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第343話 終わりの炎


 私の命を賭けた炎の一撃を受けて魔導王は勢い良く吹き飛んでいく。


 避けられると思っていたから、意識を集中させてその避けた先へ炎を纏った蹴りをお見舞いするつもりだったんだけど……。


 反射神経はあまりよくないのかな……?


 地下の壁に埋もれるように魔導王の身体は押しのけられる。


 しかしまだこれでは倒せないかもしれない……どうせこれが最後なら全力の魔法を絶え間なくぶつけて確実に終わらせる。


 身体が灰になろうともやってやるんだから!!


 地下の壁に埋もれた魔導王を見つけて炎を纏わせた足で地上の方へ蹴り上げる。


 地下の分厚い土を押し上げて、地上へ出る。


 地下だと暗くて分かりづらかったんだけど、外に出ると周りが溶けて一部炎が辺り一面を覆っていた。


 私の立っている場所の土はマグマに変化するほどの馬鹿げた魔力……。


 これが私の本当の力……これなら確実に――勝てる!!


 そんなことを考えていた時だった。


「ふぅ……痛い痛い。さすがに私の力を半分あげただけあって強いわね」

「なっ……」

「何を驚いているの?この身体は炎への完全な耐性があるわけだから、これくらい普通でしょ?」

「そんなわけない。完全と言っても人の身体である以上、限界はある……それに私はこの焔で熱さを感じている。同じならただじゃ済まないはずよ!!」


 おそらく強がっているだけだ……!!


 魔導王の頬は腫れて火傷の跡が残っていた。


 むしろこの炎を正面から受けて、その程度で済んでいる方があり得ないんだけど……。


 今まで戦って来た奴らの黒幕なわけだし、そう簡単には終わらないということね。


 それなら全力の魔法をぶつけまくってやる。


 炎を中心とした全力の魔法を絶え間なく魔導王へ向けて放つ。


「焔纏い!ファイアーバレット!!」


 ただの初級魔法でも今の私なら上級以上の威力で放つことが出来る。


 しかしそれを魔導王は避けることなく、正面で受け止めてくる。


「あなたの攻撃は全部受け止めてあげる。愛だもの」

 

 今までの攻撃を避けなかったのは、私の攻撃を愛だとでも思っていたから……?


 完全に舐められているということね。


 怒りが身体の底から膨れ上がってくるのと同時に焔がさらに私の身体を分厚く覆い始める。


 熱くて、苦しくて、皮膚が焼ける感覚と一歩動くだけで激痛が走る。


 これ以上温度を上げるのは危険かもしれない……。


 だけど魔導王は私の攻撃を避けないと言った――それならどうにかなるはずよ!!


「ええ、避けるつもりは無いわ」

「言ったね?焔火!!」


 次は先程とは比べ物にならない程の膨大な炎で魔導王を覆った。


 でも多分これで倒せるほどあいつは甘くない。


 それなら大魔法を連続でぶつける。


「固有魔法を融合、ノヴァ・インフェルノ!!」


 炎に爆発を追加して私は学校ごと魔導王を吹き飛ばした。


 躊躇いは無い、多少この世界に傷跡を残してでもこの魔導王を滅ぼす!!


 もっともっと灼熱の炎でルークと魔導王の長い戦いを終わらせるんだ……。


 足元に巨大で禍々しい赤い魔法陣を描く。

 

「禁忌魔法、炎熱地獄!!!!!!」


 私の出せる渾身の魔法でさらに魔導王を追い詰める。


 白い炎が大地を燃やし、人が生命を維持できない空間を作り出す。


 みんなはまだ地下でルミナと戦っているので影響は無いはず。


 みんなの戦いが終わるまでに魔導王を倒したい……。


 しかし現実はそう、うまくいかない。


「ふぅ……さ、さすがに暑いわね」

「――ッ!!ピンピンしてる……」

「いやいや、暑いよ?むき出しの皮膚がほとんど焼けてる。魔の神に炎魔法で暑さを感じさせるなんてだいぶ狂ってるよ?前の世界から来たものだからこそ、魔法を受け付けない私の身体に魔法でダメージを与えられている」


 結構全力で放った魔法だけど、魔法の神は魔法自体あまり効かない。

 

 魔法じゃダメってこと……?


 さっきので半分以上の魔力を消費しちゃったし、同じ手は多分無駄。


 いくら熱耐性があってもこの炎を耐えられるとは思わなかった。


 この炎を常に纏っている今の私でも暑さで意識が朦朧としているから。


 炎への完全耐性があるのに暑さを感じるのは命を消費しているからかもしれない。


 暑さで意識が朦朧とするなんてこの世界では初めての経験ね。


 思考が乱れてしまう……いや、思考する必要は無い。


 全力をぶつけ続ければいい!!


「炎帝刀アマテラス!!」

「……出たわね。忌々しい神があなたに授けた力……それを圧倒して私の力こそあなたに相応しいと教えてあげるわぁ!!」

炎帝焔薙斬(ほむらなぎ)り!!」

「防御魔法……!」

 

 魔導王は初めて防御の姿勢を取った。


 炎帝刀と白い炎が合わさったことで今までの炎を遥かに凌ぐ灼熱が魔導王を襲う。


 使っている私でも丸焦げになりそうなほどの熱量、治癒の炎で身体を癒しながら灼熱の炎を使い続ける。


 それを受けた魔導王の髪が一部燃えて灰になる。


「私でも完全に防げなかった……やはり忌々しい剣ね……!!」


 魔法が無理なら剣でやれば簡単に傷を付けられる!!

 

「どうやら勝機は見えてきたようね……焔十字斬り!!」


 先程の横一線の炎の斬撃から十字に変わるだけで威力は二倍!!


 全ての攻撃を受け止めると言った魔導王はその攻撃はさすがに避ける――そう思っていたんだけど、右手を前二突き出し……。


「防御用固有魔法、白百合の盾」


 白百合の盾の完全版……。


 綺麗な百合の花を象った魔力の結晶が私の炎を受け止める。


 しかしいくら白百合の盾でも今の私の炎は止まらない!!


 炎はやがて魔導王に直撃して、右腕を焼き尽くした!!


「うぐぅっ⁉」

 

 行ける!!


 そう確信した瞬間、私は魔導王に考える隙を与えず、最後の攻撃を繰り出す。


 私の最大の魔法と剣術を使ってこの戦いに終止符を打つ!!


「白き命の炎よ……主である私の魔力、精霊、魔法、剣……肉体や記憶、全てを燃やし天照らせ!炎帝清夏(すみか)!!」

 

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