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第53話 海外旅行?


 私達はショナ達の故郷へ行くことになった。冒険者として依頼をこなすために1度住み慣れたルエリア王国を出る。

 後、海外旅行へ行く際に義母から言われることを考えて連絡の返しを受け取れない直前に手紙を送った。

 向こうに届くのは早くて3日、こういう時にスマホが無い世界は便利だ。

 

 しかしその返しの手紙はメイドのアナが受け取ってくれると言う。

 今、私は4人でハーベストへ向かう前に一度借りている宿にいる。

 

「一応もう一度聞くけど……」

「私は冒険には行きませんのでどうぞお気になさらず」

「いいの?クソキモイ手紙が何通も来るかもよ」

「お嬢様、一応バレンタイン家の令嬢なので口の悪い言葉は使わないようにしてください。若者4人と海外旅行は疲れそうですし、何より学校が再開する時にご連絡が必要なので」


 一応って何よ……。

 

「ショナの家がルエリア王国に一番近い街にあるからそこに泊まるんだけど、すぐに学校再開の連絡が来ると思うよ?」

「それよりも早くご報告するのがメイドです」

「いや、どうやってよ」

「一流のメイドならそれくらい出来ます」

「メイドすご」


 どうやらアナは意地でも付いてくる気が無いらしい。

 連絡云々はともかく、何かほかに事情でもあるのかな?一応私もアナとは長い付き合い。

 なんとなくこの行動に他の意図を感じる。そんな長い付き合いのアナから離れることになるのか……。

 

 考えると少し、寂しい。

 まあでも強制する訳にはいかないので私は自分の分の荷造りをして宿を出る。


「いってらっしゃいませお嬢様」

「アナも元気でね」


 アナは適当に手を振って見送ってくれる。

 ほんとあの子は何を考えているか分からない……ただ、これだけは言える。アナが私のために面倒な事でもやるお節介さんだと。

 心配になるほどだけど本人がそうしたいというので拒絶しない。


 手紙は渡したからとりあえずやることはやったのでギルドへ向かう。私達が外国へ行くことはギルドの受付の人に伝えていた。

 その時に言われたのが、外国へ行く前にギルドへ寄って欲しいという。

 

 その約束があるので私は宿を出た足取りのままギルドへ向かう。

 

 ギルドの建物の前まで来るとフーリア達もそこで待っていた。


「さぁ!行きましょう!!」

「うん馬車は?」

「来てるよー」


 馬車の乗合所はギルドの近くにある。1台だけ豪華な馬車と護衛達が居る。


「なんか、貴族が使う馬車みたいね」

「貴族だからね?モグモグ……あ、馬車には食べ物を多く積んであるけど……モグモグ……全部私のだから食べないでね」


 勝手に食べないけど……ユウリは馬車に詰んでる食料を食べる前にもうなにか食べている。

 しかし心無しかいつものふっくらしたお腹ではない。

 調子が悪いのかな?

 

 ショナに至っては元気な振る舞いを見せているもののどこか不安そうだ。

 フーリアはともかく、ショナとユウリの状態を少し見るだけで分かるようになった。これも一緒に居るからだろうか。


「それはともかくとしてハーベスト帝国へ行く前にこの手紙を受け取ってください!」

「え?……っていつの間に……居たですかアリアナさん」


 アリアナ、彼女は私達の依頼を担当してくれていた人だ。

 アリアナは赤ん坊になったギルマスを抱っこしている。


「ギルマスは……」

「ばぶー!!」

「元気そうですね」

「ばぶー!!」

「……」


 記憶を覗くために血を飲み過ぎたギルドマスターは若返り過ぎて赤ん坊と化している。不謹慎かもしれないけど少し面白い。


「ギルマスは元気ですよ。良く暴れてますが」


 ギルマスは手足をバタバタと動かして今現在進行形で暴れている。

 その様子を見て本当に赤ん坊になってしまったんだなとやはり悲しくなる。

 

 それに……。

 

「記憶読むために血を吸ったのに覚えてるんですかね?」

「さぁ……ギルマスの吸血魔法は唯一無二ですから実例が無く……」

 

 この様子を見る限り憶えていなさそうなんだけど……。

 そんなことを考えて居るとアリアナは無言で手紙を渡してくる。


 それを受け取る。

 

「お医者さんが言うには生後3か月くらいだそうです。なので記憶があるかどうか聞けるのも言葉を話せるようになるまで分かりませんね」

「それなら仕方ないですね……この手紙は?」

「ハーベスト帝国のギルドで依頼を受けるのなら、この手紙を偉い人に渡しておいてください」

「適当ですね」

「こちらも忙しいので!それでは良い報告を待っています~」

「はい、そっちもギルマスの様子に何かあったら連絡してください。おそらくショナの家に居るので学校を通じてお願いします」

「はいはい~ん?どうしたんですかギルマス?今日は一段と暴れてますねぇ~ルークさんの所へ行きたいんですか?ダメですよ~」


 正直アレに記憶があるとは思えない。

 ギルマスの事は一旦忘れよう。

 ギルマス達を見送って私達も馬車に乗る。さすがに貴族の用意した馬車だけあって豪華だ。護衛も居るし安心だろう。

 

 問題はこの場車内の匂いだ。

 ユウリがずっと食事をしているのと、もたれかかる座席の裏にパンパンの食べ物が詰まっている。

 ユウリは家から追い出されたとはいえ、それは家臣達が彼女の存在を嫌ったから。家族はユウリの事を大切にしているのが良くわかる。


「ここからジャスミンまで何時間くらい?」

「何時間て……そんな速くないよ~ざっと3日くらいかな」


 私達は3日間の間、馬車に揺られ続ける。国を出るのに丸一日掛かり、出た後は魔物がうじゃうじゃいる平原、森を抜ける。

 

 大変だったけどその間は特に問題も無く、襲ってくる魔物は護衛の人達が圧倒する形で片付ける。

 

 そしてようやくジャスミン帝国に入る。

 花の名前を冠しているだけあってお花などの装飾が多い色とりどりの国だ。ルエリアとはまた違う。

 可愛らしい国で心がワクワクしているのが分かる。この世界に女の子として転生したからか、はたまた冒険が楽しみなのか。

 

 始めての新しい大陸に胸を弾ませて私達は学校が始まるまでの間、このジャスミン帝国で冒険者として生きていくんだ!!!!

 

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