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第96話 封印魔法

 

 怪しい森の探索をしていると急にユウリが地面から何かの音が聞こえるという。

 まさか地面に埋められた遺体が動き出しているとか……?死霊系の魔法?だけどどうしてこんな所で魔法を……?


「地面!?まさかこの下にぃぃぃぃぃぃいいいいいいい!?」

「ショナ、叫ぶともしかしたら下に居る奴が襲ってくるかもよ」

「~~~~~~~~~ッ!?」


 そう言うとショナは泡を吹いて倒れた。

 本当に怖いんだね……なんだかもう返してあげた方が良いんじゃないかな?

 いや、それだとエキナに合わせる顔が無い。ここは1つ、フーリアに活を入れてもらおう!!


 きっとこうしてグダグダしているのを見逃すはずは無い。

 

 …………………………。


「あれ?フーリア?」


 いつもなら「とっとと行くわよ」と冷たく言いそうなものだけど……何故かフーリアの声が聞こえない。

 そういえばさっきもなんだか様子がおかしかったような。

 

 フーリアは私の腕を掴んで怯えているのか怒っているのかよく分からない顔をしていた。


「フーリア?」

「な、何……!?」

「いや……大丈夫?」

「は、はぁ!?大丈夫に決まってるでしょう!!」


 そうかなぁ……なんだか怯えているように見えるんだけど……。フーリアがお化けなんかに怖がるとは思えない。

 このままじっとしていても何も進まないしね……。

 

「まあとりあえず地面を掘り起こしてみる?」

「それがいいかな」


 ユウリはいつも通りなんだけど、ショナとフーリアは様子がおかしい。

 何も言わず私に抱きつくショナと腕を強く握っているフーリア……そんな2人の事は残酷だけど一旦置いておく。


 2人を置いて私は魔法で地面を抉る。

 ちょうどこの場所は周りの木と距離が離れていて地面に打つくらいなら問題ないだろう。

 あるとすればずっと腕を掴んで放さない2人なんだけど……まあそこは心配ないか。

 

「ちょ、ルーク!?」


 至近距離に居る2人は当然私の炎を受ける事になる。

 だけど私の炎は人を指定することで燃やすことも回復させることもできる。つまり2人にはダメージは行かない。

 そんなことは分かっているはずだけど、2人は飛び跳ねる。


「「脅かさないでよ急に!!」」


「2人が離れないから……」

「何、私達が邪魔って言いたいの?」

「そう言うわけじゃないんだけど……ん、アレ?」


 地面を抉るくらいには魔法を放ったつもりなんだけど……抉れるどころか砂煙すら起こらない。

 抉れないとしても砂煙が上がらないのは不自然じゃないかな。これでも手加減はしたけど、地面を10センチくらいは抉れるくらいの威力は出したはず。


「これ、魔法が施されてる?」

「調べてみるね」


 ユウリは地面に手を添える。

 大地の魔法使いはこうすることで地面がどうなっているのかとか足音を聞いて、魔物や人が何人いるんだとか分かるみたい。

 

 それを応用して地面の下がどうなっているのか調べている。

 これは炎の魔法使いである私にはできない芸当だ。

 少しの間、調べてユウリは立ち上がる。

 

「……なるほどねぇ~」

「何か分かったの?」


 ユウリはなんだか深刻そうな目で地面を見つめている。

 何か分かったとしてもそれはあまりいいモノではなさそうだ。


「下から聞こえる声の正体も大体わかった……人だね」

「ひぃぃぃぃぃぃ!?」

「だけど、死者じゃなくて、生者ね」

「ひぃぃ……え?」


 生きている人と分かるとショナとフーリアは私から離れる。

 もしかして恐怖心が無くなった……?だとしてもちょっとわかりやすすぎない……?というかやっぱりフーリアも怖いんじゃ……。


 フーリアを見てみるとこちらをギョッと睨みつけている……分かっていても口に出すなと訴えかけてくるようだ。

 

「人が居るってどういう事よ」

「それが詳しい事までは分からないんだよね。ただ、私達が立っているこの地面には魔法が施されてる。そのせいで下の音がよく聞こえにくくなってるみたい」


 生きている人が居ると言う事は中にシェルターみたいなものがあるとか……?

 

 いや、そこまで発展した時代じゃないんだし、古代都市とか遺跡とかそう言う類かもしれない。

 なんにせよもう少し調べないと分からない。


「ユウリ、ルーク!この魔法解ける?」


 生者と分かると息を吹き返したようにいつも通りに戻るショナ。

 どうやら冒険者として依頼を受けたからには解決しようという責任感か……都合のいいことこの上ないけど、やる気が出てくれたのならいいか。


 えぇっとこの魔法陣は……防御系の魔法と言うよりは封印魔法に近いかな。防御系の魔法なら耐えられない程の攻撃を加えれば壊せるんだけど、封印魔法は少し違う。

 封印を解かないといけない。


「結構複雑だけど……まあ何とかなるかな」

「え、ルークって封印魔法も解けるの?」

「まあ……」


 6年間家に引きこもり、ずっと魔法や剣術の特訓しかしていなかったので無駄に知恵はある。当然封印魔法の解除もできる。

 私は魔法陣に触れる。目を閉じて、魔法の構築を感じ取る。

 先ほども言った通り複雑な封印魔法だから少しだけ時間が掛かったんだけど、それでも何とか解くことに成功した。


「ふぅ……」

「できたの?」

「うん、後はどうやって下まで行くか……」

「そんなの地面を抉ればいいのよ。皆離れてて」


 魔剣アスタロトを取り出し、地面に振り下ろす!!

 全力でやるつもりみたいなので「待って」と止めようとしたんだけど時すでに遅し……。


 凄まじい爆発音と風と砂埃が空まで立ち上る。

 すると地面は抉れ、下へ続く階段が現れる。

 その階段は綺麗に整えられた石レンガで出て来ていて、足元には灯りがともされている。

 

 私達は顔を見合わせる。行くしかないよね……しかしなぜか私を先頭に下へ続く階段を下りて行く。

 

 ……どうやらまだフーリアとショナは怖いみたい。

 

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