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第359話 ルーフェの意思


「耐えたか……」

 

 紅蓮は圧倒的な炎の攻撃をルミナにぶつけたが、ギリギリのところで踏ん張り耐えられてしまった。


 ルークとおなじ炎への高い体制を持ってはいますが、想像以上に効いている。


 これも白百合の盾を維持するのに全魔力を注いでいた結果。


 ルミナは地面に両手を付いて苦渋の表情を浮かべている。

 

 その直後、口から白い血を吐いた。

 

「ガハッ……!!」

「ふむ、手応えがないな……お前本当に聖獣か?」

「ふふ、主の復活のためにほぼ全ての魔力を捧げたの。この身体ももう維持出来ない」


 その言葉には矛盾がある。


 何故ならルミナの魔力は私達を地下の部屋へ入れないために白百合の盾に使われているから。


 紅蓮は魔法があまり得意じゃないので解っていないみたいだ。

 

 なので紅蓮はルミナの言葉をそのまま受け取ってしまう。

 

「そういうことか……ならお前を消して、メフィストも殺せば全て終わるわけだ」

「そう上手くはいくわけないでしょ?」


 ルミナは追い詰められているのに不敵な笑みを浮かべる。


 するとそれと同時に足元の魔法陣がとてつもない光を放ち始めた!!


 紅蓮は足元の魔法陣が光ったのを見てついに表情に焦りが見えた。


 手加減していたわけじゃない、ちゃんとルミナを消し炭にするくらいの力で炎を浴びせた。

 

 それで終わると思っていたが、誤算だったことがある。


 紅蓮が予想外だったのはルミナが予想以上に弱かったこと。


 聖獣を相手に簡単に勝てないと踏んでいたので様子見をして機会を伺っていました。


 しかし、予想外に弱くなっていたせいで逆に力加減を間違えることになる。


 この程度なら簡単に倒せる、それ故にこの後の戦いのために力を温存してしまった。


 この後控えているメフィストとの戦いに備えるために……。


 結果、戦いは長引いてしまい、ついにエステリアを覆う巨大な魔法陣が大地の魔力を全て吸い上げてしまった。


 紅蓮も先程の一撃でケリを付けるつもりでしたが、耐えられてしまい……それによりルミナは力を魔法陣へ注ぎ終わる。


 それに気づいた紅蓮は冷静に儀式を行っているメフィストを狙う。


 紅蓮の炎を携えてメフィストへ斬りかかりに行きます。


 紅蓮は鬼のような形相で炎の剣を振り回す、そんな猛スピードの勢いにメフィストは動揺する。


「ひぃぃ……!おいルミナ!!その男を止めろよ!」

「くぅ……」


 魔力は魔導士の命の源……それを全て魔法陣に注いでしまったルミナはもう満身創痍でした。


 既にルミナの魔力は空で、力はほとんど残っていない、そんな状態でメフィストを助けるのは不可能。


 しかし、ルミナはある奥の手を使い。本当に瞬間的に魔力を得る。


 それを使って体を無理やり動かして紅蓮に体当する。


 当然、紅蓮はその程度の攻撃で倒せることはありませんが、それでも身体がよろめきバランスを崩す。


「なっ……お前、魔力がないのにどうやって……なんだ……身体が黒く……?」

「はぁ……はぁ……しかしこれでもう妾の命も限界……それでもお主を止めることはできる!!」

「これは……淀んだ魔力を取り入れているのか……?そんなことをしたら死ぬぞ」

「それでも妾には……やらなきゃいけないことがある!!」

「ちっ……これ以上は世界が滅ぶ――許せ」


 紅蓮は剣をルミナの胴体に突き刺して地面に磔にする。


「うがっ……うっ…………」


 ルミナの意識はそこで途切れて、力無く紅蓮を掴んでいた手を放す。


 紅蓮は剣を拾っている暇がないと判断してそのままメフィストに飛び掛る。


「ルーフェ、お前の魔法を使わせてもらう」


 最強の剣士紅蓮は、ここで魔法を放つ――

 

「来るなッ!!エターナルバレット!!!!」


 しかしそれを近づかせないためにメフィストも魔法で対抗する。

 

 魔法の弾丸が紅蓮を寄せ付けまいと襲い掛かる。

 

 だがそれを待って居たと言わんばかりに紅蓮は不敵に笑う。


 紅蓮は先程ルーフェの魔法を使うと言った。


 その魔法それは――

 

「模倣魔法……見様見真似!!エターナルバレットォォォォオオオオオ!!」


 紅蓮はあまり魔法に詳しくありませんが、唯一ルーフェの模倣魔法を知っていました。


 近くで魔法を見せられていたので知っていましたが、使うのは初めて……。


 それでも完璧に魔法を模倣して、メフィスト以上の魔法に昇華させた。


 魔法に込められた想いが、実力以上の力を発揮する。


 ルーフェの言っていた想いを紅蓮もまた持っていた。


 魔法が命中したメフィストは右目を貫かれて、地面に伏せる。


「ぐああああああああっ!!僕の目がああああああああああぁぁぁぁ……」

「はぁ……はぁ……と、止まったのか?」


 足元の魔法陣は光を失い、停止する。


 魔力の供給も絶たれ、儀式は止まった。


「あ、危なかった。これで――」


 勝ちを確信し、安心した紅蓮……しかしその背後に()()が現れた。

 

『私がこの世界に再び戻ってこられたわ』


 氷のように冷たい女性の声がどこからともなく響き渡る。


 儀式は確かに終わった……停止したのではなく、最後までやり終えて……。

 

 その声の主はメフィストの王座の上から聞こえていて、そこには異次元にでも通じているような歪んだ穴が出現する。


 そこには血のように赤い炎に包まれた何かがうごめている。


 しかし姿形は良く見えない。

 

 それを見た紅蓮は絶望の表情を浮かべていた。

 

「う、嘘だろどうして……」

 

『儀式が終われば魔法陣は不要になり、昨日は停止し消えるのは当たり前……しかしこの世界において神は存在出来ぬゆえ……この姿』


 炎の中に蠢くそれは奇妙なことを告げる。


 するとそれを間近で見ているメフィストは右目の痛みに耐えながら、叫ぶ。


「おおぉ……偉大なる魔導王様!!この私があなたを復活させました。どうか……願いを……!!」


 そのメフィストの言葉に神は微笑み返し応える。


『この世界において魔の神に不可能なし』

 

 その瞬間、メフィストの身体が光出す!!

 

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