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第358話 怒りの紅炎


 学校の中の大地の魔力が酷く淀んでいる場所を見つけてそこへ向かうことになった。


 どうやらこの学校には地下があるみたいでそこで女神復活の儀式は行われているみたい。


 まだ邪悪な魔力は感じられないけど1つだけ気になるモノが見えた。


 それは地下へ通じる階段が焼けて、炎に包まれていること。


 人を寄せ付けないためにルミナがやったのだろうか……?でもルミナの炎は黒い。


 この階段を覆う炎はオレンジ色だった。

 

 しかし炎なら私の専売特許!


 すぐに炎を散らして階段を下りられるようにした。

 

 炎を散らすとある事に気づく、これは剣から発せられたモノだと……。

 

 炎の剣と言えば紅蓮……!!


 まさか一人で戦っているんじゃないだろうか。

 

 今なら間に合うかもしれない……そんなことを考えながら地下への階段を駆け下りていく。


 すると階段を下りた先に鉄格子の扉が見えてくる。


 それをマツバが勢いよく蹴り飛ばそうとする。


 しかし扉は蹴られる寸前に白い魔法の防壁を張った。


「これは……白百合の盾⁉」


 固有魔法白百合の盾が鉄格子を守っている……おそらくこれはルミナの仕業ね。


 この魔法は使い手が強力な魔導士であればあるほどその効力が増す。


 全員で力を合わせて白百合の盾を破壊しようとしたその時――鉄格子の奥に人影が見えた。


「みんな待って!あそこに誰かいるよ!!」

 

 人影は全部で3つ、狐のような耳と尻尾を持った女の子と、高身長の男性。


 そして……一番奥にある豪華な椅子に座る偉そうな人。


 ルミナと紅蓮が対峙していて、今まさに二人の戦いが始まろうとしていた。


 そしてそれを王座で眺めているのが……メフィスト王子……!!


「メフィスト殿、まだあの方は復活しないの?」

「おいおい、これでもずっと儀式をやってるんだぜ?まあでも後はアンタの魔力を足元の魔法陣に注ぐだけだ」


 足元の魔法陣……?


 一体どこの事を言っているんだろう……そう思って足元を見てみる。


 すると私達の足元に巨大な線が一本引かれている……。


 これは……魔法陣なのかな?


 線の太さは私の幅よりも広いし、何よりそれはどこまでの伸びているようだった。


 すると何かに気づいたのかユウリは驚いて叫ぶ――

 

「まさかこの街全体に魔法陣が描かれてるんじゃ!!」


「なっ……!!そうか地下だから魔法陣の存在に気づけなかったのね」

 

 街全体を覆う程の魔法陣……こんな超巨大な魔法陣を使って一体何をしているというの……。

 

 大地の魔力が淀んでいた理由はこれだったみたい。


 こんな巨大な魔法陣を使って大地の魔力を吸い上げ、環境を汚染していたら空気中の魔力も影響を受ける。


 ユウリには魔体症があるから、自分の中の魔力を自由に使えない、大地から魔力を借りる事でもできない。


 彼女の魔力もそこまで回復していないし、あまり無茶はさせられない。


 そもそも、まずはこの白百合の盾を破壊しないと!!


 だけど中の話も少し気になってしまう。


 私達はもう少し3人の様子を窺う事にした。

 

「ちっ……ルーフェの弟子を真似やがって……」

「汝はあの者を好いていたのか?」

「……だったら何だ?」

「手を下しいたのはムーンだが……間接的にでもあの死は妾達にある……か」

「そういうことだ。ムーンをぶっ殺したかったが、ここから嫌な気配を感じてきた……まあここにはいなかったみたいだけどな」

「もうどこにも居ないわよ」


 ルミナは私達の戦いを見て居ないはずだけど……まさかムーンが死んだことを知っているの?


 そんな疑問にルミナはすぐに応えてくれた。

 

「ムーンは死んだ。タイヨウと共にな」

「……そうか」


 紅蓮は一度俯いてから、剣を鞘から抜き放ち両手で構えた。


 その目には1点の曇りもない。


 ただ目の前の敵を倒す……それだけの執念を感じる。


「仇は死んだのだけれど……」

「ムーンは誰かに操られていたんだろ?魔法の女神とかいう奴に」

「そうだ」

「なら俺がその復活を食い止めて女神の思い通りにさせない!!」

「それは……困るわね」


 2人は一触即発……。


 今にでも殺し合いが始まりそうな空気だ。


 私達も加勢にいかないと……!!


 しかし白百合の盾はなかなか破壊できない。


 この白百合の盾はただ設置された魔法じゃない……。物凄く膨大な魔力を1点に集中させて、しかもそれを持続させている。


 まるで誰かをこの中に入れたくないみたい。


 ルミナと庭で戦った時に最後の聖獣の魔力を受けて私達は倒れた。


 全力を出し切れなかったのもあるけど、ルミナ自信相当な魔力を失うほどだったから、もうそこまで残っていないはず。


 さらにそこへ白百合の盾への魔力をほとんど使っていて、ここから感じるルミナの魔力は極端に少なっていた。


 ルミナは私のように剣を使えないのか少ない魔力で紅蓮と対峙する。


 しかし紅蓮はこの世界で最強の剣士。


 万全なルミナななら勝てた相手でもほとんどの魔力を失った状態では紅蓮には勝てない。


 さらに人の身でありながら妖狐の身体能力を凌駕しているので強化魔法を満足に使えないルミナでは話にもならなかった。


 元々アレは私の身体をベースにしているからね……か弱い女の子の身体では無理があったみたい。

 

「はぁ……ハァ……!!」

「諦めて降伏しろ。アイツの弟子じゃないとはいえ、それに似ている奴を殺したくない」

「優しいのね……でもそういうわけにもいかないの。こっちにも守らなきゃいけない人が居る!!」

「こんなことをしてまで守るだと……?ふざけんなよ……もういい、お前はここで殺す!やれ紅蓮剣!!」


 紅蓮は爆炎の剣を抜き放ち肩で息をするのがやっとな状態のルミナに放つ――!!


 私達は未だに白百合の盾を突破できず……その攻撃がルミナに直撃してしまった。


 紅蓮の怒りの炎に燃やされてさらに力の大半を失っている状態では炎でも致命傷になるかもしれない!!


「ルミナーー!!!!」


 私の声は恐らく紅蓮には届いていなかった。


 剣が無慈悲にルミナへ振り下ろされる――。

 

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