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第76話 リベンジマッチ

 

 魔王教団と手を組む星の欠片の冒険者に襲われてピンチを迎えていた時、どこからともなくエキナが助けに来てくれた。

 タイミングが良すぎることを考えると、もしかしたらずっと見ていたのかもしれない。


「あの狼を良く倒した。心配の必要は無かったが……来てよかった」


 剣を魔王教団の男に突き付けながらエキナは冷静に状況を判断しようと辺りを見回す。

 しかも凄い眼力でその魔王教団の男を睨んでいて怖い。


「お前は……エキナ=バイオレットか……」

「ほう……私の名を知っているのか?」

「あなたの名前はここ2年で大陸中に知れ渡っていますからね」

「そういうお前はなんだ?見たこともない格好をしおって!」

「さぁ?知りたければ捕まえてみればいい」

「面白い……が、こちらもギルドの仲間を殺されかけていたわけだ。手加減はできんぞ!」


 まるで戦いの鐘が鳴ったようにエキナと魔王教団の男は動き出す。

 

 魔王教団は魔導王教団の略でその名の通り魔導士が多いはず。

 学校を襲撃してきた時に何人か魔王教に寝返った生徒も居て中には剣士もいるはずだけど……。


 しかしエキナと戦っているのは魔導士みたい。

 エキナの抜き放った剣を魔王教団の男は手のひらに光の魔法を纏わせることでガードしている。

 隙のほとんどないエキナに対して魔王教団の男は何度も攻撃を加えている。


 手のひらを翳す事で光のビームのようなモノも出している。


「ほう……なかなかやるな」

「そっちこそ」


 2人の攻防は正直言って、凄まじい……これと戦うことになったら4人がかりでやっとかな。

 

 圧倒的な速度と技術の応襲、私達が手を貸す隙がない。そんな勝手に戦っている2人を見てダクトは怒鳴る。


「おいエキナ!!お前の仲間はここにいる。殺されたくなかったら――」

「すまないがお前に構っている暇が無くなった。後で話はきっちり聞かせてもらおう!」

「んだと……!!」


 ダクトは怒りのあまりユウリを殺す勢いだ。

 

 もう魔王教団の脅威はなくなかったのならユウリを救うチャンス!!


「ショナ、フーリア!」


 名前を叫ぶだけで意図を汲み取ってくれるか分からないけど、今はダクトから視線を外せないので2人が駆け寄ってくれることを願う。

 

 私が今やるべきはユウリを救うこと!!


不死鳥の焔(フェニックスフレア)!!」


 炎の魔法を人質のユウリとダクト諸共包み込むように放つ。

 

 当然のごとくこの炎は相手を指定することで炎の影響を変えられる。

 ユウリには回復、ダクト達には炎で焼けるようにする。


 熱い炎に包まれたダクト達はユウリから手を放す。


「熱っ!?」

「バカかお前!!仲間に炎を浴びせるか!!」


 この人たちは私の炎を一度、見ているはずなんだけど、どうやら忘れているみたい?


「いや、違う!そうだこの炎は焼かない相手を選べるって言ってたはずだ!!」


 私の魔法の性質を思い出したダクトは火を振り払う。ユウリは私の炎に包まれたままダクト達から離れる。

 私の魔法を知っているはずだから騙されないかもしれなかった。その時はフーリアとショナに頼るつもりだったんだけど余計な心配だったみたい。


 ていうか様子見の闘技場での戦いを忘れるなんてこの人たちって結構おバカ?


「ユウリ大丈夫?」

「うん!というか本当に熱くないのねその炎」

「まあね」

「助かったよ!」


 ユウリは可愛い笑顔を私へ向けてくれる。

 

 この笑顔のためなら仲間なんて関係なく助ける価値がある。

 先ほどの魔法で既にユウリは脂肪を魔力に変換していて、細くなっている。正直この姿は物凄く美人だ。

 そんな子から笑顔を向けられるのなら、前世が男だった私の闘志も燃えるというモノだ!!

 

「ちょっと何2人で盛り上がってるのよ」

「そうそう、名前呼んだのそっちなんだから……4人でやるよ」


 どうやら私の意図を汲んで即座に駆けつけてくれたみたい。

 闘技場では様子見なんて言う舐めたことをされて不満な気持ちで終わったんだけど、今回はそうはいかない!!

 

 ここ1ヶ月エキナに鍛えてもらった成果を発揮するべきね。


 狼の魔物を相手にしてすぐ、私を含めたスイレンの4人は連続での戦いになる。

 みんなの精神面も考えながら戦術を組むのが私の役目……!!

 

 ダクト達は額に汗を掻いていて焦っているのが分かる。

 魔王教団と一緒にいたのがバレたんだから仕方ないか。


「てめえら俺らがあの時わざと負けてやったってのに勝てると思ってるのか?」

「わざと?負け惜しみも大概にしてよ。私()が本気を出せばあの時でも勝てていたわ」


 そんな言葉を放ったのは意外にもフーリアだった。

 その言葉に驚いたのは私だけじゃない。

 特訓だけじゃなくて狼との戦いで何か思うことがあったのかもしれない。


 この今のこのパーティならなんでも出来る気がする!!


「お前たち!そっちは任せた。悪いがダクト達を逃がさず殺さず捕まえてくれ!!」

「エキナさんは?」

「敵はなかなかの手練……だが、勝つのは私だ!!」


 それじゃあこれはあの時のリベンジマッチということね。

 どっちが強いかとか興味無いけど、満足いく終わり方が出来なくてモヤモヤしていた。

 

 ここで成長を遂げた私達のチームワークを見せつける時だ!!

 

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