵指揮官を討ち取った後は、狼煙の合図を出し第一城壁に向かって前進。帝国に擬態できれば良し、出来なければ強行突破」

「我々、カレリア砦に待機の組は狼煙の合図で打って出て、敵を混乱に陥れると……」

「ハハハハッ、こう聞くとなかなか荒唐無稽だな」

「やるしかないでしょう。このまま帝国に圧し潰されるよりは、百倍マシですよ」

「いや、なに否定しているわけじゃない。面白いと思っただけだよ、ヴェンツェル・ナッフート騎士団長。我々はリデル君たちが到達するまで、必ずカレリア砦を持たせなければな」

「はい、必ずや。防衛のカーマイン辺境伯軍の力を見せてやりましょう」


 皆一様に疲労と闘志を漲らせていた。優しげだが覚悟を決めた眼の辺境伯が自分を見て、短い声をかけた。


「リデル……”また”頼んだぞ。君を隊長として部隊を編成する」

「はい……謹んで拝命いたします」


 前回の不意を突かれた任命とは違う。自分が隊長となることも予想していた上に、今回はこのカーマイン辺境伯領を救うという確固たる意志がある。必ずや成果を上げてみせるという気持ちが、心の奥底からせり上がって来て今にも雄たけびを上げそうだった。

 

「よろしい、皆ご苦労。今日は休め、子供エルフが来たらまた呼び出す」

はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。

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