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5.遭遇


 森の中をしばらく歩き、段々と敵との距離を詰めていけているようだ。2刻と少し経った所で”森の手”の者達が口々に人間の匂いを感じると言い始めた。

 そこからは更に慎重に歩みを進める。雨の中とはいえど、なるべく音を出さず、周囲の状況に視線を配り続けた。雨は降っているが、視界は2~300フィート確保できている。

 自分達騎士団の者達にも”人間”の臭い、正確に言えば物が燃える臭いを感じ取ることが出来るようになり、想像以上に敵が近いことを知った。


 雨の中、足元の草の陰に線が見えた気がして、全体に停止の手信号を出す。

 その場でゆっくりとしゃがみ、足元を見回すと確かに線があり、線の元を辿ると鳴子が見えた。敵の警戒線だ。ここはもう敵の警戒線に入っている、誰かが罠を踏み抜く前に気づくことが出来たのは、自分の目の良さと、幸運に感謝するしかない。

 周囲に森の手の哨戒ポイントのような場所があり、敵が潜んでないとも限らない。一言発するのも厳しいと言わざるを得ない状況だ。静かに分かりやすく、全体が注目するよう警戒線を指差した。全員が頷いているのを確認してゆっくりとまたぐ。


 同じようにして全員が越したのを確認して動くと、少し先で雨の中に揺れ動く影を見た気がした。両隣のエドガーとサルキと目があう。

 お互いの視線が敵の存在を確認したことを知らせる。

 自分達3人が静かに木の幹に身を隠すと、全員察したのかそれぞれが手近な木の幹に隠れ、静かに様子を伺っている。

 ゆっくり覗くと、ゆらゆらと動いていた影が次第に人の形になり、こちらに向かってきている。2人組のようだ。談笑する声まで聞こえてきた。故郷の女がどうだとか能天気なものだ。


 2人の見回りは、このままだとウィルとラナーの間の木を通過する。ウィルとラナーは状況を把握できているみたいで、こちらを見て指示を待っていた。

 もう一度見回りに視線を戻すと、早くも装備まで見える距離まで近づいていた。観察したところ、質素な革鎧の軽装で、問題なく倒せるだろう。ウィルとラナーに首を掻っ切れのジェスチャーを送った。

 ウィルとラナーが頷いている。2人より後ろにいたカンブリーとアントンもジェスチャーで察したみたいだ。加勢できるように剣をゆっくりと抜いたのが見える。


 見回りの声が大きくなってきたが、雨足も強くなってきた。声がかき消され内容がよく聞こえない。

 危機感のかけらもなく談笑しながら進む2人が、ウィルとラナーの横を通過したと同時に首筋に剣を突き立てられ倒れたのが雨の中の陰で分かる。そこにさながら野生動物の様な低い姿勢で、素早く駆け寄ったカンブリーとアントンが、倒れた見回りに剣を突き立てている。

 見回りの後続はいないようだった。


「大丈夫か?」

「自分たちは何とも」


 この前倒した奴らと違う見覚えのない鎧だが、今も血が溢れ出している首筋を見るとひもが見えた。引っ張り出して確認するが、血だらけでよく見えない。

 手のひらに乗せた首飾りに付着した血を、強く降る雨が徐々に洗い流し、紋章が現れる。


「コイツは」

「”人間の誇り教”の紋章ですね」

「コイツらが探していたやつで間違い無いだろう」

「えぇ」


 自分のポケットに紋章を入れて、他に何かないかと見回りの体を探してみるが、特に何もなさそうだ。


「他はなさそうだな、死体を隠してくれ」


 ウィルとラナーが死体を運び、カンブリーとアントンが上に木の枝や葉をかけて隠した。その作業が終わったのを見届けて、また前に歩き始める。




「いた」


 思わず漏れてしまった言葉に、口を手で押さえた。

 大木に登った時に見えた、煙の正体がそこにあったのだ。


 想定していた人数より、大分少ない10人ほどが河原で何か作業をしていて、その周りには明らかに10人分以上の焚き火が、消火されて燻っていた。

 ぱっと見30は焚き火の跡がある。大抵焚き火一つにつき5~6人と見るのが妥当だ。つまり150人以上はいると思われる。想定していた人数は50人程度、焚火の数だけで3倍はいる。見間違いかと思い、何度も数え直すが、焚火後は見える範囲だけで30はあった。


 呆気に取られていると、両脇からエドガーとサルキが近づいてきた。


「これ以上は近づけませんね」


 エドガーのいう通りだ。自分達がいる森の中から焚き火周辺までの木々は、広い範囲で伐採されていて、近づくには目立ちすぎる。もしさっきの2人のほかに見回りがいたら、間違いなく見つかってしまうだろう。


「そうだな、こうも視界が開けていると見つかりやすい」

「しばらく様子を見ますか?それとも戻りますか?」


 自分の中で戻るという選択肢は、今のところなかった。まだ何も確認できていない。せめて人数くらいは正確に把握しておきたい。

 木がないおかげで視界は通っているはずなのに、雨のせいでよく見えない。近づこうにも遮蔽物が無さすぎる。


「雨が小降りになりさえすれば詳細を確認できる。少し待機だ。姿勢を低くして目立たないように隠れるぞ」

はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。


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