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騎士団のアーチャー  作者: 都津 稜太郎
4.北方樹海
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5.北方樹海2日目


 体を揺らされている気がして、うっすらを目を開けるとエドガーの顔が見えた。


「エドガーか、交代の時間か?」

「えぇ、隊長。時間です」


 ゆっくりと起きて暗い穴ぐらの中から手探りで這い出た。いくら色々敷いているといえど、硬い地面は体をカチカチにしている。外に出て体を伸ばすと固まったところがほぐれて気持ちいい。

 周囲はまたもや深い霧が出ていて、視界が悪い。音に集中すると、近くの小川のせせらぎの音に混じって、後ろの穴ぐらからイビキが聞こえてきた。これを聞く前に寝れたのは幸運だったのだろう。


 昨日、食事をした焚き木の方へ向かうと、先に起きてたのであろうサルキが、自分の荷物の上に腰掛けていた。


「おはよう」


 「おはようございます」と挨拶は返されるが、サルキはこちらを見ようともしない。相変わらずの態度だった。


「眠れたか?」

「えぇ、慣れてますから」


 この短い会話が終わった後は、どちらが会話を始めるでもない、気まずい空気が暫く続いたので、こちらから質問する事にした。


「今日の行程は、どんな感じなんだ?」

「今日は第2哨戒ポイントを目指します、第1ポイントより数が少ないので、北西側、帝国領方面に向かって動くことになります」


 昨日の食事の時に聞きかじった話だと第2哨戒ポイントは、9か所ある第1哨戒ポイントの半分の数で5つという事を聞いている。


「なるほど、普段はどういう風に巡回するんだ?」

「4人一組を組んで、辺境伯領の東から巡回を開始します。最初の第1哨戒ポイントで2人一組に別れ、片方はそのまま第1哨戒ポイントを、もう一組は第1→第2→第1→第2というふうにジグザグで巡回します。それを3日に一回行う形を取っています」


 2日前の会議では巡回の頻度と場所を増やすという話だった。

 今の話を聞いた限りではかなりの人数が必要になるので、会議の時にコルソが怒ったのも仕方のない事だろう。


「それは、樹海を知り尽くしているのも納得だな」

「えぇ、ですが今回目指すところは第2哨戒ポイントの先なので、ほぼ分かりません。一応、第2ポイントより先に行った事のある者たちを連れてはきましたが、それでも大変でしょう」


 今の所は樹海といえど、すいすいと森の中を歩けている。そんなに苦労しそうな気配はないので、ここまで大変だという意味がわからなかった。


「なぜ、そんなに大変なんだ?」


 こちらをチラリとみて「これだから樹海を知らない奴は」みたいな目をされた気もするが、説明をしてくれるようだ。


「第2哨戒ポイントまでは、樹海の入り口なんです。まだ大型の魔獣や動物もいないですし。ですがその先は、森が更に深くなるので方向がわからなくなる上に、段々と大きな魔獣や動物が出現するんですよ」


 確かにここまでは北方樹海にいると話に聞いていた、大型の魔獣や動物の気配すら感じなかった。


「森の手が頼りだな」

「仕事なんでね、こちらも精一杯やらしてもらいますよ」


 北方樹海について軽く教えて貰ったところで、もうそろそろ全員が起きてくる時間になった。

 食事の準備は出発前最後の見張り役の仕事になる。かと言って新しく作るわけでもなく、昨日のスープの残りを火にかけておくだけだ。

 スープを火にかけながらかき混ぜていると、この貧相な食事がしばらく続く現実にウンザリした。


 

 出発してから8刻、昼を過ぎた頃森が深くなってきた。正確に言えば、木々の葉が生い茂り、太陽を隠している。背の高い草は少なくなり、代わりに背の低い草と苔が増えた。木の根が張り巡らされており、苔や露出した石などと相まって歩きづらい。

 自分が考えていた"森"とはまた別の姿をしていたのが、樹海だった。

 まだ自分は森というものを歩き慣れているから良いが、騎士団の面々は少し遅れが生じてきた。時折待ち時間が発生する。

 

 遅れた者達を待っている時間や、歩いている途中で、ウッドラビットやワイルドボアなどの動物に、何頭が遭遇したので夕食の足しに出来るようにアーチャーの3人で狩った。

 こいつらは何処の森にでもいるような獲物だが、それでも慣れない場所だと狩りづらい。狩りをした事が無いらしいフレディは何本も矢を外していた。

 ワイルドボアがこちらに向かってきた時は、フレディが外した後、カンブリーが見事に頭の真ん中を貫き、動きを止めていた。流石は”森の手”のアーチャーで、草で見えづらく動きが速い獲物でもしっかりと急所を射抜いている。


 狩ったワイルドボアや獲物を交代で背負い歩くことになったのだが、それによって更に遅れが生じた。 

 自分とフレディはまだ遅れていないが、アントンとウィルの遅れが更に目立つようになってきたので、ワイルドボアを置いていくことを提案したが、「いやです」と全員が首を振った。確かに食事がスープとかだけでは味気ないものではある。



「あと、少しで着きます」


 遅れていたアントンとウィルが合流し、二人を見守って最後尾についていたカンブリーが声をかけた。

 これ以上遅れられても困るので獲物はフレディが背負っているが、疲労が溜まっている様子のアントンとウィルは座り込んでしまった。


「目的地までは、あと1刻ほどでしょう」


 二人を励ますようにかけたカンブリーの言葉通り、1刻ほどで第2哨戒ポイントまで到着した。今の時間は外だと夕暮れ前くらいのはずだが、樹海の中では夕暮れ過ぎくらいの暗さになっている。


 その中で煌々と光る焚き木は、深い樹海の中で文明の安心感をもたらした。


はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。


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