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7.救出


 「あぁ、まずい」


 ウィルが思わず声に出してしまったが、自分も声を出してしまいそうだった。


 目の前には捕まって縛られた、クレス、ラフ、フレディの3人が見えたのだ。

 今陣地に到着したようで移動中だ、向かっている先は先程の人がたくさんいた場所だろう。多分あそこがこの陣地の本陣になる。

 3人を捕まえて連行している10人以外の者たちは見えない。先手を取れれば何とかなるかもしれない。


「いけるか?」

「「はい」」

「挟むぞ、2人は前から行け。こっちで注意を引いたら突っ込め」


 頷いた2人は先回りするために駆け出して行った。

 

 3人だ。


 不意打ちで3人倒す事が出来れば、向こうが2人はやってくれる。そうしたら、人数差は気にならない程度にできるはずだ。

 テントに隠れながら追跡したが、もうそろそろ2人が回り込めている頃合いだろう。

 手に持っていた短剣をしまって弓を持った。三連射するために、2本を手に1本を口に咥える。雨は弱くなってきている。小雨といってもいい、視界は通っている。


 通路に飛び出し弓を引き絞った。狙いは最後尾右の奴。こちらには気づく気配もない。


 100フィートくらいの距離だ、首を狙う。


ーーーバシュ


 パラパラと降る雨を裂き、まっすぐ進む矢の行末を確認する前に2本目をつがえた。

 今度は横にいる男の首から突然生えた矢に驚いている、隣の奴に狙いを定める。避けようとするだろうから今度は胴体に。


ーーーバシュ


 疾走する矢を見ながら口から矢を取った。

 

 矢は、驚き振り返った男の心臓を正面から射抜く。


 最初に撃ち抜いた男と、胴体を貫いた男が同時に倒れた。


 最後尾の異変に気付いた前2人が振り返った時には、すでに絞り切っている矢を放った。

 狙いは右の男。これもまた真っ直ぐに飛んで、敵の胴体に吸い込まれたが心臓では無い。


 動きが遅い、もう一本いける。

 腰紐に差した矢を取り出しすぐに放った。


「敵襲ーーー!」


 叫びながら避け始めた左の男の左腕に当たり、そのままそいつは、転がるようにテントの影に入って行った。

 それによって連行されていた、最後尾のラフが見えるようになった。こちらを振り向き、自分の存在に気づいたラフは、右隣の男を蹴飛ばし、そのままの勢いで左隣の男を背中で押した。

 もつれるように倒れたラフに、紐で繋げられていたクレスとフレディの2人も巻き込まれて倒れる。


 敵の視線が、十分に自分に集まっていた。


 前に進みながら、腰から次の矢を引き抜き、つがえ、ラフに蹴飛ばされた男に狙いを定める。

 その男だけは自分を見ていない。蹴飛ばされた腹いせに、鞘から引き抜いた剣をラフに向かって振り上げていた。

 その男の脇腹に向けて放った弓は、真っ直ぐに吸い込まれて、突き刺さった。あまりの痛みにその場にうずくまることしかできないようだ。


 ついで先頭の2人が血飛沫をあげて倒れる。


 倒れた2人の奥から、剣を持ったウィルと戦斧を持ったサルキが現れて残りの2人と、剣戟を交わし始めた。

 腰にあるのはあと2本の普通の矢と、1本のマジックアローだけだ。

 2本の矢を取り出して矢を番えながらさらに近づき、ウィルと戦っている男を射抜いた。生じたスキに素早くウィルが剣を叩き込む。

 今度はラフに馬乗りになっている男に狙いを定めて、放つ。倒された時にヘルムが脱げて、剥き出しになった頭部に深く矢が突き刺さった。


 使える矢はもうない。短刀を引き抜き駆け寄る。


「隊長!横!」


 ラフの声で慌てて後ろに飛び退いた場所に、剣が振り下ろされる。

 1人腕に当たっただけの奴がいたことを忘れていた。テントの影から飛び出したそいつは、ラフ達との間に立ち塞がっている。

 足元に落ちている抜き身の剣を拾い上げて、短刀をラフの方に投げた。これで3人が縄を自分で解けるはずだ。

 対峙している男の左腕には矢が突き刺さったままだ、いくら剣術が苦手でも負けはしないだろう。と思ったのが間違いだった、熟達した剣の使い手は右腕一本で、自分より強かった。切り掛かったはずが、少しずつ押されて段々と位置をさげられる。


 だが、剣を交わしながら5歩くらい下がったところで、男の背後からヌッと出てきた腕が顔を持ち上げて、短刀で喉を切り裂いた。


 力無く崩れ、声なき声を発する男の背後に現れたのは、縄を切ったラフだ。

 その奥ではサルキが、敵にとどめを刺し、ウィルが他2人の拘束を解いている。自分もそれに倣い、矢の傷に苦しむ男のトドメを刺した。


「何があった?」

「クレスが用を足しに行った時に見つかりました。連行するときは4人だったので、自分とフレディ、カンブリーが助けに行ったのですが、後ろから更に人が出てきて捕まりました。カンブリーは逃げることができています」


 という事は、エドガーはこの事を知ってるはずで、何か行動を起こしている可能性が高い。

 逃げるか助けに向かうかだが、合理的な判断をするエドガーなら、逃げてくれていそうだ。それでも仲間思いでもある彼は、助けに来る可能性もある。行き違いにならないように気をつけよう。

 捕まえられていた3人が、没収された自分の武器を、地面に転がる男たちから奪い返している。その鎧の金属音に混じって、別な音が聞こえた気がした。他の者たちも全員感じたようだ。


 すっかり上がった雨は、若干のもやを残しているものの、視界を通すのには問題なかった。

 音の源の方に目を凝らすと、武器を持った男たちが走り寄ってきているのが見えた。


「まずい!森に走るぞ!」

はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。

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