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第64話 大蛇捕獲


 エキナに依頼を見繕ってもらう、その依頼は私達の力では達成できるかどうか怪しいモノ。

 

 あえてそれを選んだわけだけど、せめて内容は確認するべきだった……。内容は大きな体を持つ蛇を捕まえるという依頼。

 どうしてそんな蛇を捕獲するのか気になったので依頼書を見てみると……。


 ショナがそれを読み上げる。

 

「どれどれ~?コホンッ!【(ワタクシ)のペットのダークミヤザキスネーク4号ちゃんが居なくなってしまったの!!街の中を兵隊さんたちにお願いして探したけど居なかったので、おそらく街の外に居ると思いますわ!※周りに被害を及ぼす可能性があるので残らないのであれば傷を付けても良い】だって!」

「大蛇ね。魔物じゃないのなら何とかなるんじゃないかな」

「どうだろう?エキナさんが直々に持ってきたんだよ?油断はしちゃダメ!」

「……ショナはやる気満々なのね」

「そりゃそうよ!!これを達成しないとエキナさんに怒られちゃう!」


 確かにあの人は怖いから怒られたくない。

 まあだからこそ私達でも十分にクリアできる依頼を選びたかったんだけどね?

 だけど3人は自分達の力を試すために難しい依頼を選んだ。


「……それにしてもこの人の蛇の名前……少しセンスが無いんじゃない?」

「そうかな?かっこいいと思うけど」


 私としてはなかなかいいセンスだと思うんだけど、3人は名前に対してあまりよく思っていない様子。

 そんな時だったどこからともなく――

 

「ふむ、私も好きな名前だ。可愛いしな!」

 

「「「……」」」


 捕獲依頼の大蛇、その名前を私以外にもいいと思う人が居た。

 

 今までフーリア達には否定されてきただけに少しエキナに親近感が湧く。

 エキナを含めた5人で私達は依頼を受ける。もちろんエキナは監督役として居てくれるだけで依頼を手伝ってくれるわけじゃない。


 あくまでお詫びの一環と言う事で付いてきてくれる。

 ちなみにそのお詫びと言うのが私達のチームワークを磨くというもの、アドバイスとかはしてくれるみたい。

 

 しかしそれも大蛇を見つける所から始まる。


 どこにいるのか分からなけど、大蛇と言うからには相当大きいはずで街中にそんなのが居るようには思えない。


「街の外かなぁ」

「大蛇とはいえ、街の外を探すのは骨が折れるわね」


 開拓もされていない平原をやみくもに探すのは大変だ。

 

「ふむ、ペットなら街中と見ていいが……そんな情報は入っていない以上、街の外の可能性が高い」

「エキナさん!」

「お前達のチームワークは磨いてやりたいが、まずは大蛇を見つけ出すことからだ。この依頼は内容以上に難しい。少しは助言しよう」


 だけど剣士としての力量があってもペット探しなんてできるのだろうか?

 そんなことを考えているとエキナはポケットから紙を出す。


「ふむふむ」

「エキナさんそれは?」

「これは事前に街の様子を他のギルド団員に書いてもらった物だ。大蛇を見たという記録は残っていない」

「おお!」

「チームワークと言うのは何もパーティを組む者達だけじゃない。ギルドの友を頼るのもまたチームワークだ」


 おお……本当にちゃんと教えてくれる。

 そっかギルドの仲間を頼る方法もあるのか……。私は人とあまり話せないけどショナに提案して他の人と連携を取ってもらう事もできるかもしれない。

 新しい選択肢がこれで増えた。

 

 まあそれを今後活かすかどうかは私達次第。ショナは人当たりが良いけど、他が絶望的だからね。

 このアドバイスは頭の片隅に置いておこう。


 今は街の外の方へ大蛇を探さないと……時間の指定はないけど、ペットがずっと居ないというのは不安だろうしね。

 街の外へ出てみると何故かいつもよりも世界が広い、前世でペットを飼っていた時にケージから脱走して外へ逃げてしまったことがある。

 

 その時も同じように知っている土地でも広く感じた。前の世界に比べると道路などの公共機関は絶望的。

 その分を含めて見つけるのは容易じゃない。


「ふむ……」


 と、そんなことを考えている間にエキナは1人で先へ行く。どこにいるかは本人も分かっていないはずだけど……。

 するとエキナは街から少し進んだ先の木の下で足を止めた。

 何の変哲もない周りにある木、それは確かにそこら中に生えているただの木だ。


 だけどなんだろう……他とは違い違和感がある。


「この葉っぱの色の木はりんごが成るはずだが……無いな」

「りんご?」


 周りを見渡して同じ葉が生えた木を探す。

 他の木には所々にリンゴが成っているけどここだけ成っていない。

 ここに居るのかな?だけど他よりも1回りデカい大木で地面と枝の距離は6メートルくらいある。

 

 いくら大蛇でもこれは届かないんじゃない……?

 そんなことを考えていたその時だった。


「来るぞ!!」

「な、何が!?」


 私が思わず叫んだその時――。

 

 大きな木の上からひょっこりと大蛇の頭が出てきた。


「ま、まさか……」

「ふむ、あれはお隣のエレメイさん家の大蛇だ!!」


 あの依頼書を出した人エレメイって言うんだ……。というかお隣なんだ……。


 その大蛇は大きな木の枝と葉の中に身体を隠しているのかまだ頭しか見せていない……。

 だけどその顔だけでもその大木の3分の1ほど大きさがあった。

 

 これ……ペットにしていい蛇のサイズじゃないいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ!!

 

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