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第350話 妖魔力


 記憶を取り戻した事で全ての固有魔法の使えるようになった。


 魔法の神に魔法は効かない……しかしそれは魔法の神が作った魔力でその魔法を使うからだ。


 今の俺にはルミナと誰かの手助けによって作られた新しい魔力……妖魔力が宿っている。


 これがあれば消されることはないはずだ。


 魔力を使って焔を小さな手のひらに出す。


 元々の赤い焔とルミナの黒い炎が混ざって、赤黒い新しい焔を扱えるようになっていた。


 それを睨みつけるように魔導王は殺気の籠った瞳を向けてくる。

 

「私の力で消せない……この世界に私から作られる以外の魔力が存在するなんて……」

「ルミナの魔力と想い……神でも触れられると思うなよ。これで俺は再び魔法でお前と戦える」

「……だから何?命を燃やしても私届かなかったくせに!!」


 今の自分の力がどれほどのモノかは分からない。


 けど、命を燃やす程の力を引き出すのはもう無理だろう。


 さらにあの魔法は一生に一度しか使えない禁忌……。


 そういった制限があったからこそ、ほんの少しだけでも魔法の神を燃やすことが出来た。


 つまり今の俺だけでは勝つのは不可能という事。


 それなら……。


「フーリア達も手伝って欲しい」


 フーリア達は俺のその言葉を呆けた様子で流してしまう。


 何を言っているのか理解できない……そんな様子。


 見た目は何も変わっていないけど口調と魔力が明らかに違うものになっていたからだろうな。


 魔力を感知できる人からすればさらに今の俺に違和感を抱くはず。


 それでも説得して力を借りないと勝てない!!


 そんなことを考えているとこちらにそんな隙を与えまいと魔導王が攻撃を仕掛けてくる。


 水の魔法陣がそらに描かれる。

 

 超級クラスの水の魔法で俺の纏っている焔を消すつもりだろう。


 そうはさせない……!!


「焔火ッ!!」


 焔と水がぶつかり合う。

 

「私の水と互角……!!」

「そりゃそうだろ。あんたがこの世界に転生させるときに魔力を半分くれたんだろ」

「……ということはやはりすべてを思い出したのね……最初に会った時の事を……。それなら私を魔力を返しなさい!」

「だが、これはもうルミナと俺の魔力だ!!」


 俺が転生した際に貰った物は魔法の女神様の魔力半分と如何なる魔法も使える特別な力だった。

 

 だから今まで見ただけで魔法は使えたし、魔力量も他よりあった。

 

 それはいまだ健在で、その魔力量で焔の膨張させ、大量の水を蒸発させる。


 そしてこの蒸発した水を使わない手はない。


「ショナ!霧に雷を流せッ!」

「え……あ、ル、ルークなんだよね?」

「……ちゃんと皆との記憶はある……よ。ただ過去の全部の記憶が戻ってきてそれを処理する時間が無いだけ……だから……」

「よく分からないんだけど……ルークで良いんだよね!?」

「そうだ……!ね。何百年とある記憶で一番上に積み重なってる感じというか……」

「またよく分かんないけど、分かった!雷で攻撃すればいいんだね」

「ああ」

「ライリュウ!!」


 霧の中を雷が伝って行く。


 狙いは当然、魔導王だ。


 ショナは魔導士じゃないから魔力感知を使えない、霧の中で魔導王を狙うのは難しい。


 それを的確に指示することで魔導王へ雷をぶつける。


 霧の中で雷は拡散して回避不可能だが魔導王の目の前で雷が散った。


 防御魔法で防がれた。


 魔導王の魔力を完璧に感知できるようになったから分かる。


 魔導王と俺の魔力は全く同じ量。


 どちらかの魔力が尽きれば勝つとはいえ、相手は神、圧倒的な使える魔法の量と神としての権能があるからまずまともにやっても勝てない。


 一人では無理だ……。

 

 ショナは持ち前のポジティブな考えで協力してくれるけど、他がどうするか。


 皆の様子を窺おうと後ろを振り返った瞬間――俺の横を水の刃が通り過ぎていく。


 ネプチューンが使った津波のような斬撃が的確に魔導王を狙う。


 魔力感知と水の剣……この攻撃はサツキだ!!


「もちろん手を貸すさ、だけどルーク条件がある」

「な、なに……?」

「あの魔法はもう二度と使わないでくれ」

「……それだけでいいの?でもアレは生涯で一度しか使えないから、今の俺……私には使えないけど……」

「そうなのか!?……じゃあこの戦いが終わったら普段通りに接してくれればいい」

「……記憶が混雑しててこんなだけど、そうできるように努力する……よ」

「それならいい!……だけど、俺の攻撃でも聞いてないぞアレ」


 サツキの言う通りで固有魔法「白百合の盾」でショナとサツキの攻撃は防がれてしまう。


 「白百合の盾」には水を受けるとその防御範囲が増加する特性がある。


 記憶を取り戻した事でようやく思い出したんだが、もう少し早く伝えるべきだったな。


 地下の鉄格子に施された「白百合の盾」を壊せなかったのもサツキの水の斬撃を受けて防御力が底上げされたからだ。

 

 「白百合の盾」にはなるべく水を使わないようにサツキに助言しておく。


「皆!さっき言った通りだから、混乱していると思うけど、今は皆の力を貸して欲しい!」


 他の3人はまだ状況を飲み込めていない様子だけど、それでも無理やりここは従ってもらう。


 結局ここで戦わないと、油断した者から死んでいくんだからな!!


 自分で言うのもおかしいが、あの魔導王は俺を狙っている。


 惚れた人間の仲間を何よりも不要だと考えている魔導王はフーリア達を殺すために全力を注いでくるだろう。


 これまでがそうだったのように……。

 

 だからみんなを守りながら戦わないといけない。


 霧から、魔導王が姿を現す。


 巨大な「白百合の盾」に覆われて不機嫌そうにしていた。


「邪魔……。そこは……私の場所なの、友達とか、冒険者仲間とか、同じクラスの子とか要らないの!!そこには私が居ればいいんだから!!」


 魔導王の魔力の質が変化する。


 荒々しい暴風のような魔力が魔導士以外にも捉える事が出来る程、膨れ上がっていた。

 

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