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騎士団のアーチャー  作者: 都津 稜太郎
4.北方樹海
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1.出発


 辺境伯領の重要な会議に出たり、そこで隊長任命されたり、実験台になったりと、忙しい1日を終えた次の日の昼前、リデルはノルデン城正門前で馬に跨っていた。


 夏の短い大陸北部にあるカーマイン辺境伯領は、夏が終わりかけの時期に入っていて、朝晩が冷えるようになってくる。それでも昼は黙っていても汗をかくほど暑い。 馬に乗っていると太陽に近いような気がするので余計に暑く感じる。


 いつもなら服の中に風魔法を使うが、腰の矢筒には昨日ルーシーから譲り受けた、いや借りた3本の特製矢が入っていた。

 この矢に魔力を込める場面がいつ来るか分からない。その時に備えるため、限りある魔力をおいそれと使うわけにはいかなかった。

 

 それでも暑いものは暑いので、手でパタパタと顔を扇ぎ、少しでも涼みながら暑さに耐える。

 横を見ると森の手の面々の表情が目に入った。人間より体毛が広く・多く生えている獣人族は、いつも夏が大変そうだ。現にあんまり元気がないし、何なら不機嫌そうだ。

 騎士団の方は今回金属製の鎧ではなく、革製の鎧を着ている。幾分かましなのだろう、暑そうにはしているが、森の手の面々ほど機嫌は悪くない。


 ノルデン城の正門には9人の男が揃っている。ユーリ隊長が集めた、ノルデン騎士団と森の手からの選抜メンバーだ。


 後は、フレディだけなのだが…


 少し待つと、集合時間を示す正午の鐘の音と同時に、馬を引っ張りながらフレディが走ってきた。


「すいませーーん、遅れました?」

「いや、遅れてはないが。遅いぞ」


 暑い中待たされたこともあって、フレディをメンバーに入れた事を少し後悔したが、理由なく遅く来るような人間でもない筈だ。


「なんか、あったのか?」

「途中でナッフート団長に呼び止められまして!あっ、そうそうリデルさんに団長から伝言が」


 ナッフート団長にはついさっき出発前の報告をした時に、保護したエルフからもらった情報を教えてもらった。それ以外に重要なことがあったのだろうか?


「なんだ?」

「『さっき言い忘れたが、15日で一度帰還せよ』だそうです!」


 15日?で何かあるのだろうか?と思案を巡らせてみる。


 訓練騎士団や近衛騎士団にいる時に教わったことで、15日に関係がありそうなもの…

 思い当たるのは、帝国兵は携帯食料を一人当たり、大体15日分持っているくらいか。


 つまり、前の自分達が逃した二人が帰還していなかったら、味方が待つ時間も15日前後だろう。

 現状3日が経っていて、エルフの情報を加味すると… 


 成る程、団長は遅くとも今日から15日後にはもう撤退している、と読んでいるのか。

 確かに自分達が逃した2人が帰還していないとしたら、15日を過ぎると向こうは20日以上待っていることになる。流石に撤退しているだろうと自分も思う。


 「了解」


 それでも折角なら隊長に任命してもらった期待には答えたい。15日の中で敵の拠点か、その痕跡くらいは見つけたい所だ。



 フレディが来たことで、今回の調査隊メンバーが全員揃った。

 こういう時に、ユーリ隊長は部隊の紹介から始めてた。とりあえず真似してみよう。


「えー、あー、今回、隊長を務めるアーチャーのリデルだ。よろしく頼む。右回りで自己紹介をしてくれ」

「こんにちは!フレディです!ノルデン第一騎士団所属のアーチャーです!」


 7つの子供のような無邪気な挨拶に、思わず吹き出しそうなった。が、笑いそうになったのは自分だけらしく、間髪入れずに他の者の自己紹介が続いた。


「ノルデン第三騎士団所属の騎士、ウィルです」

「同じく、アントンです」

「第一騎士団所属、エドガーだよろしく頼む」


 このエドガーがおそらく騎士団の者たちで最年長だろう。黒い髭の中に白が混じり始めている。頬に3つある斜めの傷跡は、魔獣と戦った傷跡だろうか?

 自分とフレディを含めて5人、ここまでが騎士団。


「"森の手"のサルキです」

「同じく、クレス」

「ラフです」

「ラナー」


 森の手の4人は、剣で統一されている騎士団と対象的な装備だ。戦斧、メイス、戦鎚、短い刀身の片手剣と全員バラバラだが、森の中で取りまわしやすいようにどれもコンパクトな得物だ。


「森の手、アーチャーのカンブリーです」


 森の手のアーチャーもショートボウを持っている、これも森の中だと扱いやすいだろう。


「今回の目的は、樹海内にいる不明勢力の調査と偵察、協力して進めよう」


 「はい!」と元気な返事が帰ってきたのは、フレディのみからだった。

 他の者たちは頷く程度、騎士団からは中央から来た若輩者が指揮官をする不安、森の手からはリーダーが自分達の一人じゃない事への不満が見てとれた。

 自分の能力を証明できていない今、隊長としてこの10人をまとめ上げるのは、骨が折れそうだ。


「それでは出発します」


 不満のこもった表情と視線を受けて、思わず敬語に戻ってしまった。


 だが、ここで悩んでいても仕方がないし、時間も限られている。

 「全力でやれば大抵何とかなる」と近衛に入った時、マルセラから教えてもらった。


 やれることをやろう。


はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。


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