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第342話 同じ炎


 ルエリア城で2つの膨大な魔力がぶつかっているのを感じた私は学校へ向かうのを止めたて、お城へ向かう事にした。


 ようやく沼地からエステリアの街に入ることが出来た私はすぐに皆に合流したかった。


 どこにいるのか全然宛てが無かったのでとりあえず学校に行こうと判断した時、ルエリア城が魔力の圧力に押しつぶされているのを見てしまう。


 あそこにフーリア達が居るかもしれない。


 というかいた場合、あの魔力の中で戦っているのなら早く加勢に行かないと!!


 それに……私に似た気配も感じる。

 

 おそらくルミナがそこに居るはずだ。

 

 走って街を駆ける、すると道中でミツキ達と合流する。


 ギルドの前で魔王教団の薬を飲まされて魔導騎士(エーテルナイト)になった民衆と戦っていたみたい。


 私はそこへ魔法で援護する。


 バレンタインの炎の魔法を使い、その場一体を覆いつくした。


 この炎でミツキ達と家を燃やさない様に指定、燃やす相手は魔王教団にのみに絞る。


 急で驚くかもしれないけど、ミツキは私の魔法を知っているはずだし大丈夫だよね……?

 

 見た目は派手で街の一部を覆う程の炎が直線に向かって行く。


 人々の叫び声と共に炎がその道一帯を覆い尽くし、すぐに消える。ほんの少し触れるだけでも治癒できるし、薬の影響を受けている魔王教団は元に戻る。


 見た目よりも魔力を使わずに殺傷能力を低くした。


 炎の火力と威力を抑えたので多分誰も死んでいない。


 ミツキ達はバレンタインの魔法でむしろ回復しているくらいだし、これなら怒られないよね!!


「大丈夫ルイ!!?」

「炎に包まれてもう終わったかと思った……むしろ回復してるな」

「こんなことできるのはあの子しか居ない……」

 

 ミツキはこの炎を受けた瞬間に何かに気づいたのか、炎が放たれた先……つまり私の方を確認した。


 私は慣れないながらミツキに手を振った。


 するとミツキはとても可愛らしい笑顔で私に近づいてくる。


 体格は私より大きいけど、体重は重くないはずなのにドンドンとずっしりした足音を鳴らす。


「アンタ何してんのよ!?殺す気!?」


 あれ怒られた!?


 可愛い感じの……フーリアみたいな顔で近づいてきたのに……。

 

 それより、この魔法の事を知らないから怒ってるものと思って訂正する。

 

「いや、これ治癒の炎だから……薬で操られてる人達も戻せるかなって……」

「知ってるわよ!!だからってあんな勢いの炎をいきなりぶっ放さないで!!皆怯えてるでしょうが!常識ってものを知らないの?こんなことしてたら仲間から見放されるわよ!!」

「す、すみませんでした……」

 

 なんだか見た事のある光景が頭に浮かぶ。


 前にフーリアにも同じことをして怒られた記憶が蘇る。


 ミツキの怒り方はフーリアにそっくりで改めて似ていると感じた。


 謝ったものの、良い記憶を思い出して少し嬉しかったりして……。


「こんなことずっとしてたら嫌われるからやめてよね」


 そんなことを言われて気分が沈む、もしかしてフーリアもあの時、私を嫌いになったのかな……。

 

 ちゃんと反省しよう。

 

「は、はい……でもその、予想以上に威力があったというか。多分タイヨウ様の魔法のおかげでもあるというか……」

「言い訳しない!」

「はい……」

「はぁ……もういいわ。それよりアンタずっと何してたのよ!!」


 皆からしたら私が突然どこかへ消えたように見えたはず。


 ちなみにミツキの話では私が魔王教団に攫われたと思ってフーリア達は学校まで探しに行っているという。


 沼地に飛ばされたことを伝えるとミツキは頭に手を当てて考え事をしていた。


 どうやらあんまりいい状況ではないみたいね。


 ミツキ曰く、フーリアとサツキは気が気じゃない様子で学校まで猛ダッシュで向かったらしい。


 あの2つの魔力の塊の方へ向かうべきだと思ったけど……それなら一旦学校で合流した方が良いよね……?

 

「それなら学校に向かってみる」


 膨大な2つの魔力は気になるけど、今はフーリア達との合流が優先される。


 学校からは大地の魔力が一番淀んでいる事しか分からないし、とりあえず向かってみようか。


 急いで学校へ向かおうとしたその時、ミツキは私を引き留める。


「待ちなさい!まずはあなたの魔法でルエリアを炎で覆いなさい」

「え……?私の魔力でもそんなことしたら魔力切れになるんだけど……」

「……不可能と言わない辺り気に入らないけど……そこは大丈夫よタイヨウ様の魔法で炎魔法が強化されてるから」


 このタイヨウの陽ざしを強くする魔法のおかげで先ほどの私の炎の威力が上がっていた。


 確かにこれがあれば少ない魔力でも街を覆う程の炎の魔法を使える。


 どうやらそれで薬の影響を消して欲しいというのがミツキのお願いらしい。


 フーリア達の事しか考えていなかったせいでその作戦の事をすっかり忘れていた。


 それだけ済ませたらすぐに向かおう。


 魔力を高めて一気に放出する。


 タイヨウの魔法で補助されているとはいえ、街を覆う炎は練るのに時間が掛かる。

 

 タイヨウの魔法で高まった炎の魔法とその魔力量を感覚で使う。


 ここからの戦いを考えて少しでも魔力を置いておきたかったからね。


 時間を掛けて、街を覆う炎の魔法を発動する。


「フェニックス――」

「フレア……!」


 私が炎の魔法を発動しようとしたその時……。


 それよりも早く同じ()がどこからともなく私に襲い掛かってきた!!


 その炎は私に効かないので受け止めてもダメージは無い。

 

 突然の事で戸惑っているとミツキが炎の魔法が飛んできた方を指差す。


「あそこよ!!」


 炎の魔法を放ったのは前に戦ったことのある女。


 しかも相当厄介な相手……。


「アカツキ……!!」


 アカツキは不敵に笑いながら私の事を見下ろしていた。


 まるでその光景を楽しんでいる様子だ。


 フーリア達が居ない状態でこいつと戦わなきゃいけない……私の中で焦りが迫ってくるのを感じる。


 というか……どうして私と同じ炎を使えるのこの人……!!

 

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