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第52話 これから


 これからどうなるのか私は寮の部屋の天井を見上げながらそんなことを考えていた。学校は無期限の休校を余儀なくされ、亡くなった校長先生のお葬式が執り行われた。

 

 やはりと言うべきか魔導騎士(エーテルナイト)である校長先生が亡くなった事で多くの校長先生以外の魔導騎士(エーテルナイト)大勢、訪れた。

 中にはその校長先生の孫が居たみたい。

 

 お葬式にやってきた魔導騎士(エーテルナイト)は神と呼ばれているだけに存在感が圧倒的だったがネプチューンが魔導騎士(エーテルナイト)について悪い事を言っていたけど、とてもそんなことをするような人達には見えなかった。


 ……一部を除いて――。


 不穏な現場を目撃することもあった。

 

 お葬式の最中、胸の大きな貴族の女生徒に対して、自分の部屋に来るように命令する魔導騎士(エーテルナイト)が居た。

 本来ならそんなものは突っぱねるものだけど相手は魔導騎士(エーテルナイト)、この世界の神と呼ばれている存在だ。


 その誘いを断るとその親族もろともどうなるか分からない。

 魔導騎士(エーテルナイト)がこんなことを平気でするような人達だとは思っても見なかった。あの日、魔王教に沢山の生徒に付いて言った理由が少しわかった気がする。

 

 だけどもちろんそんな人ばかりじゃない。校長先生が亡くなった時は多くの生徒が悲しんでいた。

 それは偏に魔導騎士(エーテルナイト)である校長先生が良い人だったからじゃないだろうか。私はその光景を見てそんなことを感じた。魔導騎士(エーテルナイト)が全員そんな人じゃない。

 

 結局その女生徒は他の魔導騎士(エーテルナイト)の人に助けてもらい事なきを得た。

 問題はその女生徒に手を出そうとした魔導騎士(エーテルナイト)だ。彼は校長先生が入った棺を前に笑っているように見えた。

 もしかしたら魔導騎士(エーテルナイト)には派閥のようなモノがあるのかもしれない。

 

 少なくともそこに居た魔導騎士は2つのグループに分かれていたように見えた。良い魔導騎士(エーテルナイト)と悪い魔導騎士(エーテルナイト)、私はとりあえずそんなグループ分けをした。

 

 あわよくば悪い方とは関わり合いになりたくないものだ。

 嫌な光景思い出すと気分が沈む……もうあの事は済んだし考えないようにしよう。

 

「はぁ~あ」

「ルーク、暇なら依頼とかこなしましょうよ」

「色々と疲れたんだけど……」


 アルタイルと戦い、お葬式もフーリアが悪い魔導騎士(エーテルナイト)に目を付けられたらと思うと……凄く神経を張っていた。

 まあフーリアはそんなこと知らないんだろうけど……。

 ちなみにそんなことは無かった。この子は可愛いのにどうして誰も声を掛けないのか訳が分からないわ!

 

「ほぼ無期限の休み……まだまだ時間はあるし……」

「でも寮に居るにはお金がかかるよ」

「だけど依頼が……。魔王教のせいで新米冒険者の依頼の数が絶望的に減ったんだよ?」


 依頼は犬探しすら危険な可能性がある。さらに言えばギルドマスターも赤ん坊に戻ってしまいギルドとしての機能も低下している。

 私達はギリギリ冒険者登録が出来たけど、今はもう新米冒険者を募集していない。

 

 ギルドの建物の看板には新人冒険者の希望の方は他のギルドを当たってくださいと書いてあった。

 ここルエリア王国のギルドは私たちの所属している所とその傘下しかない。事実上ルエリアは新米冒険者を迎え入れられる状態じゃない。

 

 それはフーリアも知っているはずだけど、そこへショナが別の手段を提案する。


「それなら私たちの国へ行くのはどう?」


 外国という選択肢。


 たしかにそれなら今よりはいい依頼を受けられるだろう。だけどそこへ行くまでの道中が危険すぎる。

 そしてお金もかかる……お金を稼ぐために依頼を受けるのにそこへ行くまでにお金を使うという状態。

 

「じゃあ、私が馬車を呼ぶ?」


 唐突にそんなことを言い出したのはユウリだった。

 ユウリは貴族だからもしかしたら馬車代くらいならだしてくれるかもしれない。

 

「もし行くとしても普通に馬車で移動するからそんなに変わらないんじゃ……」

「私、一応貴族だよ?実家に帰るのならそれなりの護衛を付けた馬車だよ」

「なるほど……」


 私の家はあの義母のせいで自由にお金を使わせてもらえない、フーリアも今居る家の人からの支援は無し。

 バレンタインもホワイトも消して貧乏貴族ではないんだけど、実家のお金は使えない。

 

 だから外国へ行くのは無理だと思たんだけど……その国の出身の貴族の人が居れば話は変わってくるか……。


「だけどお金は大丈夫なの?仕送りは全部ご飯に当ててるんでしょ?」

「実家に帰るって連絡すれば送ってくれるはずだよ」

「あーなるほど」


 私は自分に注がれる2つの視線に気づく。

 ショナは目で訴えてくる「行こう!」と。表情もキラキラしてしていて子供のようだ。

 フーリアは「行くしかないでしょ」と冷たくもどこか期待した瞳で訴えてくる。

 

 というか……。


「別に私の許可はいらないでしょ。グループで行動してるわけだから私は大多数の意見に賛成するよ?」

「いや、まあそうなんだけどさ……なんとなくルークの判断が聞きたくて」

「あの時、私に強く意見してきたのだからこういう場でも適切な判断ができる。そうよねルーク?」

「……」


 まさかここでフーリアに仕返しされるとは思わなかった。

 だけどまあ安全に外国へ行けるのならそれはいいんじゃないかな。この国に居る方が危なそうだしね。

 

 この前の体育館での惨劇を思い出す。


 本当なら今頃は普通に授業を受けて、クレスト王子やフレイヤに絡まれながらもなんだかんだ平穏に過ごしていたと思うんだよね。

 まあそれももう叶わない夢……。

 

 それにあの戦いで2人には借りができているらしいから、あまり会いたくないんだよね。

 

「私は安全に外国へ行けるのなら大賛成よ」


 私がそう言うとフーリア達は笑った。

 

「それじゃあ決まりだね!」

「後は外国へ行っても大丈夫なのかどうか……」

「大丈夫じゃないかな?学校は無期限の休校で外国から来ている子達は一時実家に帰ってるのもいるから」

「そっか、じゃあ私とフーリアは自国へ戻るショナとユウリに付いていくってことね」

「そういうこと!てことでユウリ!!実家に連絡!!!帰りの馬車が来たら即向かうから今のうちに準備してね」

「準備?」

「そう、私達……あーチーム名はまだだっけ……4人の海外旅行の……ねっ!」

 

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