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9.勢揃い


 一通り話が終わったあと、イスに深く腰掛けていたいた男がゆったりと体を起こした。


「それにしても規模は違えど、北方樹海に胡乱な奴らが出現するのは、いつも通り帝国が攻撃を仕掛けてくる予兆でしたか。帝国はいつまで経っても古い手を使う。そんな事でこのカーマイン辺境伯領を獲れると思っているのだから、笑えて来ますな」

「いやいや、今回は奇襲であり、挟撃だった。このリデルが救援に来なかったら、私も城内で横死していたぞ」

「いえいえ、そういう意味ではなく。あくまでカレリア砦の責任者として言った話です」


 カレリア砦の責任者ということは、この男がカーマイン辺境伯領の南西部を管轄するベゴニア子爵家の当主である、レイデル・ベゴニア様だろう。


「ハハッ、私の人が悪かったな!」

「ご冗談を」


 攻め寄せる敵の声をものともせずに、軽口を叩き合うのは二人の慣れからくるのか、それとも元々の胆力なのか。その様子を見ながら慣れた様子で騎士団長が、次の議題へと進める。


「次は”森の手”報告を」


 団長のコルソもここにいた。


「はい、ノルデン城下に居た”森の手”と”狼猫の足”達は"狩り"に遭いました。全滅です。籠城の生き残りと合わせて、元の人数と変わりません」


 河川港に積み上げられていた獣人達の惨状は、コルソの口から出てきた”狩り”という言葉に違わない状況だった。今思い出してもなかなか気分が悪くなる。


「損害は多いか……では以前言った哨戒ポイントの話は?」

「不可能です。今までのポイントは、先ほど調査隊から復帰した5名を加えてなんとかなるでしょう。戦時下なので全哨戒ポイントに常に人を配置しますが、そうすると増設予定のポイントの人数が……。暫くは厳しい状況が続きます」

「オスカリ男爵、コルテス家の動員人数はわかるか?」


 オスカリ男爵はバーミリオン家だ。バーミリオン男爵家は辺境伯領の北東側を統治しており、1番領地が小さい。少ない農耕地と鉱山を抱えているらしい。これもエドガーから昨日聞いた話だ。

 つまり、部屋にいる人物はやはりこの領地で位の高い、辺境伯に騎士団長、男爵に子爵と森の手の団長がここに勢揃いしていた。


「大体500〜800程だと思われます。ですが水軍と自領に人数を残しているのであれば…遠征に動かせるのは最大でも400かと」

「ふむ…そうか」


 辺境伯はオスカリ男爵に話を聞いた後、思案に入ったようで虚空を見つめていた。


「仕方がない、樹海の方は現状維持で森の手に任せる。コルテス家が樹海にこれ以上の戦力を用意しているとは思わないが、一応警戒はしておいてくれ」


 コルソが静かに頷き承諾の意を示したが、そこにはノルデン城で無残に散った部下たちを思ってか、目には少しの復讐の炎があった。北方樹海を見るのではなく、正面で帝国と戦いたかったのだろう。


「カレリア砦に危機が迫った時には、北方樹海を捨ててでも援軍に来てくれ」

「はっ、承知しました」


 その表情から悔しさをくみ取ったように辺境伯が言葉を付け足したのを見て、騎士団長が話を進めた。


「次に徴兵関連の報告を」

「マクナイト男爵より、委任されたマクナイト家の家令である私が報告いたします」

「久しぶりだな、ヨーク」

「久方ぶりにございます」


 マクナイト男爵家の家令を名乗るヨークという男は深く礼をするとまた話し始める。物腰の柔らかさが伝わる人だった。


「続けさせて頂きます。現状徴兵はほぼ全て終わり、残りはバーミリオン男爵の4村から28名の予定です」

「予定通りであれば、明日到着します」

「ふむ、”全て予定の通り”だな」

「はい。28名の合流によって、徴兵予定の240人が揃います」

「増やすように言っていた、村の警備はどうしてる」

「元より徴兵される者たちを警備にあてていないので問題ありません」


 ヨーク家令の報告を聞き、辺境伯は深く頷き続いて騎士団長を見た。


「ナッフート、カレリア砦の総員は?」

「徴募兵が240。一般兵が120。騎士団がノルデン城で40近くの損害を受けて、110です」

「騎士団の損害は40か、森の手の損害を含めると100近くになるな」

「えぇ、戦う前からの損害としては痛いです」

「まぁ、いい。いつもと同じくらいの戦力は維持できている」

「はい。問題なく」

「宜しい。男爵、子爵の私兵団は?」


 その声に子爵から回答が始まる。


「私の警護が5人、残りの45人はタリ村の警備に」


 タリ村は子爵の邸宅がある場所で後送拠点だ。


「3名が私の警護、残りの27人は、予定通りに王国側の砦に向かっています」

「マクナイト男爵の所は...…」

「ご察しの通り半壊しております故、ノルデン城の守備隊と行動を共にしております、ここにはもう1人の私兵と参りました」

「そうか、多少の差異はあれど、全ていつも通りに進めることができているな」

「えぇ、敵の圧力もそこまで強くはありません。援軍の到着まで暫く持たせることができそうです」

「うむ、ではこれで軍議を終わる。配置に戻ってくれ」


 会議を締める辺境伯の声を合図に、ガタガタと椅子を引き続々と出て行く貴族達を見送った。


はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。


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