プロローグ
王国近衛騎士団に所属する弓兵のリデル
だがあることをきっかけに、北の辺境に追放されてしまう
彼の武器は、抜群の視力と卓越した弓術、そして少しの魔法
弓を片手に戦場を、森を、戦乱の時代を駆け抜ける一人の男の物語
アーチャーは一般人には食卓に肉を提供する猟師として、
戦時においては味方の被害を減らす戦場の守り手として重宝される。
だが、己が剣技で敵を討ち取る事を名誉とする騎士団にあっては、
騎士にも魔導士にもなれない"半端者"、
味方の後ろに隠れる"臆病者"、
本物の騎士のための"荷物持ち"などと蔑まれる対象である。
さらに自分は一番若くかつ平民出身だった。普段から雑用を押し付けられるが、それは行軍中の今も変わらない。あらゆる雑用をこなし、最後に寝て最初に起きる。それが一週間も続いている。
すっかり寝不足だ。
「リデル様?顔色が優れませんが大丈夫でしょうか?」
ニヤけた顎髭金髪男が、隣の馬上から器用にこちらを覗き込んでくる。
いつも通りの悪ふざけ、自分が近衛騎士団に入団して以来、どんな時もこの調子だ。
「何ともございませんよ。マルセラ様?」
こういう時はこちらもしっかりふざけて返す、さも優秀な執事の如く応じてみせた。
「本当か?まぁ、なら良いんだが」
と言ったままマルセラは言葉をつながない、いつもなら冗談の一つや二つ飛んでくる。質問の目的が気になった。
「なんかある訳じゃ無いんですか?」
「いや、戦場に来て緊張してるのかと思ってな!リデルよ、お前戦闘は何回目だ?」
頭の中で指折り数えてみる。
「一昨年訓練騎士団に入ってから、野盗相手が1回と魔物の討伐が2回ですね」
「一昨年の野盗って言ったら第三王子のか?それじゃあ、戦争ってやつは?」
「それです。国相手はまだ一回もないです」
だから、緊張していないと言ったら嘘になる。
「そんなにビビるなよ。今回俺たちがするのは威力偵察。相手の練度と構成を見るだけの小手調べ!
死にはしないさ。それに、この任務が終わったら後方に向かうことになる」
気楽な笑みを浮かべてる髭男を見ても、こちらの気が晴れるわけではない。
「それでも、緊張するものはしますよ」
「まぁな、経験のない事は緊張するもんだ」
訓練騎士団から王国近衛騎士団に配属されて、初めて参加する国と国がぶつかる戦争だ。統率の取れた兵士達相手に、自分達弓兵はどう戦って行くのかを訓練でしか知らない。これから始まる自分たちの王国と帝国の前哨戦。考えるだけ不安が募っていくばかりだった。
はじめまして。都津 稜太郎と申します!
再訪の方々、また来てくださり感謝です!
今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。