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第342話 ルークvs魔導王


 ルークは最後の魔法を使って魔導王を道連れにするつもりで挑んでしまう。


 それを止めるためにフーリア達が動いたものの、ルミナに足止めを受けていた。


 妖狐に戻ったルミナは今までの肩に乗るようなサイズから、柴犬くらいの大きさにまで成長していた。


 他の聖獣に比べて小さくて可愛いですが、四つん這いで獣が唸っているような様子で毛を逆立っている。


 フーリア達を威嚇しているようにも、近づくなと言わんばかりに立ち塞がる。


 まるでルークの下へ行かせたくないみたいに……。

 

 そこにルミナの意思は感じられなかった。


「ちょっとアンタ!!言ってたことと違うじゃない!!!!」

「……」

「やっぱり裏切ったのね……ルークは――」

「うっ……妾は……妾は……」


 ルミナは頭を大きく振って意識を覚醒させようと試みるが、それは敵わない。


 様子がおかしい事に気づいたユウリはルミナを観察する。

 

 そしてそのただならぬ様子を見たユウリはある仮説を唱える。


「これ、ルミナは操られてるんじゃないかな?」

「は?」

「だってこの子、あの魔導王の聖獣なんでしょ?逆らえないんだよきっと……」

「それって、ルークのためにここまでやったのに結局意味無いってことじゃない……。間抜けすぎる……」

「まずはルミナの無力化……あるいは…………」

「何か他に手があるの?私はもうぶっ殺していいと思うんだけど……」

「この中の誰かが、あの時のルークみたいにルミナの力と融合する」


 そんなユウリの突然の提案にその場に居た全員が驚き、阿鼻叫喚する。


 少年少女たちの間抜けな声が地下に響き渡る。


 そうなってしまう程にユウリの提案は常軌を射していた。


 しかしサツキは考えた――ルミナが何をしようとしていたのか、それを聞くチャンスでもある。


 何よりルミナはルークの事を大切にしていたのだから裏切るとは思えない。


 これはただのアクシデントだとすれば、まだルミナが裏切ったと考えるのは早計だ。


 何よりルミナには何か手立てがあってこんなことをしたんだと分かっているので、ルミナの作戦を知っておかなくてはいけない。


 それにどちらにしてもルミナを殺すことをサツキはしたくなかった。


「分かった……俺がルミナの器になる」

「ちょ……正気⁉」

魔導騎士(エーテルナイト)の俺なら何とかなるかもしれない……ただし、方法は分からないが……」

「……じゃあ作戦はこうね?ルミナを気絶あるいは戦闘不能にして、サツキに押し込む!!それで力を吸収できない場合は即座にルークの手助けに向かうよ!!」

「ルークはもう命を燃やす魔法を使ってるけど……」

「それもどうにかする!!絶対に死なせないんだから私の大切な親友なの……!!!!」

「フーリア……そうね」


 初めてフーリアは本音を叫んだ。


 地下のこの場所では当然声は響き、ルークに聞こえている。


 それを分かっていて、顔を赤くしながらも叫んだのはルークに死んでほしくないという想いを聞かせるため。


 これで思い留まってくれる……そんな淡い期待に縋るしか彼女はもう頼れなかった……。


 そしてそれを聞いていたルークは――


「って貴方の親友が言ってるわよ」

「……命を焔へ。白焔纏い!!!!」

「それが貴方の答え?親友の嘆きに応えて上げないの?それとも貴方はそうは思っていないの?まあそうよね。あの子に貴方は散々嫌な事を言われていたわけだし」

「そうじゃない。大切なだからこそ、絶対に死なせない……だからアナタを倒す!!」

「カッコいい~さすが私の見込んだ男。自分の命を賭けてまで、仲間を守ろうとするなんて……まあまだ今は可愛らしい女の子だけど」


 ルークは自分を模倣したルミナの身体を奪った女神にそんなことを言われて少しだけ戸惑っていた。


 目の前に居るのは自分と全く同じ力を持った女性。


 見た目も同じ、ただ違うのは相手が魔法の神ということ。


 全ての魔法を模倣できるルークも十分に規格外……しかし、相手はそれらも完全に掌握できる。


 それでもルークの魔法を無力化しないのは、今のルークを殺すために命を燃やさせるため。


 これは魔導王の予定通りに進んでいる状況で、さらにルークもそれは分かっている。


 時間制限ありでそれを超えれば死ぬピンチに立たされているが、これはチャンスでもあり、ルークの最強魔法を消さないこの状況が唯一魔導王を倒せるかもしれない。


「確かに……あなたは魔法が一番得意ですから……それを使えなくすれば無力化できますからね」

「でもそれをしないんでしょ?」

「ふふふ、最後くらいカッコいい焔に焼かれて行く貴方を見たいのよ」

「その余裕を後悔させてやる!!行くぞ……女神ッ!!!!」


 ルークは身体を燃やす、熱を感じにくい身体でもこの魔法の余りの熱さに気を失いそうになる。


 それでも意識を強く保って、身体を覆い隠す血のような真っ赤な焔を纏わり始める。


 それを見ていた魔導王はただただ、愛おしそうにルークを見つめて――

 

「ええ!!来てルーク……ふふふ!」


 魔導王は両手を広げてルークを受け入れる体勢を取っていた。


 そんな無防備な魔導王を相手にルークは躊躇うことなく白い焔を纏った拳をぶつける。

 

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