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第55話 不思議な少女

 

 ジャスミンの街にある2つのギルドの内、ショナの家の近くにあったギルドで私達はトラブルに巻き込まれた。

 

 男達に囲まれてピンチを迎えてしまう。私はこの場から逃れるために魔法の準備をする。この国には私が魔法を使うと知っている人は居ない。

 だから魔導士としてこの国では活動していくことを決めていた。

 

 しかしちょうど魔法を使おうとした時ギルドの奥から声が聞こえる。


「何事ですか?」


 私達を囲っている荒くれの冒険者とは違い話し合いが出来そうな人が出てくる。

 

 長い髪に長い耳を持っている。エルフか……まさかここのギルドマスターじゃないよね……?

 そんな事を考えていた時、荒くれ冒険者の一人が声を荒げる。


「ギルマス!!こいつらが仲間を吹き飛ばしたんですぜ!!」

「……あいつか?」


 エルフは吹き飛ばされた男を見て指差す。

 それに対して荒くれの男が頷くと呆れたような顔でエルフが応える。


「どうせ喧嘩腰だったんだろう。小さい子供なので少しは優しくしてあげなさい」

「うっす……」


 荒くれ冒険者達は納得が言っていないような態度だけど、エルフには逆らえないのか引き下がってくれた。

 実際喧嘩を吹っかけてきたのは向こうだから私達は悪くない。まあ最初に手を出したのはこっちなんだけどね。

 

 とりあえず話のできる人が出てきたのは良かった。

 

 私はルエリアを出る時にアリアナさんから貰った手紙を取り出す。

 しかしその手紙を出した瞬間、エルフと荒くれの冒険者が手紙の何かに気づいたのか反応してるのが分かる。

 ただエルフの人が居るからか手を出してこない。


「……」


 そのエルフは無言で私の手紙を見つめている。

 一方で何やら我慢ができなくなったのか荒くれ冒険者の1人が手紙を見て応える。


「あ?てめぇ花園の冒険者か?」

「おい……」


 荒くれの冒険者がそう言うとエルフは荒くれの口を塞いだ。

 

 凄く怪しい行動……もしかしたら荒くれの冒険者よりも警戒しなければいけないのはこのエルフかもしれない。

 しかし私の警戒にエルフは気づいたのか観念したように言う。


「……それは冒険者ギルド花園の支部リリィへの手紙ですね」

「リリィ?」

「このギルド星の欠片の支部アンタレスのライバルギルドですね」

「え……」


 この手紙ってもう片方のギルドへ向けたモノだったの!?

 

 てっきりギルドならどこでもいいと思ってた……。

 ていうかそれに気づいていたのに荒くれの口をふさいだのは何……?正直とっても嫌な予感がするんだけど……。

 

 そんな私の疑問を感じ取ったのか後ろめたい事があって疑われないためか荒くれの口を塞いだ理由を話してくれる。


「こいつはリリィが嫌いでね。子供の前では言えないような悪口を言いそうだったから……」


 苦しい言い訳だけどここは納得したフリをする。今はいち早くこの場を離れたい。

 

「……はぁ……」

「ま、まあ来る場所が違ったのなら正しい方へ行きなさい。今回の事はお互い水に流すという事で」

「あなたがそれでいいのであれば」


 最近だんだんこの子達を保護者目線で見ている気がするけど、精神的な年齢は私の方が上、こんな時こそ私がどうにかするべきだ。

 そんなフーリアは助けてくれたエルフの人を睨んでるけどね。


「ほらフーリア行くよ!」

「分かったわよ」


 私もこのエルフについては少し怪しいと思っている。この手紙がギルドリリィへ宛てたという事を隠そうとしていたからね。

 私達は冒険者ギルド星の欠片の支部アンタレスから無事に脱出することができた。


「ふぅ……怖かったねぇ~」


 ショナは口ではそんなことを言っているけど表情からは余裕を感じる。

 剣士としての実力はある……万が一襲われても逃げ切れる自信はあった。


「というかそろそろお腹空いたからちゃんとした目的地行かない?」

「リリィかぁ……確か冒険者ギルド花園の支部だったかなぁ?」

「知ってるんだショナ」

「一応この街に古くからあるギルドだからね!」


 一悶着あったけどそんなに時間は掛けていない。

 まだまだお昼には間に合うはず。

 ギルド星の欠片を出て、外を少し歩く。

 

「それでリリィはどこ?」


「お姉ちゃんたちリリィに何か用なの?」


 フーリアがショナにギルド花園の場所を聞こうとした時、どこからともなく少女が声を掛けてきた。

 声のする方を見るとそこには誰も居ない……いや視界の下、端に髪の毛が見える。私は目線を下におろすとそこには赤い髪の少女が私の事を見上げていた。

 

 小さくてまだあどけない少女、だけどなんだろう……?


 私はこの子に初めて会ったはずなのに、どこかであったような不思議な感じがした。

 

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