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第74話 最高の連携


 クマの討伐の依頼だったのに山の頂上に居たのは巨大なオオカミの魔物だった。

 ハーベストは魔物が少ないはずだけれど……しかもターゲットのクマは狼の口の中でぐったりしている。


「こんなの居るって聞いてない!!」

「確かに……魔物が少ない国だからこそ、目撃情報があれば知れ渡るはず」

「特にこんなにでかいとね……」

 

 山の中だから魔物の出現に気づけなかったというのも考えらえるけど、ここへ来る道中に疎らだけど木が切られていた。

 あれは動物や目の前にいる魔物が切ったものじゃない。確実に人工的な道具によるもの。

 

  つまり人の出入りはあるはず……なのに魔物の情報が無かったのは不自然。

 

「なんだか嫌な感じ……」

「ちょっとルーク!どうしよ!?あのサイズを拘束は難しいんだけど!!」

「じゃあ2人が体勢を整えられるように支援してあげて!」

「了解っ!」


 ユウリは早速魔体症克服の成果を見せる。

 

 魔力を上手く操作して狼の後ろ足の地面を揺らす。

 前までは一部の地面を揺らす事はできなかったんだけど、それが可能になっているみたい。

 

 今までは地面を揺らすだけで脂肪(まりょく)がほとんど無くなってスリムになっていた。それが今はいつものぽっちゃりの体型を維持しつつ少ない魔力で2人の支援をする。


「魔力制御ができるようになったんだね!!」

「アザミさんに色々教えてもらったからね!」


 そのおかげで、ユウリのことをあまり気にしなくて良くなった。

 この子は使える脂肪がなくなると実質魔力なしだったからね。

 

 狼の魔物を相手にそんな無防備な姿を晒したらさすがに気にかけない訳には行かなかった。

 これなら心配要らなさそう。


「だけど魔力が切れそうなら言ってね」

「はーい!ちなみにショナ達は戦えそ?」


 フーリア、ショナの2人は剣を構えているものの一向に攻撃をしない。

 フーリアなら勝手に動きそうなものだけど、慎重に相手を観察している様子だった。


「こいつ……ちょっと強いかも……」


 フーリアが一人で動かない時点でなんとなくそれは分かっていた。

 力を合わせてのチームワークはまだ完璧じゃないけど、最後に必要なピースであるユウリが居るのならやれるかもしれない!!

 

 ()()()のリベンジだ!!

 

 オオカミの魔物が前足を高く振り上げる。爪を立てた一撃。

 

 私達の誰でもまともに食らったら死ぬ。

 それでもアレを受け止める必要がある。その役目は近距離が得意な二人に任せる。

 

 フーリアとショナはオオカミの爪を重なるように剣で受け止める。身体の大きさはフーリアとショナを合わせても5倍くらいはある。


 その攻撃を2人がかりとはいえ抑え込むのはさすがだ。


 攻撃を抑え込まれた狼は当然の如く次の手段に出る。

 自由に動く頭を使って2人を噛み殺そうとしていた。


「ユウリ!あの魔物の後ろ足を強く揺らせることは出来る?」

「出来るよ!」

「後、植物を操る魔法でツルを操ってネットは作れる?」

「え、まあできるけど?」

「じゃあそれを狼の頭上に出しておいて欲しい」

「よく分からないけど、分かったわ!今の私なら魔法の同時発動もできるから!!」


 ネットの方は魔物の足元を揺らした後で良かったんだけど……まさか魔体症克服だけでなく、魔法の同時発動を可能になったなんて!!

 

 足元を揺らされた狼は大きく体勢を崩す。


 それと同時に狼の力が弱くなった。踏ん張るのに必要なのは後ろ足。それが揺らされることで力が入れづらくなった。

 

 そうこれは……あの蛇と戦った時と同じ光景……。次はヘマしない!!


「フーリア!ショナ!!2人で同時に空に向かって魔物へ全力の攻撃を加えて!」

 

「「うん!!」」


 意外にも2人の息はぴったりで完璧なタイミングで狼の魔物を宙へ打ち上げる。

 

 もしかしてだけど、エキナとの特訓のおかげかな?

 蛇と戦うまでだったらきっとこれまでの連携はできなかった。


 宙へ放ってしまえば私も魔法を扱える。木々へ燃え移らないのを確認して巨大な炎の弾を狼の魔物へ放つ。

 炎は巨大でも狼の巨体を覆うほどじゃない。それでも私のやりたいことはできるはず。

 

 炎の弾が狼の身体をさらに押し上げることでユウリに作らせたツルのネットに掛かる。

 

 自然のモノや建物などには私の炎の魔法の特性である回復が使えないんだけど、人から魔力を経由している物なら回復の炎が使える。

 魔法で編み込んだツルのネットでも頑丈……だけど私の魔法と狼の重さに耐えられる保証はない。

 

 なのでネットを炎で回復させられるようにして狼をずっと巨大な炎で押しつぶす。


 空中なので炎が周りの木に移ることは無い。


「え……結構鬼畜……」

「でもまだ足りないかもしれないから、最後のとどめはフーリアとショナにお願い!!」

「な、なるほど……なんだかちょっと心が痛むけどやむを得ないよね!!」


 フーリアを限界まで剣に風を纏わせて一気に放つことで小さな竜巻を起こし、狼へ放つ。

 ショナは剣を空に掲げると剣を中心に雷が落ちてくる。それを狼に当てる。

 

 私の炎、ユウリの拘束、フーリアの風、ショナの雷が狼の身体を襲う。


 やがて狼は跡形もなく消し炭になっていた。あの時は出来なかった事ができた。

 

 蛇の時は死なせちゃいけないという縛りがあったけどこれをもう少し応用すれば捕獲にだって使えたはず。


 ユウリの魔法のコントロールができるようになっただけでここまで安定して戦えるようになった!!

 エキナの特訓の成果もあって息もピッタリだったし、4人の合わせ技なんて最高だ!


「この技は魔導剣ファイヤーカオスブレイドYと名付けよう!!」

「「「それはやだ!!!」」」

 

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